すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

大江戸の華@江戸東京博物館

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このブログでも何度か触れている「春興鏡獅子」

持道具として獅子頭を両手にはめて踊ります

このポスターに載っているきゃわいい獅子、もしかして手持ち獅子頭では…?と興味を持ち江戸東京博物館まで行ってきました

 

興味深かったのは第二章の鹿嶋屋東店(かじまやひがしだな)にまつわる品の数々。f:id:em378794:20210920032046j:image

四神旗がきれいな状態で残っており、四神は丸っこくて可愛らしい

 

お雛様の展示があるんですが、お内裏様とお雛様が老人老女なんですね、キレイに作られているけどびっくり

他にもお店の繁栄を支えたお稲荷さんや祭礼の備品を展示していました

そのお稲荷さんの祭礼で使われていたのが獅子頭

そう、ポスターの画像ではわからなかったんですが、この獅子頭は手にはめるタイプじゃなくガチの獅子舞の頭でした(笑)

すごくつやつやしていて重そう

これを頭に乗せて飛び回るのは大変だ

 

鹿嶋屋東店にどんな隆盛があったんでしょうね

家系図を見ていて、「切られ与三」の与三郎の生い立ちを思い出しました。

鹿嶋屋のせがれも養子と実子の関係で悩んだり木更津に行ったりしたのかな〜、とか

 

次の第三章では将軍家の駕籠や嫁入り道具を見ることができます

駕籠は内側にも絵が描かれていて美しい〜!

閉めたら暗くなっちゃう気がするけど見えるのかしら?

嫁入り道具の貝合わせは1枚1枚に絵が描いてあって細かい

貝合わせは「鰯売戀曳網」に出てきましたね

あれは和歌の上の句と下の句が書かれた貝合わせでした

やっぱり、歌舞伎は成立したのが江戸時代だから風俗がリンクしていておもしろい!

 

ところで

今回の展示は江戸東京博物館の1階だったんですが、出口に謎の中近東レストランがあるんですね

レストラン「江戸博砂漠」メニュー - 江戸東京博物館

楽しそうなので次はここに寄りたい

素人ストウブ考

狭小住宅一人暮らしの現在の所有鍋

・26cmフライパン  フタあり

大量の炒めものと餃子の時はマスト出動、洗うのが面倒なのでできるだけ使わないようにしている

 

・ビタクラフト  ミルクパン フタあり

小さいくて洗いやすくて稼働率No.1

軽い炒めもの、煮物、無水調理、味噌汁等少量のものはとりあえずこれで何とかしようとする

袋麺もこれで調理

 

・雪平鍋

1.6L

大量のお湯で何かを茹でるときに出動

 

・2合土鍋

炊飯器を捨て土鍋で炊飯

大量に炊いて冷凍するのが面倒というか、炊きたてを食べたいと思うようになり0.5合ずつ都度炊く

白米のみなら吸水なしでも炊飯可

 

・セイロ  小

冷凍肉まんの加熱用、たまに野菜で使用

時間はかかるが、開けたときの多幸感が電子レンジとは雲泥の差

 

・魚焼きグリル

コンロに付いてるやつ

鍋ではないが使用頻度が高い

焼き目をつけつつ温めたいときは弱火で長時間使用

トースターがないのでパンもグリルする

 

・ストウブ  20cm

ビタクラフトでは収まらない材料の場合に出動

もしくは3合以上の炊飯

すんごい重い、が、その重さがおいしい仕上がりにつながると勝手に思っている

 

・ストウブ  10cm

ごく少量の蒸しものや炒めものの場合に出動

そのままテーブルに並べる

 

 

さてストウブの話。

ストウブを購入して2年半が経った

実家にはオーブンがなく、購入前の私はオーブンにものすごく憧れていた

オーブンでチキンを焼いてみたい!ポテトを焼いてみたい!という願望はあったが、大きさや金額に二の足を踏み、一人暮らしを始める際に揃えたホームセンターの鍋で調理を続けていた

 

ある頃から「極上!三ツ星キャンプ」を始めとしたアウトドア番組や企画でアウトドアレシピや調理方法が紹介されるようになる

直火で食材を焼いた焦げ目が魅力的に見えて、アウトドアでも使用できるという、やるあてもないのに単なる憧れでオーブンへの欲は消え、その代わりにストウブの平均的な20cmを購入した

 

レシピ本も購入し使用し始めたが、しばらくはストウブの利点がよく理解できていなかった

焦げるし、火が通るのに時間がかかるし、みんなが言うように味そんなに変わる?という感想だった

 

よくわからないものの、外見はかわいいので()同じ色の10cmを買い足し、世にコロナ禍がやってきた

 

私は料理がうまくもなければ下手でもないレベルだ、おそらく光るようなセンスはない

普通に食べられるのが半分、美味ではないけど食べられないほどではないなというのか半分、という程度の暮らしを続けてきた

それでも料理をするという行為は嫌いではなく、仕事がら深夜に目覚めそのまま野菜を切り始めたりするとなんとなく心がリセットされる感覚が生まれ、それが気持ちよかったりもした

続けている間になんとなく料理の塩梅が掴めてきたという手応えもあった(とはいえ、今でも変な料理ができたりする)

ただしストウブの使用方法はそれまでのホーロー鍋の調理とは根本から違うものなのだと思う

それに気づかないまま、ただ鍋を買い替えたくらいの気持ちでいて謎の失敗や手応えのなさを感じていたのである

 

レシピ本の一番最初には蒸し野菜の作り方が載っている

実家の食卓ではまず上がらないシンプルすぎるメニュー

それまでの私なら作ろうとは思わなかっただろう

が「なんかうまく作れない」という原因と、コロナ禍を利用してちゃんと向き合ってみようという気持ちにも、時間にも、余裕が生まれたのだった

 

 

ズッキーニに塩を降って少しの水で蒸し焼きにする、お気に入りの皿にきれいに盛る

少し自分の気持ちが変わっただけで、出来上がりが変わった

シンプルだから甘く感じるし、いびつさも焦げ目もその中でアクセントになる

さらに後日、蒸し鶏を30分、火を止めたストウブの中で寝かせてみて悟った

 

ストウブってもしかして今までの鍋とは全く違う使い方なのでは…?

 

ちなみに、

レシピ本にも基本の使い方はちゃんと書いてある

どんだけ読んだ気になっていたんだ…

 

というわけでストウブの使い方まとめ。

・ストウブの調理、火はほとんどとろ火、

・蓋をしてほっておくくらいが丁度いい

・火を止めてからの鍋の余熱で最後の仕上げをするから8割くらい火が通ってからが勝負、すぐには皿に盛らない

・ちょうど良く鍋の中の蒸気を回すにはどのくらいの量がいいか、水分と塩分が必要か、これは経験値

 

 

 

 

真面目に鑑賞してたけど最後にちょっと脱線しちゃう「孤狼の血 LEVEL2」

1作目未見

以下、ちょっとネタバレしています

 

 

誘われて見たんですが、私の一番の注目は村上虹郎さん

犬ヶ島」で声優を務めていた時から注目してます

あの酒ヤケしてそうな声がいいですね

伸びるけどかすれてる声質

表情豊かな役もそうでない役も合いそうなニュートラルさ

演じる役によって全く違う魅力が生まれそうな所に期待しています

今回の役どころは、一見考えなしのバカな弟でありながら、自分なりの考えで道を決め、それでも大きな力によって飲み込まれていく主人公(松坂桃李)の手下、チンタ

演じ方によっては、バカなまま突っ走ることも最後を哀れに見せることもできた役だけど、迷いの中にも一本気な所があって、登場人物としての厚みを感じました

死体損壊はともかく、上林がチンタを一発で仕留めたのは、彼の出自を思ってのものだったのかもしれない…

 

さて、その上林(鈴木亮平)がすごい出来

せっかく役者という職業なんだし、あそこまで悪い役もやってみたくなるのかも!

若い俳優さんにしては大柄だし、なかなか同年代であの迫力を出せる俳優さんが思いつきません

原作がどの程度反映されているかはわかりませんが、上林の育った環境が彼の人格を形成し、それにまつわる猟奇殺人が映画のキーワードになります

でも、そのきっかけがあることで上林の「不気味さ」が薄まってしまう気がしました

何を考えているかわからない「不気味さ」が最も恐ろしいと思うので

 

そういう意味では警察サイドの「不気味さ」はうまく引き出せていました

人の良さそうな瀬島(中村梅雀)は最初からそんな人存在していなかった、というオチ

(車に引かれて唐突に死ぬ、というのは同じ白石監督の「凶悪」のシーンでもありましたよね。あの映画、とても強烈だったので記憶に残ってます)

管理官(滝藤賢一)の一歩間違うとコメディになってしまいそうな振り切ったキレっぷり

信念でも正義でもなく、ただ目的のために動く

 

記者(中村獅童)もすごく良かった

獅童さんてこんないい演技するんだ、と初めて知りました

昭和から抜け出せてない感じが1番出ていたと思う

 

前作で抗争をしていたであろう2つの暴力団の幹部は、上林に掻き回されるだけあってアクが薄め

Vシネだったらあり得なさそうな描かれ方をしています

 

作品の舞台になっている時代は、私も存在している時代

地方都市の団地、わたしの暮らした家はまさにこんな感じだったなと

テレビは…こんなに古かったかな?

ソバージュの人がひとりも見当たらなかったな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとゴメン、完全に逸れる話なんですが

いらこ会総本部に乗り込んだ上林達のスーツ(茶色の上下に赤紫のシャツ)が完全に宝塚月組のショー「Dream Chaser」のタンゴと同じで…

上林、ありちゃんと同じスーツ着てるじゃん!!!って見ながら思ってました…

ゴメン…

 

 

 

 

わからないということはわかっていたい 「In The Heights」

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丸の内ピカデリーにて鑑賞

通常料金より600円プラスになりますが、すごくいい劇場!

スクリーンに対してゆるく湾曲していて、席の間があいているので隣の人が気にならないし快適です

音も迫力があって、ミュージカルにはとてもよかった

しかもピカデリーは松竹系で、シネマ歌舞伎関係で東劇を利用している身としては回数に応じて割引してくれたりバースデー割引があったりしてちょっと嬉しい…今回も割引がききました

 

8月は暑い日が続きましたね

そんな中出勤の気だるい朝、電車の中でエンドレスに再生したのがイン・ザ・ハイツのオープニング。

クラベスを打ち鳴らすラテンのリズムから始まり、登場人物たちが順に歌い、サビで一気に放たれるエネルギーでめちゃくちゃ元気になります

長いナンバーが非常に多く、オープニング、ワシントンハイツの美容院、プール、クラブ、アブエラが天国に旅立つ歌、カルナバル…等

映画で見ていて、舞台だとこういう舞台装置なのかな〜と想像できそうなところが良かったです

海辺で子どもたちに言い聞かせしていたウスナビが実際は雑貨屋の中にいたりとか。

ただ、ベニーとニーナがハイツの外階段で歌うシーンは天地が入れ替わったりするんですが、見ていて切り替わりが全然わからなかった。

あれも舞台の演出を生かしているのか?

ウスナビとバネッサの感情の流れが、中途半端といえばそうだし、リアルな若者っぽいといえばそうなのかも。

ワシントンハイツは本国の理不尽な力で刻々と移り変わっていく…という話かと思いきや、僕達の街は変わらないよ!みたいな終わり方でした

(タイトルがイン・ザ・ハイツだしね)

ところで、ホームパーティーで出てきた料理がとってもおいしそうだった!中米料理、興味ある

 

 

さて、ウスナビという個性的な名前を聞き、かつてSHINeeのKEYくんが韓国版で主演を努めていたことを思い出しました

韓国のミュージカルのレベルはとても高いし、万能タイプの彼だからきっといい舞台だっただろうと。

 

ただやっぱり、ラテンのリズムや移民の感情を全く異なる民族が表現するには無理があると思います。

確かにメロディは楽譜に起こされているだろうし台本も日本語訳できるだろう

しかし「血」がそうでないものを表面的に撫でただけで何になるんだろう?と思う

移民であることやラテン民族との性質の違いはやっぱり日本に暮らしているとわからないんですよね。停電のくだりとかコロナ禍っていうのもあるかもしれないけど。

 

わからないからと言って投げ出したくはない

でも知ったようなことだけは絶対言いたくない

 

世界には色んな人がいて、1つの事柄に関してもいろんな捉え方があるということ

それだけはわかっていたいと思いました

 

 

顔が良すぎて見分けがつかないよ!宝塚宙組 シャーロック・ホームズ / デリシュー 甘美なる巴里

宙組さんを初めて生で見てきました!

プログラムが手元にないので…かなりアバウトな感想になります

全体的に解像度は高くなっているので、真風さん潤花ちゃん、芹香さん、天彩峰里ちゃん、桜木さん、和希さん、瑠風くん、しどりゅー、こってぃくらいまでは認識できました

フライングサパを放送で見て組長の寿さんのお役がすごく好きだったので、冒頭も「あ!すっしぃさんだ!」と思いながら見ていました

ちなみに、同じく放送でハリウッドゴシップと炎のボレロも見ており、その時の潤花ちゃんのお芝居がすごく好きでした

 

シャーロック・ホームズ

あらすじ

アイリーン・アドラーは海軍大佐から盗み出した軍艦の設計図が元でジャックザリッパーの5番目の被害者として狙われる

その黒幕はモリアーティ教授。

ホームズはスイスにて教授一味を追い詰めるが…

 

この日は立ち見。

普段は全然平気なのにオペラで追っているとどうやら息をするのを忘れるらしく酸欠になる😂

途中で迷惑にならないようストレッチしました

やっぱり大劇場はセットがすごいです。

幕開きで4つの家のセットが回り舞台の上にランダムに置かれています

それがロンドンの街を表し、さらに舞台の奥にもセットがあるので、立体感がある

群舞もランダムに家のセットの間を通り抜けます

そして4つの家のセットは小道具を変え、向きを変え、手動で動かされ、色んなシーンに配置されていくわけです

 

また、エリザベス女王の登場するシーンには浅い階段を配しセリと合わせて玉座に見せたり、ラストでは再利用されて駅のホームに見立てられます

今回も桜嵐記のようにせり上がって室内のシーンが現れたりする

 

さらにホームズとモリアーティがスイスで決闘するシーン

回り舞台が上がりながら半周するとプロジェクションマッピングのスクリーンになり、舞台全体(外側まで)、滝のような水滴が映し出されます

余計なセリフがなくても滝で戦っていることを表現。

 

桜嵐記は歌舞伎を模したようなセットだったので大道具をそう使ったか!みたいな配置の妙はあまり感じませんでしたが、その前に見た花組さんのアウグストゥスも今回のセットもとっても考えられているな〜と思いました

 

全体的なカラーは、陰鬱としたロンドンの街を表した暗めの配色。

なのでオペラ観劇のシーンやエリザベス女王への謁見のシーンはぱっと明るく、ホームズの部屋、221Bのシーンは温かい感じがしました

 

全体的な組の印象としては、コーラスがとっても良い!

楽器として芝居にもショーにも溶け込んでいました。

スーツものだからか全員すごく落ち着いて見える、なのでキキさんのキャラが際立って見えました

もえこ(瑠風)くんは受け身っぽい役を見る機会が多かったので、チャラい(?)感じが良かったです

やっぱり潤花ちゃんのお芝居がすごく自然で、可愛くて憎めないしたたかな女でした

重心が低いというか…あまり上下動がないというか…

どう見えるかが自分の外から見えている感じで、それって天性の何かなのかなー、と思いました。表情も含めて。

 

デリシュー

アフタヌーンティーみたいに(パリだけど😅)、小品がたっくさん並んでる、さあどれにする?っていう感じでした

カラーは基本LADUREEっぽい。

大階段がパステルのグラデーションで可愛かったです

ショーも花→月と見てきましたが、お衣装がとにかく可愛い

覚えてるだけ並べる

最初はパティシエでしょ、パステルの紫

カンカンは白っぽかった

アントワネット様はパステルグリーンのドレス

夜の森っぽいところは思いっきりダークな赤と黒

中詰は黒とオレンジ?ゴールド?で羽根

クリスマスカラーのキャンディケーンのステージにトリコロールのダンサーズ、

ロケットはビビッドなピンクのマカロンでした

 

お芝居の渋めの色合いを帳消しにするような華やかなステージでした

それで、この記事のタイトルになるんですが

 

全員顔が良すぎて覚えられなーいー!

 

けーぽっぷで言うところのTHE BOYZのメンバーが覚えられないみたいな感じだろうか…

 

特に燕尾が必死過ぎて秒殺でした

まかキキの囁き見たいからってオペラで追ってると何もかも終わってるっていう。

そういえば、真風さんが鞭を持ってる場は改変の手が入ったとか。ずっと華やかな場面が続くので私はあの雰囲気があるだけでだいぶ落ち着く感じがしました。なので場面カットじゃなくて良かったです。

潤花ちゃんの最後のポーズも彼女の違う一面が見れて、やっぱり芸達者な方だなと思いました

 

小万姐さんに惚れた…令和三年8月大歌舞伎 3部

引き続き3部の感想です

源平布引滝  義賢最期

鞘当

三社祭

の3作です

 

当初は團染の三社祭目当てで取ったチケットでしたが、義賢最期がめっちゃくちゃ良かった…!

 

義賢最期  あらすじ

義賢(幸四郎)は源氏方で病に臥せっている

義賢の館に小万(梅枝)、父の九郎助、その孫の太郎吉が訪ねてきて、小万の夫は義賢の娘、待宵姫(米吉)といい仲の折平だと申し出る

実は折平(隼人)は多田行綱。源氏再興を目指しており身分を隠していた

義賢は共に再興を誓うが清盛の追手はそこまで迫っていた

討死を覚悟し、小万に「源氏の白旗」を託し平家の追手を迎え撃つが…

 

沢山の見どころがあります

1.義賢が手水鉢を割る

→源氏再興への思いの強さを表す

2.兄義朝の髑髏を踏ませる

→二心を試されるが、踏めるはずもなく立ち回りになる

3.戸板倒し

→奥の間の4枚の戸板(襖)が立ち廻りで外され、軍平達の手によって箱型に組み立てられます

にしたって、何の部品もなくただ支柱2枚の上に1枚乗せられた戸板の上。その上に義賢は乗ります

何人もの手で支えられていた戸板が最後は軍兵1人になり(この役目の人もどーなってるの?指だけで支えてたぞ)、倒れる戸板と一緒に着地します

4.進野宗政を一緒に刺す

→自分ごと後ろにいる敵も刺す

もちろん実際に刺したわけではないので、後ろにいる役者も義賢と同じ方向に動かなくてはならない

5.仏倒れ

→死に際、顔から階段に向かって落ちる

すごくやわそうな階段で誰か踏み抜いたりしないか心配になったくらい、劇中たわんでいた

仏倒れ仕様になっていると思われる

 

大筋も義賢役の幸四郎さんももちろん良かったんですが…

なにより小万役の梅枝さんがかっこよすぎてのけ反った

 

普通立ち回りは武士たちの役目だと思うんですが、何故かおじいさんの九郎助と背負われた子役の太郎吉、そして女性である小万の立ち回りがあります

で、立ち回りしに戻ってきた小万

何故か髪型がポニーテールになってる…!

かわいい…!

そして戦うとメチャ強い…!

姐さん…!

梅枝さんのビジュアルも元々かっこいい姐さんですし、合っているんだと思います

にしても最後までともに戦うのが女性っていうのにすごく惹かれた

 

義賢最期、無茶なこと言うと

色んな人につとめてもらって、いろんな小万が見たい

見た目も派手だし、幸四郎さんこの役好きそうだなって思いました

四の切と同じくらい、この演目が出るだけで無条件にチケットを取ってしまいそう

 

そして出番は少ないけど、待宵姫を演じた米吉さんの可愛らしいこと…

今が盛りと言わんばかりの可愛らしさ

可愛らしさでは抜きん出てる気がしました

まるるも可愛いけど、米吉くんは自分の可愛らしさを熟知してる感じがする。

これがあざとさ…?

 

 

そして三社祭

何故か浅草神社までおさんぽしちゃった記事

素化粧気味で最初どっちがどっちかわからなかった(笑)

というか、完全に悪玉が團子チャンだと思っていて、後ろ向きのふるふる…!が終わって振り返った瞬間こんな顔だったっけ??ってなって混乱した

それはともかく、二人の持ち味はコンビネーションと若さ。

とにかく角度もタイミングも、けーぽっぷのカル群舞のごとく合わせてきます

日本舞踊に関わっている方は何か思うかもしれないけど、明確に「ココを見せたい!」というポイントがわかったので素人の私は楽しめました

立ったりしゃがんだり、辛そうな動きも丁寧で好感が持てました

 

 

夏の若手祭り2部「豊志賀の死」@令和三年8月大歌舞伎

引き続き、8月場所の2部感想

2部は

真景累ヶ淵 豊志賀の死

仇ゆめ の2演目です

豊志賀の死に関しては以前記事で触れましたが…

なんと、鶴松くんがほぼ主役と言っても良い役どころです

 

 

豊志賀の死  あらすじ

唄の師匠、豊志賀(七之助)は相貌の崩れる病気(長い話の中では因果によるものなのだが、ここでは割愛されている)で年若い弟子で恋仲の新吉(鶴松)に看病されているが、弟子のお久(児太郎)に新吉を取られはしまいかと疑心暗鬼。

新吉はその嫉妬が煩わしく、豊志賀が寝ついた夕方にお久と出かける

起きた豊志賀は嫉妬に狂い死ぬ

そうとも知らず身の上話をし合う二人の元に豊志賀の亡霊が現れ、恐怖を感じた新吉は伯父の勘蔵の元へ

勘蔵は新吉に恩義のある豊志賀を捨ててはいけないと諭し、実は豊志賀が奥に控えていると言う

二人が帰るための駕籠を勘蔵が手配していると、長屋の噺家さん蝶(勘九郎)が豊志賀の死を知らせにやってきて…

 

落語がベースでありながら歌舞伎独特の仕掛けが生かされている作品です

お久と鮨屋の2階にいるとおもむろに消える行灯の火、物陰から豊志賀が現れ消えていく…

勘蔵宅の奥に引っ込んだ豊志賀がラストのオチ、駕籠の中にいつの間にか潜んでいる…等

 

鶴松くんは中村屋の兄貴分である七之助さんに思いっきりだる絡みされ怖い目に遭わされるという、確かに「合ってるな…」と思わせる配役でした

そこまで豊志賀を疎んでいるという役作りではなく本当に困り果てた感じで、お久の身の上話にも心から賛同している人の良さがにじみ出ていました

日暮れの鮨屋の2階でしっぽり…という当時のデートのリアルさ(?)が感じ取れて、あそこの美術やセットがすごく好きでした

 

鶴松さん、コロナ禍とはいえ歌舞伎座の本興行で新吉役をお勤めになったこと、大変なプレッシャーとご苦労があったと思います

客席もなんとなくその事を感じ取って応援しているような空気でした

本当にお疲れさまでした!

 

つづいて。

仇ゆめのあらすじを簡単にまとめると

京都壬生野の狸が、島原の深雪太夫に恋をしたため人間(深雪太夫の踊りの師匠)に化けて会いに来る。それに茶屋の主人が気づき、狸を懲らしめたところ死に際に深雪太夫に会いに来る…という感じです

 

あんまり真面目に受け取ると狸が懲らしめられて以降の流れが辛くなるので、

さるかに合戦やぶんぷく茶がまのような日本昔ばなしのような感じだと思えばいいのでしょうか…

 

狸→深雪太夫→師匠という好意の流れがあり、それぞれが思いを感じていても理由あって受け入れることができないのが切ないところです

舞の師匠(虎之介)が意外と切ない

 

中村屋ハッピー演目御三家(鰯売恋曳網、山名屋浦里、心中月夜星野屋)と系統の近い作品なんですが、最後が泣ける😭

そしてこの泣きの演出こそが中村屋の真骨頂だとも思う

 

途中まで狸のぽんぽこした(本当にぽんぽこした音!)効果音や懲らしめられる動きの滑稽さは昔話のデフォルメされた世界観なんですが、狸が死に際に深雪太夫に会いに来ると一変、花吹雪がちらほら落ち始めます

習った踊りを一緒に踊って元気づけようとする深雪太夫、しかし狸に余力はなく倒れて丸まり息を引き取ります

この、だんだん動かなくなる勘九郎さんの演技が人間なのにリアルで。

そして動かなくなったたぬきの手を取ってぽんぽこ(両手を合わせる動作)させる深雪太夫、頭をぽんぽんと撫で、自分のかんざしで死んだ狸の毛並みを整えてあげます

この七之助さんの動作もいじらしくて泣ける

小品ならではの中村屋の芝居のディテールの細かさを感じました