すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

令和三年12月大歌舞伎2部3部

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年の最後に12月大歌舞伎の2部3部を見てきました

あまり見ない座組で新鮮です

 

2部

夫婦道成寺

ぢいさんばあさん

 

勘九郎さん(中村屋) ✕ 尾上右近くん(音羽屋)、

勘九郎さん ✕ 菊之助さん(音羽屋)、という組み合わせ。

夫婦道成寺は、道成寺レギュラー陣の聞いたか坊主が聞いたか強力(旅の荷物を持つ従者の事らしい)として登場。

最初に赤い衣を着た花子✕2が出てくるんですが、

後見さん一人でやるぶっ返りを初めて見ました!

最初は「着物の糸ほつれてる?」って思っていたんですが、振り返るごとに少しずつ糸を引いていって、最後の一本できれいに脱がせていた

そういえば、よく見る後見さん2人でのぶっ返りって、パタンと折り返るだけで衣を脱いではないですよね

 

鶴松くんの浦島は、暗転中だったけどきっとこのぶっ返りパターンだったんだろうと。この早着替えをぶっ返りと呼ぶのかは不明ですが。

 

さて、ぢいさんばあさん。

勘九郎さんと菊之助さんの男女役を初めて見た気がします

寄り添っていちゃいちゃするのが可愛らしい

甥夫婦に右近くんと鶴松くんという組み合わせも珍しく、お似合いだった

何度でもいいますけど、わたし鶴松くんの女方大好きなんですよ

普段は普通の青年だしそんなにべっぴんさんなわけでもないのに(オイ)、大好きです

そしてもちろん菊之助さんの女方も大好きなんですが、今回初という老けがびっくりするくらい誰かわからなかった…!

顔もそうなんですが、一番は声。

30年経っていたら、さすがにすぐには奥さんだってわからないかも。

そして、あんまり得意な系統じゃないストーリーですが案の定泣きました。

鴨川の川床で桜を散らすのがとてもきれいだった。

 

3部

吉野山

信濃路紅葉鬼揃

鬼揃の松羽目の松に紅葉が絡んでいて美しい

始め花道から出る玉様御一行が幽玄で息を呑む美しさでした

ここからはわたしの気のせいかもしれないと思ってお読みください

能ベースのせいか舞台上のあちこちで船を漕ぐ人が続出。最初は具合でも悪いのかと思って驚いたけどそうではないらしかった

私のオペラは誰か寝てないかチェックするのが面白くなってしまって…

七之助さんは舞台の進行上寝始めるし山神の松緑さんが起こしても起きないし笑

ちなみに観客も沈没かなぁと思っていたら3階は9割くらい起きてました

 

 

山神は鏡獅子や操り三番叟と同じく見ていて難しそう

リズムを打ちながら棒を持っているので勤められる人が限られそうだなあと思いました

 

今年は代役はあれどチケットを払い戻すようなこともなく歌舞伎の観劇ができました

面白かったのは1月国立劇場の四天王御江戸鏑、

おやじさま面白くて最強、菊之助さん美しい、話が面白い、こういうのが見たい〜と思わせられました

5月のコクーン歌舞伎 夏祭浪花鑑も良かった

徳兵衛とお梶にはどきどきした

歌舞伎座は古典1場と舞踊での構成が多かったけど

義賢最期のお万姐さんに惚れた、幸四郎さんも良かった

梅枝さんと新悟さんのお役の細やかさがよくわかって、特に3月あたりに馬盥と絵本太功記の尼崎閑居の場が続いたのが私の理解に繋がったように思う

子役は寺嶋真秀くんの土蜘の太刀持ちが良かった

松本幸一郎くんや市川右近くん、勘太郎くんや勸玄くんなど、10歳くらいの子役さんがたくさんいるので今後の成長や競い合いも楽しみ

女方は右近くんの活躍も印象的で、お嬢吉三もあったけど八百屋お七の火の見櫓は絵画を見てるみたいだった

米吉くんの小平次外伝のおまきはなかなかクレイジーな役作りで良かったし、2021年の全てが可愛かった

澤瀉屋の場合は長い演目をダイジェストで1部内におさめるということに活路を見出したみたいで、岩藤、義士顔見勢、伊達十など現代の舞台フォーマットに合わせてきていることを実感しました

 

シリーズ私のご贔屓さん 月組 新トップコンビに寄せて

年が明け2022年になると、月城かなとさん、海乃美月さんの月組の新トップお披露目公演が始まります、おめでとうございます!

なのでこれを機に贔屓組、月組の面白いところをまとめておきたいと思います

月組、本当見ていて飽きないんですよね〜

 

前トップ・珠城りょうさんの愛されっぷり

月組の生徒さんは8月に退団された珠城さんのことが大好き。

男役娘役問わず、隙あらば珠城さんと仲良いアピールをしてくる

他組は割と上下関係を感じるが、月組の珠城さん周辺にはそれがない

心の相手役こと輝月ゆうまさんに隠し撮りされたり、娘役が珠城さんのことをてぃーてぃーと呼ぶのを見るにつけ取り繕いのない仲の良さを感じる

そして珠城さんがいない今、トークの場でどれだけ組子の魅力を披露し、うまく場を回していてくれたかということに気づくのだ…

 

現在の月組の皆さん

鳳月杏(ちなつ)さん

ちなつさんは月組花組月組という組替えをされていて、御本人も月のように静かな光を放っている

だけど夜空に月が不可欠なように、ショーでも芝居でも、ちなつさんがいるだけで安定感が生まれる

本人は自分のことをぼーっとしてるって分析していて(正確に言うと前は今よりぼーっとしてた、と言ってた)、なんだかそれも理解できる気がする

旅行でウィーンに行き好きな場所は空港。風共はお芝居も映画も好きだって。

わたし、ちなつさんとすっごく仲良くなれる気がするんだよね

ちなつさんのお役といえば主演した「出島小宇宙戦争」のカゲヤス

谷先生の演出作品は2.5次元的で衣装や設定に役が埋もれがちになるけど、けだるげな性格が出ていて、何より海ちゃんとのフィナーレが良すぎた

アイスダンスのような高度なリフトで、アスリートコンビとして月組の違う一面を見た思いだった

そう、海ちゃんはちなつさんとのカップルバランスもとても良い

 

 

 

ちなつさんの同期、千海華蘭さん

男役としては小柄ながら、出る芝居出る芝居で視線を奪うお方

ピガールのロートレックしかり桜嵐記のジンベエしかり、あそび(役の隙間)がある役になればなるほど存在感を放つ

ただでさえ月組れいこさんが芝居うまトップなのに組長の光月るうさんがこれまた芝居うまバイプレイヤーで、さらに華蘭さんまでいるんだからどうなっちゃってるの、と思う。

華蘭さんはお顔がめちゃくちゃキュートなので、ショーでいい役の下級生がいるなーと思ったら華蘭さんだったということが多々ある、クルンテープの緑の精やBADDYのシェフ等。

あと燕尾で並んだときにパッと目が行く。小柄なのってある意味武器だとも思う

 

暁千星(ありちゃん)

ありちゃんは珠城さんの前では借りてきた猫。

(珠)ほんとありはすごいよね!

(暁)えへへ、いやいや〜、

みたいなトークがよく見られます。

でもきっと珠城さん、先輩としてありちゃんにたくさん指導してらしたんだろうなあと。現雪組のあーさ(朝美絢さん)との役替りで「競い合わなきゃ意味がない」って怒られたこととかを知ると、社会人とは違う関係性が見えてきます。

ありちゃんが心から珠城さんを尊敬していて、桜嵐記ラストの台詞「戻れよ」が言えないかも…と本気で心配していたのがとても可愛かったです

ありちゃんのお芝居で一番好きなのは「Arkadia」

ベッドで「おはよ、」って暗い声で言うミネットは本当に好きな役作りだった

私はありちゃんの歌声が好きで、特に高音の伸びがめちゃくちゃクセになる

クルンテープのオープニングは銀橋の美園さくらちゃんと入れ替わるように登場していてとっても良き

これでダンスは5組でも屈指の腕、手足が本当に長くて、こんな人います???って自分の頬をつねりたくなる。

そしてありちゃんはスロースターター

カメラが回っていても序盤は全然ぼーっとしてるし、月組の皆さんは慣れているのかそんなありちゃんをよちよちとあやしてくれている!

 

 

英かおと(うーちゃん)

ありちゃんの1期下になるのが私の大好きなうーちゃんこと英かおとくん。月組の清涼剤。

化粧ばえする表情、目尻がきゅるんとしていていつもにこにこで超カワイイ

タンゴを組んで踊ってるときは悪い男なのに、ロケットで出てくるとスタイルの良い娘役にしか見えないのはどういうこと。

燕尾ではセンター後方にいることが多く、ダンスでも期待されているのがわかる

 

風間柚乃

その1期下になるのが風間氏。

見た感じ、自立していて上下関係我関せずっぽそうなのに、自分でも「また珠城さんの話だ〜」って言うくらい珠城さんのエピソードを出してくるし、珠城さん退団の千秋楽幕降りで号泣して隣のありちゃんに笑われる

風間氏はなんかちょっとナメた感じでいつも余裕があるのがあんまり他のタカラジェンヌで見たことがなくて面白い。だから先輩たちも何故かナメた感じで風間氏に接していて、いい意味で現代っ子っぽく先輩と関係を築いている。

役ではない所で話しているのを見ると彼女は不思議な空気感を持っていて、会話でも紙面でも擬音が多く、特に「へっへっ」っていう笑い方をよく見る

「ピガール狂騒曲」のボリス、「I AM FROM AUSTRIA」のフェリックスはキーパーソンで、難しい代役も何度が経験しており、難役にこの先も挑戦していくんだろうなと思う

 

最も個性豊かな人、月城かなと

れいこ(月城)さんは組替えで月組にやってきたため、生え抜きの多い月組生の中では客観的に組内を見ていると思う

しかしながら…!

トークを見ていて、一番おもろいのはれいこさんであることは間違いない

その特徴として

トークの途中で放り込まれる天然の可愛さ

・褒められ下手ゆえの変な空気

・俯瞰しすぎることで生まれる謎の視点

などが挙げられる

 

トークの途中で放り込まれる天然の可愛さ

「BADDY」のトークで…

女装をする場で美弥るりさんは絶賛、れいこさんはスルーされ、隣に座る愛希さんが「れいこはいいんだもんね」とフォロー、れいこさんはすかさず「いいんだモン」と拗ねる

その言い方があまりにも子供っぽすぎて(何事??となる我)

「I AM FROM AUSTRIA」のトークで…

初対面のちなつさんに人見知りぶりを暴露される

鳳「なんか気を遣ってくれて、コーヒーお好きなんですか?って話しかけてきてくれたけど…」

月「(頭抱え)わたしほんと人見知りで…」

画面越しでわかるくらい真っ赤になってて(そんなことある?となる我)

 

褒められ下手ゆえの変な空気

れいこさんあるある、褒められると挙動がおかしくなる

Dream Chaserのトークで…

珠「れいこのラップ、袖で聞いてても何言ってるかわかるね」

月「だって…おうちでいっぱい練習した…(消えそうな声)」

イヤ、(トップからしたら)こんな2番手いたら可愛いに決まってるやろーーー

川霧の橋のトークで…

鳳「(トップ)ふたりのストイックな姿勢を見て、組子はそれに付いていけばいいんだなと思って(要約)」

月「@#$%^&*デーース(たぶん良かったですって言いたい)」

そこ使うのディレクターさん!?様子おかしいよ!?!?

ちなみに海ちゃんはとってもできた娘役さんで、れいこさんのことを常に褒めてくださるので、この現象はしばらく続くと思われます笑

 

俯瞰しすぎることで生まれる謎の視点

これも軌道修正できる人が現れない限り今後も続きます、何ならちなつさんもちょっと面白いと思ってる疑惑。

昨年の年末特番でれいこさん、ちなつさん、ありちゃんが「WELCOME TO TAKARAZUKA」と「ピガール狂騒曲」をコメンタリーする企画がありました

そのトークがなんだか他組とちょっとズレていて…

背景の鳥居に対して

月「すごい数の鳥居でしたよね」とか、

持っている小道具に対して

鳳「あの鏡見えてるの?」

月「曇ってます笑」とか、芝居は芝居で

月「ありちゃんギリギリまで袖で走って移動してるのにここでドヤれるのすごい」

「シャルルの衣装がハロウィンおじさん」

以前から、れいこさんが隣に座るありちゃんの太腿叩いたり刈った髪をおもむろに触ったり、ありちゃんのことを比較的うざめに可愛がっているんだろうなというのはわかっていました

で、ありちゃんはその愛がありがたくもうっとおしい(笑)

 

他にも珠城さんの女役について

鳳「目がいつもよりバッてしてるね」

月「リップもピンク」

暁「顔も普段より明るい色ですね」等…

他の組はコロナ以降に公演のできる喜びとか、娘役かわいい男役かっこいいといった感じなのに、月組だけすごくマイペースであり客観的でもあり聞いてて面白かったです

 

組の娘役に対する反応も、

特に花組は娘役が可愛いレオタードとかアクセサリーしてるとかわいいねって直接褒めるのに対し、「心のなかでは思ってる(風間氏)」という…

こんなのもありました、スカイステージのコーナーで夢奈瑠音ぴが

エリザベート」黒天使役の際、愛希さんをかわいい…!と思いながら運んでいたけど伝えはしてないと

また、れいこさんは「アンナ・カレーニナ」で浮気したアンナ(海ちゃん)が浮気がばれないよう震えながらカレーニン(れいこさん)と腕を組んでいて「かーわいいっ」と思っていたと

月組男役が不器用すぎて草。

 

れいこさんは髭の支配人からやんちゃな三男坊まで役に振り幅がありますが、共通するのはどんな役でも自分のはまり役にしてしまい(例外があるとしたらアイドル)、オタクの掘り下げ欲を煽ってくる

「桜嵐記」の楠木正儀はコメディもシリアスも毎回どういう切り口で来るのか見ていて飽きなかったし、twitterの報告を読むのも楽しかった

最も私の心にきた役は「THE LAST PARTY」のフィッツジェラルド

相手役の海ちゃんがリミッター解除して「私のせいだって言いたいの!?」とヒステリックに叫んだところを「違う!」と一刀両断したのに痺れた

言葉が鋭すぎて静まり返った舞台が印象的だった

 

さあ月組の新トップコンビお披露目まであとわずか。演目は「今夜、ロマンス劇場で」と「FULLSWING!」です

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上演が決まり映画を見ましたが、絶妙に苦手なライン……です。

が、オリジナル要素がありそうだし演出は「食聖」の小柳先生。オリジナルが面白いなんていう保証はどこにもない…けどきっと、どんな作品でもれいこさんと海ちゃん、そして月組の皆さんならうまくまとめてくれるはず。

なにしろ「やってみなきゃわからない!」からね。

 

 

 

 

 

 

 

汗と涙は無駄にはならない 宝塚星組新人公演 柳生忍法帖

今回、配信のおかげで初めて新人公演を見ることができました

プログラムもダウンロードできたので、タブレットに出しながら見たんですが、とても快適。

名前のわからない下級生を発見しながら見るのでとても良かったです

 

星組柳生忍法帖」主演 天飛華音。

もうね、天飛くん大好きですよ。

天飛くんがトップになって退団するまであと10年くらいは追える自信がある

何も知らずに見たエルアルコンライビュで、礼さん愛さんの次に覚えた男役がキャプテンブラック役の天飛くんだった

とにかく活きの良さそうな、むしろ突っ走りそうな、若くて危なっかしい目をしていた

瀬央さんも言ってます、たまに周りが見えなくなるけどって。

マノンでも悪いことを堂々とするお役。死に様も派手で。

歌も良いし、何より身のこなしが鋭い。

柳生忍法帖の本役はかわいい多聞坊でこれも似合ってるんですが、十兵衛めちゃくちゃかっこよかったです

「いやでござる」から十兵衛が仁義をとくくだりはむしろ本公演よりゆったり間をとっているように感じて、主題なのがわかりやすく伝わりました

ゆら役は瑠璃花夏さん、なこちゃんの1期下だそうです

すっきりとした雰囲気がこの演目に合っていて、台詞は聞きやすく歌が上手でとても良かったです

本役でも七本槍を演じる碧海さりおくんは芦名銅伯。回想の黒い鬘で戦う姿がかっこよかった

衣装のシルエットもあるかと思いますが、舞台上の姿がすごく大きく見えました

沢庵和尚の夕陽真輝くん、千姫の澄華あまねさんは歌に聴きごたえがあり落ち着いた佇まいで、加藤明成の鳳真斗愛くんは本役の輝咲さんと同じく悪役というよりはコメディ寄りで印象に残りました

5組の中でもけっこう星組は見ているつもりですが、下級生まではなかなか覚えられないですね

 

新人公演って新規オタクからするとちょっとびっくりするようなシステムで…

ほぼ定価(ショーなしなので)、下級生の公演に殺到するって最初は考えられなかったんですが

歌舞伎で言うところの新春浅草歌舞伎、部活だと新人戦みたいな感じかと思うとわかる気がする…

観客は本役との違いを楽しみ成長に期待する、運営は今後の可能性を見極める、役者は経験の場になる…というわけで考えてみれば理にかなったシステムなのでした

 

 

 

 

 

女と子供だけのサスペンス劇…令和三年12月大歌舞伎1部「伊達の十役」

2021年を締めくくる興行です

まずは第1部から。

1幕と2幕で全く趣の違う作品。

序盤メッチャ義太夫節。この調子で10役変われるの?と思って、2幕になるとあれよあれよの早変わりになります

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1幕はじっくりどっしり。

政岡は強い精神を持っていて、自制がきいて、言葉は少ないけど周りを見て立ち回れるタイプ

栄御前(中車)が去り八汐(巳之助)と一戦交えたあとの長い長い静けさが、その後の感情を爆発させた「でかしゃった」に繋がるんですね

そして歌舞伎は子役さんとの縁が切っても切れないんだなあと改めて

今年だけでも子役が重要な鍵を握る演目をたくさん見ましたが、どれも印象に残ってます

今回、千松役は市川右近さん、鶴千代役は松本幸一郎さん

10歳くらいだとむしろ成人よりもたくさんのお役が回ってくるのかも

中車さんの花道から入ってくる存在感がすごかった…!女方初めて見たかもしれない

巳っくんは声の威圧感がすごくて、機敏な立ち回りができる役者として猿之助さんから重宝されているように思います

今年は本当に歌舞伎座で大活躍でしたね

 

1幕は登場人物がほぼほぼ女と子供です

舞台はお屋敷、持ち込まれたお菓子には毒が仕込まれている。鶴千代が食べないとカドが立つが、食べさせるわけにはいかない。さあどうする…?

というスリリングな展開

所作もあろうが心理劇なのでけっこう中車さんには向いている気がする

(思えば古典って心理劇が多いかもしれない)

武将だけが物語の主人公にあらず、家を守る人たちの物語です

幕開きの女中2人(笑也さん笑三郎さん)のしっくり感がものすごくて…

セリフの流れや空気が自然だし、2人の息が合いすぎていて序盤に見せ場が来るのがもったいなさすぎました

 

さて2幕

お染の七役のような、早変わりの芸を楽しむ場面です

玉太郎さんのねずみの若衆、可愛かった〜

回るたびに尻尾がぴしぴし猿之助さんに当たってた😂

そこから本格的なねずみに交代し(めっちゃ拍手した)、ねずみがすっぽんに引っ込むと入れ替わりに弾正が現れます

子年子の日子の刻生まれの男子の血で弾正を成敗するっていう展開…あれだな。2ヶ月前に見たやつだな(岩藤)

2幕は猿弥さんと弘太郎さんが狂言回し的に大磯から鎌倉まで旅をする道中で出会う人物達の物語です

 

 

こちらは南北で岩藤は黙阿弥なんですが、演出が似てるからこんがらがる〜

ちょっと一旦四の切はさんで落ち着こう的な。

猿之助さん、2月は他の舞台のお仕事だったはずなので、空いた時間使って3月に大きいの持ってくるかもね。大きいっていうのが何を指すのかはわからないけど…

 

余談で

菊之助さんを秋口にぱったりお見かけしなかったので、何かやっているんだろうと思ってカムカムエヴリバディの出演を期待してほぼ毎日見ているんだけど全然出てこない笑

あれだけ休んでこの量?他に映画の出演でもあるのか??と思っていたら

BS-TBS|神秘と継承の世界遺産 白神山地 ~第1章 尾上菊之助がゆく 生命育む8000年の森~

白神山地に行ってらしたみたい

ずっと猿之助さんの成分を浴びていたから菊之助さんが足りない

花咲さんみたいな女方が見たい!!が、年始は里見八犬伝なので大人しく原作の勉強から始めています

忠臣蔵は特に勉強しなくてもわかるのに、里見八犬伝って何度芝居やメディアミックス化作品で見ても登場人物が覚えられない…

 

 

 

 

聖徳太子 日出ずる処の天子@サントリー美術館

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聖徳太子の1400年御聖忌(天子の命日を意味するらしい)ということで、サントリー美術館の「聖徳太子  日出づる処の天子」展に行ってきました

いつも展示の質実さかつ見やすさで満足度の高いサントリー美術館ですが、今回も内心(地味かなあ…)と思っていたのに、見終わってみたらとても楽しかったです

 

入ってすぐ、挨拶代わりの聖徳太子絵伝3点がドンドンドンと並んでいます

ある程度ルールが決まっているのが面白いし大きくて華やか!じっくり見入ってしまいます

聖徳太子といえば建立した法隆寺がまっさきに思い浮かびますが、今回は太子信仰の中心地となった大阪の四天王寺にフォーカスしています。

仏や神々も聖徳太子も昔の人々にとってみればありがたい存在で信仰の対象だったんですね

太子を模して作られたという救世観音が、時代を経て如意輪観音として変化していったというのを初めて知りました

わたしは仏像の中でも如意輪観音の造形が一番好き

今回は奈良国立博物館蔵の如意輪観音が展示されていて、背面まで回り込むことができじっくり見ました

背後から見ると、たくさんの腕があるにも関わらず衣の中からごく自然に伸びていて美しかった

如意輪観音って全体的に、半跏像だからかちょっとしなだれるようで丸顔が若々しくて上に向けた人差し指の先には法輪が乗っていて、やんちゃな印象。

幼い頃の太子像と少し重なるところがあるかもしれませんね

ラストには副題にもある「日出処の天子」の原画が。

以前読んだときは小学生で何も理解できていなかったので、今読んだらはまってしまいそうでこわいです

 

インテリアに釘付け!「DUNE 砂の惑星」

いやー、面白かったですね!

とにかく没入感がすごい

後半の公開を待てるなんて幸せすぎる

IMAXが間に合うならもう一度劇場で見たい

 

あらすじ

アトレイデス家は皇帝からの命で砂の惑星と呼ばれるアラキスを統治することに

そこには先住の民フレメンがサンドワームから身を守りながら暮らしている過酷な土地だった

アトレイデス家の子息ポールは母から不思議な力を受け継ぎ夜な夜な青い瞳の女の夢を見る

ドクターの裏切りからハルコンネン軍の侵入を許し、アトレイデス公爵は殺される

母とポールは屋敷を脱出し、砂の大地に生きるフレメンの元を目指す

 

 

小説原作、何度かの映画化があったとのことですが、このアートワークは受け継がれてきたものなのか…とっても素敵です。

特にポールの居室

ダークな色調の彫刻(?)の大きな壁掛け

サイドテーブルに置かれた、小さいけれど重そうな闘牛の置物

天井が高くて、だけど無機質すぎない室内

インテリアに関してはスリランカのジェフリー・バワのからインスピレーションを受けているような気がしました

シンプルで硬質で金属的だけどどこか温かみを感じるような。

https://stworld.jp/feature/LK/bawa/

(バワ建築を紹介しているページがあったのでお借りしました)

おそらくアトレイデス家はスペイン系の流れをくむ家なのではないのかと思いますが、書類に蝋の印章の指輪を押したり長いテーブルで食事をしたり、SFでヨーロッパの伝統を感じられるような風景を描いた作品を見たのは初めてで意外にもマッチしていて良かったです

宇宙軍艦や静かな宇宙の描写は繊細で美しく、SFの世界観に没入できました

 

アトレイデス公爵が囚われて全裸でテーブルに縛られているシーンの一連…

あんなに退廃的で美しいカメラワークありますか!?!?

地球が舞台でも見たことないのにまさか砂の惑星で…

その前の、侵略の前の静けさからドクターユエの告白も含めて素晴らしかったです

 

斥候として先にアラキスに入るダンカンやフレメンの一行はじめ、みんな強くて冷静なんですよね

何ならハルコンネン男爵ですら冷静沈着に気持ち悪い感じ。

お母さんもとにかく強い!

チャニの見せ場は後半だろうけど、とにかく風呂敷がたためるのか楽しみだな〜

 

 

私はやっぱりB席の女S モアー・ダンディズム!その2

舞台を東京に移した星組柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」を見てきました

 

宝塚大劇場の感想はこちら↓

 

前回は1階席から。

今回は2階後方から見てきました。

結論から言うと芝居もショーも上から見たほうが、私には何が起こっているかわかりやすかったです

今回は2階席から見たモアー・ダンディズム!の感想です

今回の大体のルートは

オープニング天飛華音ぴ、ミッションことなこ、キャリオカぴーちゃん、ハードボイルドあかさん、テンプテーション(残らないみたいなので)全体、で組みました

【オープニング】

席からだと階段上部は潰れます

最前列だとハットが重なり顔が見えにくいので、視線が行きやすいのは舞台後方列〜階段2列目でした。あまとくんはちょうどいい位置。

幕開き前に各色で気合い入れしてると思うと面白いですよね

上から見ることによって、隊形移動をよりはっきりと立体的に感じました。位置取りがキレイ。

途中5組くらいのペアダンスのところ、黄色組のぴーほのかペアが超絶イチャイチャしてた気がしてオペラを奪われる…

【愛さんソロ】

銀橋渡り愛さん編。

愛さんは「みんな俺のこと好きでしょ、知ってる」という自信に満ちていて、もちろん会場全員そうなので自然な空気が流れている。

【ミッション】

上から見るとセットや生徒さんに映るライティングが程よく馴染んで見えて良い。人の入れ替わりが激しいけど、これまた陣形がよく見えた

【ビューティフルラブ】

くらっちほのかぴメインで音咲いーちゃんやにじょはなちゃん等気になる娘役さんの出ているステージ。

舞台上に何もないので庭園のセットとかおいてほしい〜

柳生の磐梯山出しておく?山岳リゾートっぽくなるかもよ?(絶対だめ)

【キャリオカ】

帰ってすぐキャリオカ成分が足りなくなってネオ・ダンディズムⅡを摂取しましたが、センター後方で踊っていた英真なおきさんが相手役さんと粋に絡んでいて良かった〜

ぴーちゃんもそんな感じで相手役の杏瑠さんに投げキッスしてましたよ。大人ぶる年下ぽくて可愛かった

おそらくただ踊るだけじゃなく、そういう所作が各地で行われることにこの曲の良さが出るんじゃないかと思う

はるこさんとくらっちがミントグリーンのドレスで1列並んだところはドレスの蹴回しのおかげでとても華やか。上から見るとなおさらで、しかも星組の娘役は全体的にシルエットが美しい。時代も時代だし、身体的個性も多様化して欲しいけど、スタイル維持がいい意味でモチベーションになっているなら最大限に褒め称えたい〜

【ゴールデン・デイズ】

愛さんと、愛さんに夢中な女たち+夢中な極美くんのステージ

くらっちのドレスもだけどネックレスも合っていて素敵。ドレスには色んなバリエーションがありお芝居の一幕のようです。演出によってはライバルが拳銃持って現れそうなものだけど、この場ではそういうことはありません

星組のロイヤル軍服芝居ってあんまり見たことがない気がする。スカーレットピンパーネルとか?

【ハードボイルド】

せおあかのタンゴで始まり。

タンゴの雰囲気がとにかく大好き。瀬央さんはこういう切ない雰囲気出すのメチャうまい。あかさんは手足が長いのでとにかくストライプスーツが似合う

今回は漣レイラ氏と紫月音寧さんの大人カップルから目が離せなかった

なんか距離が近いのよ。身体というか、あごとあごがね………

というわけで、礼さんについては歌を耳で聞いているだけの状態でしたが、やはり低音域の安定感がすごかったです

あかさんをオペラで見てると視界にあまとくんが入ってくるんですが、後方は照明がちと暗いので距離の遠い2階だとちょっと消化不良かも

【ロケット】

このお衣装、私は結構好きです

若い男役さんが他のショーでめちゃくちゃ可愛いロケットの衣装着てると違和感があるけど、襟があって丸い帽子で、ゴールドと赤と黒の色使いもトランプっぽくて私の好きな色使いです。

バニーガールが着てるような後ろの長いジャケットならなお良かったですかね

【テンプテーション】

なこちゃんのスカート、前が短くて後ろが引きずるほど長いボリューミーなもので、はっきりは見えなかったけど、意外と踏みながら踊っているのかも?と思いました。

あれだけ踊って移動して、転ばないのすごい。

密着度が高く、ことなこのデュエットダンスの中でも割とアダルティなのでは…

ニゾンで踊るデュエダンが多かったですよねこれまで。

【ラ・パッション】

銀橋渡り瀬央さん編。

瀬央さんの場合は「僕めちゃくちゃ盛り上げるよ!みんなついてきてね!」という優しさでいっぱいで、会場もついていく気まんまんなので手拍子が大きい。

【アシナヨ】

3者で並んで挨拶するときにああ…、となりますね

階段の上部にいるとちょうど目線になるので嬉しいです

【パレード】

曲はちょっと暗いんだけど、くらっちエトワールがばか上手くて鳥肌立つ

 

 

ゴールデン・デイズの最初だけぱかっと路線の男役さんが抜けるんですね。あの場をぴーちゃんセンターにして、ハードボイルド2番をあかさんに歌い継いでくれればなあ……と重ね重ね思います

路線が次々出てくる歌い継ぎってやっぱりわくわくするし、層の厚さを実感できるので…

元々ロマンチックレビューって歌少ないし歌い継ぎも少ないので仕方ないんですが。

あとはダンディズムという言葉から連想される、英国紳士とかアメリカンマフィアとか髭とかお酒とかギャンブルとか、追加部分にそういう要素があまりないのも意外ですね