すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

しみじみと組子の実力が染み渡る 月組KAAT「ELPIDIO」

月組の別箱公演「ELPEDIO」を見てきました

個人的な感想ですが、別箱のチケットは友の会では全然歯が立たないものの、公演するホールのチケットページなら比較的取りやすい気がします。さらに今回は評判の良くない立見席を積極的に取りに行ったのでなおさらかも。

さて作品の舞台はスペインのマドリード。謝先生ってスペインの造詣が深いんですね。スペイン人は個を重んじるみたいなテーマの歌があり、素直なオタクはなるほどなぁ〜と思いました。

歌といえば、「クセ」という歌をちなつさんぽんさんれんこんで歌うんですが、相性がぴったりすぎて怖い!全員声の圧と音程の安定感がすごい!ぽんさんの受け芝居は安定抜群だしれんこんの滑舌はほんとに良い

そしてそのあとすぐにカミーノ(華蘭さんの経営する酒場)の場面に移るんですが、そこでソロを取るうーちゃん→ヤスちゃん→さち花お姉様→華蘭さんの歌い継ぎ、全員歌がうまいのよ。どういうこと?本当に歌の上手い人しか舞台上に存在しておらず、え?これで組子半分?どういうこと?ってなりました。

次にみよっしー(柊木絢斗)のおじさん役!大体が適任のキャラを演じる中、みよっしーは挑戦していましたね。そしてとても良かったので今後の成長につながると思いました

さらに舞台上でソロ歌唱を取ったのがあみちゃん。あみちゃんが素晴らしいことなんてもう嫌というほど知らされてる気持ちでいたんですが、今回のソロもめちゃくちゃ良かったー!歌唱後の拍手が慣例的なものではなく湧きあがるものだった。あみちゃんをキラキラ枠だと思っている方が多いようですが、私は渋芝居枠だと思います。若手であんなに低音を聞かせられる方がいるでしょうか。暗くても陽気でも構わない、あみちゃん早く主演しよう。

みちるちゃんのゆるハーフアップみたいな髪型が新鮮で可愛かった。ちなつさんは海ちゃんとの並びがいいねえって出島で言われてたじゃないですか。みちるちゃんとも並びがいい。作画が似てるっていうのは頷けます

ヒターナの桃歌雪ちゃん、フラメンコ良かったですね。私はずっと習っているんだけど違和感なく見れました。あと冒頭でバストン(杖)を使ってましたよね。とても難しそうだったので見入っちゃいました。

フラメンコはアバニコ(扇子)を使用する曲があるので、フィナーレにうまく持ってきているなあという感想でした。扇を開いたり閉じたりするときにジャッて音がするのかっこいいですよね。普段はあそこまで大きな扇は使いません。

 

この舞台、芝居の持ってきかた1つでさむくもなりガタツキもすると思うんです。それがすごく自然に演じられていて、謝先生も指導しやすかったのではないかと思いました。

残念な点といえば、中華街の近くに行きながら何も買えず食べられなかった点です泣

次回は海南飯店の汁なしネギそばが食べたいな〜

 

木造建築の残る街 新潟・村上さんぽ

月組全国ツアー遠征の合間に新潟観光してきました

新潟駅は建替え真っ盛り!工事中で何もありません笑

そもそも新潟駅周辺は萬代橋を越えたエリアが繁華街の模様。チェックインまで時間があったので、齋藤家別邸のお庭を見に行きます

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紅葉がとっても美しかったです

他にも新潟駅周辺には素敵な木造建築がたくさんありました。鍋茶屋通り、古町通り周辺など。

また、齋藤家別邸の近くにある料亭行形亭は来春国立劇場で開催予定の「遠山桜天保日記」で舞台の一つになっているようなんですね。大きな川もあり、街を歩いているだけで当時の貿易事情などが目に浮かぶようでした。

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お昼は新潟駅から少し外れたところにある須坂屋そばへ。
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おそばと野菜天丼のセット

めちゃくちゃ美味しかった…!サクサクとした衣と野菜の甘み、そこに絡むお米の一粒一粒がふっくらとしていつつも口に入るとほろほろと崩れていくんですよ。

月組の開演前には白山神社に寄りました

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公園の中にある大きな神社でした

さて今回宿泊したホテルはANAクラウンプラザホテル新潟なんですが、普通すぎて室内の写真は撮っていません。

ただ声を大にして言いたいのは朝食バイキングの充実がただ事じゃないってことです

スムージーが4種類くらいあり、フルーツも大きくてきれい。オムレツも何種類かトッピングできてその場で焼いてくれるタイプ。和食も豊富そうだったし、何よりカレー(こういうときのカレー大好き)が高クオリティでお肉や具材がゴロゴロだった
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またこのバイキング食べに行きたいな

ホスピタリティも良かったですよ

 

チェックアウト後にホテルから歩いていけた「みなとのマルシェ ピアBandai」へ。

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駅に寄る手間が省けたので、ここでお土産を購入します。物産的なものもありつつおしゃれなコーヒースタンドやお寿司屋さんもあり、穴場かもしれません。

さてお昼は予約しておいた古町通りの燈里屋さんへ燈里屋(あかりや) 新潟市古町割烹|株式会社しおさいフーズ

前日の街歩きで雰囲気が素敵だったので(このときは満席で入れなかった)メニューをいただいていたのでした

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平日だし早い時間だして貸し切りみたいだった〜

 

さて、午後からは写真を見て気になっていた村上に向かいます

羽越本線に乗り換えて90分。村上駅に到着です

駅から村上城跡は参道のように道路が伸びています。歩きで20分くらい。しかし村上の古い町並みは途中に垂直に伸びています。

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平日の午後なので観光客がいませんが、観光用も踏まえ古い町並みを生かした造成が行われている模様。鮭加工の「きっかわ」さんにお邪魔しました

店舗の奥の伝統的な加工の再現を見学することができます
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豪商の広間の様子も
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さて、そのあとは駅まで散歩をして雨に振られてお寺の軒先で雨宿りをしたりして

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料亭吉源さんの門前

あまりにも店構えが立派で調べてしまいました

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これは銀行かなにかの敷地内に建っていた気がする

安善小路という路地の周辺なんですが、タイムスリップ感がすごかったです

村上から戻る頃にはすっかり暗闇。

今回も色んなところを散歩できました

 

 

 

 

13代團十郎襲名11月吉例大歌舞伎

行ってきました襲名披露11月。

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襲名披露用の幕

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ちなみにこちらの方は過去に原画を見てます

 

夜の部

矢の根

曽我五郎が夢の中で十郎に会って、馬に乗って大根振りかざすよ!というお話でした…本当に…

お弟子さんによる、背中のしめ縄生結び(?)があります。これ、失敗したら舞台がめちゃくちゃになるので超重要です。

五郎が幸四郎さん、十郎が巳っくんでした

年齢は逆だけど、キャラはなかなかマッチしていると思います

 

口上

私の観劇日は白鸚さんが休演、菊五郎さんが中心になって口上を述べていましたが、ちょいと寂しい舞台上。13代目の同世代は列座できなかったのだろうか。澤瀉屋とか今月出演もしていて歌舞伎座の一翼を担う一門だから一言あっても良さそうだけど…(追記、12月はあるみたいですね)

私なら一回り以上離れた評判の良くない部下の昇進祝いスピーチなんてできない。受けたおやじさますごいなって思いました

 

助六所縁江戸桜

2時間休憩無しで突っ走ります

あらすじ…

吉原一の花魁揚巻(菊之助)の花魁道

妹分の白玉に伴われて意休(松緑)が現れ言い寄ってくるが、揚巻は恋人助六(團十郎)を貶す意休に腹を立て言い返す

登場した助六はあまりのモテっぷりに意休や絡んできたくわんぺらと朝顔仙平をおちょくる。

そんな助六の元にやってきた白酒売は実は兄の曽我十郎。助六の正体は紛失した友切丸を詮議する曽我五郎だった。絡んできたくわんぺらと朝顔仙平にまたくぐりをさせ、通りかかった通人にもまたくぐりをさせ腰の物を確認していく。

揚巻と再会した助六は、その着物に隠れて意休を待ち構える。祐経の仇も討てないと打擲されつつ耐えた助六だが、意休が取り出した刀は正に友切丸。助六は後日の再会を誓うのだったー…

 

花道で揚巻と白玉がそれぞれ長いこと立ち止まるんですが、私の見た3階最下手からは首のラインと傘のラインがぴったり沿っていて横顔にかかる一筋の髪の間から眉が覗いて絵のように綺麗でした。傘を持つ方は重たいし長いし大変だろう、でもその傘があることで花魁は何倍も美しく彩られています

梅枝さんの帯がピンクに蝶と星(のように見える紅葉)でファンシー雑貨みたいで可愛かったです

対して揚巻は帯にバレンのようなモールだったり七夕モチーフだったり華やかでした。ただ個人的にはもうちょっとあだっぽい役の方が見ていて楽しい。

面白かったのは助六と白酒売のおかしなやり取りと何だかんだ股くぐりしちゃう通人のアドリブですね。梅玉さんの白酒売めちゃくちゃ可愛らしかったし、がんじろはんの通人が梅玉さんの股くぐりするのとか笑いました

 

読み返し用メモ

助六は演じる役者の屋号により外題が変わる。なぜ変わるかというと、外題が唄と連動しており家によって唄われる義太夫節が違うからである

成田屋の場合は河東節が使用されるため外題が助六所縁江戸桜となる

河東節は他の歌舞伎演目では使われないため、助六がかかる際に関連団体に声がかかるのだという 

 

 

 

 

 

 

連れられて見たらどんな気分に…?月組全国ツアー「ブラックジャック/FULL SWING!」

月組全国ツアーの新潟公演に行ってきました

宝塚見に行くって連れられてブラックジャックだったらどうなんだろう…というくらい、絢爛豪華な宝塚のイメージとはかけ離れた作品です

そもそも原作BJ自体が、子供が読むと物語の重さに「思ってたのと違う…」ってなる漫画ですよね、私だけ?

れいこさんと風間さんは宝塚のなかでも芝居のうまい2人だと思ってますが、今回は特にれいこさんがものすごく、圧倒的に光ってるなと思いました。

手術以外には興味がなく、権力に屈さず、かといってニヒルにもなりきれず、ピノコの尻に敷かれたりする…人物に膨らみがあって過去の役のどれとも違う感じでかっこよかったです

風間さんとの掛け合いがじっくりあったのも良かった

すごくカラーの似ている2人なので作品に統一感が生まれていてよかったです。デュエットがすごく難しそうでした

MI6のアイリス(海ちゃん)は娘役にしてはとても硬い役でした。ずっとそんな感じだったのでケイン(風間さん)とのひととき…とかがあればよかったのかなあ。造形でいうとサザランド一味のほうが場は少ないけどキャラクターの味付けが手塚漫画っぽかったです。あとはジョイ(ぱるくん)とローラ(まのんちゃん)の甘酸っぱい場面がぱるくんの中の純粋さとマッチしていてよかったですね

キーが低く、言葉数も多くて難しそうな歌が多かったのですが、安定していましたというかうますぎん!?と驚きながら見ていました

 

さて、ショーのFULL SWING!を見ていたときのこと

後ろに座っていたのはおそらく奥様の付き合いで来ていたパパさんだと思うんですが、そんな初見の人がプロローグで裏拍手拍子をしていて、このショーはむしろ一般の、音楽を趣味にしているような方にはより魅力が伝わるショーなのではないかと再認識しました。

まあとにかく、風間さんが2番手なのがすごく嬉しい。風間さんは着地点を見つけるのがうまいのでなんか合ってないな、と思うことがない。ジゴロもミッドナイトイン巴里もしっくり来てました

新場面ではセンター近くにいた七城雅くんが印象的でした。ゆるーく踊っていてあまり宝塚では見ないタイプ

中詰とデュエダンに変更があり、とても素敵に仕上がっています。特にデュエダンは前回3ペアだったので今回は2人きりでしっかり締めています。

るねぴはお芝居ではあまり出番がなかったけど、ショーでは出ずっぱり。フィナーレでは汗が光ってました!

 

 

 

 

 

東京国立博物館開館150年記念 国宝展

チケット争奪戦となっているトーハク国宝展に行ってきました

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入れ替え制だけどすごい人でしたね。その割に収蔵品の公開なので、常設の展示を並べ替えただけというか…いつも見ている法隆寺宝物館の摩耶夫人(私のアイコン)が平成館に移動してるだけで、トーハク通い勢にはありがたみがなかったりして。

展示の構成だろうか?

コロナ禍で開催された桃山展のようなすごみは感じられませんでした

それでも様々なジャンルの国宝が集まっているのは総集編のようなボリュームで楽しかったです。

ゴージャスさでいうとやはり絵巻や屏風絵が一番な気がします、古代の出土品は国宝だけが集められているとインパクトがある。ファンの熱気は刀剣が一番だし、見たことがあって盛り上がるのは浮世絵。

私が見たかった平治物語絵巻は展示期間の都合で見られなかったので、国宝室で展示の際にまた来ようかと思います

 

これはトンチキではない…宝塚宙組「HiGH&LOW Capricciosa!!」

結論から言うとヅカローははまらなかったです。

ポイントが3つあって、1つめはカナのような「キミ」呼ばわりする余命のある女のコがヒロインの舞台半年以内に見てしまっていること。

2つめはHIPHOPとクラブの解釈。DJが置けない時点でこの2点を再現するのは難しい。側転できる生徒さんは見かけるけど、DJできる生徒さんはいないのかしら(おらんでしょ)。今のクラブはチルい服来て自由に揺れてると思うので、ふわふわのスカートと振り付けには違和感がありました。もえこちゃんの達磨一家のテーマも、頑張ってたけどエフェクト入れるか声作らないとキツイですね。和傘と花魁が出てくるのはさすがでした

3つめはストーリーより人物の紹介に焦点が当たっていて盛り上がりどころがよくわからない点。何となくキャッツを見たあとと重なりました。「一方その頃」っていうナレーションがお決まりなのは理解しますが、芝居では舞台機構や演出でそれを見せないと。作品としてハイローに出てくる登場人物を舞台で再現しただけであって、+αが弱かった気がします

演者さんの再現度とコーラスが上手なのはせめてもの救いでしたけど、前作ネバセイの迫力に泣いた身としては組の長所であるコーラスが活きる演目が見たかったなと思いました

ショーの「Capricciosa!!」はなんと形容していいか、すごくオーソドックスなショーだと思います

中詰の衣装が「おぉ、そう来るか…」という感じでしたが、ずんちゃんのドレスやトップコンビ+キキさんのオペラ座(?)の場面はきれいでした。フィナーレのずんちゃんのスーツがかっこよかったです

イタリアの伊達男ならシチリアのマフィアが見たかったな。真風さんが通し役でも面白かった気がします。

 

 

 

 

 

 

アントニオ・ガデス舞踊団「カルメン」

アントニオ・ガデス舞踊団「カルメン」を見てきました。演出はアントニオ・ガデスカルロス・サウラカルロス・サウラは映画「フラメンコ」の監督です。映画「フラメンコ」は本来土着の文化であるフラメンコを現代的な解釈でとらえ、乾いた空気感とロマの「血」に対する執着が溶け合った作品だと思っています。特に鏡を使った演出が特徴的で、今回の「カルメン」でも使用されています

冒頭、フラメンコのレッスンなのか同じ動きを繰り返すダンサーたち、その規則性を打ち破るようにカルメンが登場します

小説のカルメンはタバコ工場で働くカルメンが軍人のホセをたぶらかし、最後は殺されるという物語。オペラのほうが圧倒的に有名ですが、展開が少し違いますね。今回は「想を得て」とあるので、ストーリーを表現するというよりは感情の流れを舞踊で表現するということなのでしょう

簡素なセットの中でも群舞で街の喧騒を表現、カルメンの夫とホセの決闘をバストン(杖)をとり入れてスピード感を見せたり、闘牛士の身支度という緊張感のある場を設けたり、緩急がありました

音響が良く、クラシコ(録音楽曲での舞踊)とギターの違和感がなかったのが良かったです。衣装はもう少しディテールが見えるか色味が渋めだと良かったけど、舞踊団のスタイルもあるのでしょうか

踊りも舞踊団のスタイルが出るので、主演の二人の身体の使い方はどちらかというとバレエ寄りでした。

東京文化会館は初めて入ったんですが古き良き重厚感のあるホールですね。今は無機質なホールやシアターが流行りだと思うので、この濃さは代えがたいなあと思いました

アンコールで踊っていたルンバは「フラメンコ」の中でもラストシーンで使用されているセンシージョで、個人的に大好きな曲です。劇中でも使用されていて感動しました。