すきなもの雑記

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令和二年12月大歌舞伎

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さて新型コロナの影響で、興業の雲行きが怪しくなってきましたね

代役や休演でバタバタと慌ただしい感じ

一方で、2021年1月からは3部制にし料金も改定されるとのこと

短いながらも破格の料金で見られるのは年内いっぱいということになります

 

今月は2部と3部から。

 

2部 心中月夜星野屋

この舞台まじでたのしーーーー!!!

歌舞伎というよりはお芝居。

主人公おたかは本名をもじった七之助さん。

美人だけどしたたかで世渡り上手な女性。

キャラ的には「大江戸りびんぐでっど」のおようちゃんが一番近いような。

声が低めでからからと喋ってます。

七之助さんの狂ったようなお役にも魅入られる

にゃんにゃんしたお役も心の底から可愛らしく思う

そして、この地に近い楽しそうな感じが見ていて一番楽しい

 

おたかのお母さん、お熊役が猿弥さん。

世の酸いも甘いも知り尽くした女性。

丸いけど動きまくる!

猿弥さんは地声が高いし、なんにも演じてない。

素でした。

おたかの財布、星野屋は中車さん

半沢直樹より味付けは薄め

おたかと星野屋を取り持った藤助は片岡亀蔵さん

七之助さんの舞台になくてはならないお方。

猿弥さんと亀蔵さんは芸達者だしコロナ禍以降も本当に引っ張りだこで、ほうぼうからの信頼の厚さが伺える。

夜の吾妻橋の背景がほの暗くて素敵だなと思います。暗い舞台大好きなので。

楽しくやりとりする役者たちと最後の化かしあいが楽しい演目でした

 

3部 傾城反魂香 土佐将監閑居の場

猿之助さんと勘九郎さんが、それぞれ弟分を出し合っています

猿之助さんとこは團子。

義太夫に合わせて踊るのって難しそうなんだけど、團子頑張ってた

紀尾井町家話で猿弥さんが團子の雅楽之助を見てるって言っていたような

勘九郎さんとこは鶴松。

鶴松くんはコロナ以降での生舞台出演は初。

修理之助は絵から抜け出た虎を塗りつぶして(?)退治するんだけど、これも紀尾井町家話で空で「龍」の字を書いてるんだって松緑さんが言ってた

修理之助は旅立ちを又平が追いすがって止められるところで、又平の肩をぽんぽんと優しく叩いていた

西サイドの上から見ていると、修理之助が退場するくらいまではほぼ半分くらいの客が夢の中にいたんですよ

だけど、幕引きで下を見たら寝ている人は誰もいなかった

 

今まで見た義太夫ものの中で圧倒的に無音の時間が長い

それは切腹を覚悟した又平を止めようとする場面だったり、なかなか離れない筆を指1本ずつ開いて外したり、手水鉢の絵の抜けに腰を抜かす場面だったり。

だけど不思議なことに無音の時間が続くほど観客は見入っていくんですね

最後はめでたしの踊りで、猿之助さんは実際に鼓を打ってました

 

4部 日本振袖始

これに尽きます

菊之助さん初役で代役で主役。

しかも菊之助さんの神仏というか、この世のものっぽくない女形がめっちゃ好みなので玉様目当てだった同行の先輩には申し訳ないけど、めちゃくちゃ湧いていた。

ヤマタノオロチは8人で表現。

途中で足台を用意して正面での唄があったりして面白かった!