湯島掛額、終演後の拍手が鳴り止みませんでした
降りしきる雪と右近くんの熱演、人形遣い、義太夫、三味線、すべてが良かったです
3部 松竹梅湯島掛額
喜撰
松竹梅湯島掛額 登場人物
紅長(菊五郎)…紅屋の主、お七を可愛がる
お七(尾上右近)…八百屋の娘で吉三郎を恋い慕う
お七は火事で焼け出された際に吉三郎という僧に出会い恋をします
また火事が起これば吉三郎に会えるのではないかと考え、つけ火をし、捕まって処刑されたという実話が基になっており、歌舞伎ではつけ火ではなく木戸を開くために櫓の太鼓を打つ(これも重罪らしい)という行為に変わっています
1幕あらすじ
美しいと評判のお七を探しに武兵衛が長沼六郎を伴って吉祥院にやってくる
見つからないようにと紅長は左甚五郎作の欄間の天女にお七を紛れ込ませる
武兵衛はやり過ごし、そこへやってきた吉三郎にお七は思いを伝えるが、吉三郎は紛失している名刀「天国(あまくに)」を探していて思いには応えられないとのこと
そこを紅長の機転で思いを遂げさせ、武兵衛たちをお土砂で退治し幕。
菊五郎さんの何でもありの芝居と、欄間に登って天女のフリでやり過ごすという展開。武兵衛をお土砂でくにゃくにゃにさせてから幕を引くまでは「四天王御江戸鏑」と同じ展開です。
眞秀くんの丁稚が可愛くて。
菊五郎さんのセリフをなぞったり、権十郎さんと重なり合って倒れたり、側転したり、舞台上でおおらかに演じています。
丑之助くんと眞秀くんはどちらも見ていて応援したくなる!
まるで寺島しのぶさんと菊之助さん姉弟の代理戦争のようで、お互いにどのような役をこれから演じていくのか興味深いです
2幕あらすじ
天国を武兵衛から取り戻したお七は降りしきる雪の中、櫓に登って太鼓を打ち鳴らす
浄瑠璃「江戸娘恋緋鹿子」で語られます
大部分が人形振りで文楽を模しているため、文楽の様式に則り冒頭で本日の太夫と三味線の紹介があります
そして人形遣い役の3人がお七の人形に扮した右近くんを操ります
これがなかなかアクロバティックで、倒れ込んだところを運んだり、櫓から落ちそうなところを支えたりします
中身は人形でも少女でもなく成人男性なので重いはず…!人形遣いの息のあったアシストの見せ場です
衣装や髪もどんどん替わり、途中から吹雪のような量の雪が降りしきります
それが積もると本当に雪のようで美しい
右近くんが本当に美しく、雪の中に赤い着物と長い髪が映えて、とても美しい舞台でした
表情がね、浮世絵を見ているようなんですよ
悲壮感があり、それでも健気な感じもして、「エモい」という言葉がしっくりきました
幕引き前の右近くんはめちゃくちゃエモかったです