すきなもの雑記

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外から見るか中から見るか「最後の決闘裁判」

ノーマークでしたが映画館の予告と口コミで絶対好きなやつだと思い鑑賞

コロナ禍でペンディングしていた大作が一気に放出され見る方も大変ですね

上映直前に会社から電話があり最初は全然集中してなかったんですが、中盤以降はほんとに何もかも忘れて没入しました

 

全編英語ですが作品の舞台は1300年代のフランス、

ノルマンディ地方の領主カルージュ

今では袂を分かった親友ル・グリ

カルージュの妻で聡明なマルグリット

3人の視点で決闘が決着するまでの流れを描きます

 

第一章ではカルージュが周りから嫌がらせを受ける不憫な領主として描かれますが、第二章のル・グリ視点だと彼のわがままな側面も描かれる、その視点で見るマルグリットは哀れな妻で自分のものにしたい、マルグリットもそう願っている(はず)、しかし第三章マルグリットはそんなことを露とも思っていない

 

この作品で注意しなければならないのは、決してストーリーに関しての高評価なのではないということです

レイプシーンがリフレインされますが、視点の違いによる効果があるのかなと思いきや別になかったし…

中世の女性がモノとして扱われる時代、その時代感が称賛されているわけではないということだけは頭に入れておく必要があります

 

それを踏まえて、この作品はとにかく中世のディテール、決闘の描き方、人間の心理に対する皮肉、過去作品へのオマージュ…などなど怒濤のごとく畳み掛けてくる…!

まず中世感。音楽がもう…無印良品にいるみたい(褒めてます)。暗い城の中と暖炉のほのかな灯り、ラテン語の本を開いての講釈、肌着の質感、留守を守るためにマルグリットが領地を取り仕切る様子など、見ていてこんなにリアルな中世があるか?と問いたい

あと中世のパリの描写、ノートルダム大聖堂の建設途中のパリってあんな感じだったのかな、と思えて見ごたえがありました 

 

そして決闘のシーンはほんとに手に汗握って叫びそうになった

さ、刺せ…刺せる…?ぎゃっ!どっち勝つん?

という、臨場感で本能のみになります

そして決闘の敗者には無残な死しか残らない

それは神がお決めになったこと、という宗教観も当時のもの

この映像が本当にすごいんだけど、どうやって撮影したんだろう…?役者はどこまで…?

 

今作は「羅生門」のオマージュだと言われています

内容は史実であり、だからこそストーリーに劇的な盛り上がりがあるわけではありません

前回見た「燃えよ剣」は日本人のある程度が知っている有名な史実を軸に映画化されていますが、今作も同様。私には馴染みがないだけで、現地の人には那須与一や紫の上のように、あー知ってる!という有名な物語なのかもしれません。

逆に海外の方が「燃えよ剣」を見たらどう思うのかな、最後撃たれて終わりか〜ってなるんでしょうか