歌舞伎座 令和四年の新春興行です
令和ってもう4年目なのね…(遠い目)
今月は3部。まずは岩戸の景清から
初回は松也さんver.でした
岩戸に籠もった景清を引っ張り出すために「北風と太陽」のごとく奮迅する浅草組
まずは衣笠(米吉)と朝日(新悟)の舞、続いて和田義盛(隼人)と千葉介(莟玉)の槍と弓、そして義時(種之助)の力技で景清が登場、だんまりから軍兵との立ち回りで舞台上で全員の口上があり最後は景清の飛び六方で幕となります
景清と言えば阿古屋の彼氏ですよね、清水での別れの語りが切ないやつ
元は黙阿弥作で、歌舞伎家話の米吉くんの解説によると黙阿弥のデビュー作になるらしい、松也さんの持ち込みだったそうです
芝居の良かった点
・軍兵の皆さんの立ち回り
すごく良かった。途中で棒を持ち出すが、その棒の扱いまでも揃っていて見ていて気持ちよかった
花道のトンボ(あれを返りこしって言うのだろうか…?)も迫力があったし、景清と一対一で立ち回りされる方の動きにキレがあって、完全にアクションシーンを生で見ている感じだった
・フロントマンになった猿弥さん
私が松也さん景清を観劇した数日後に、猿弥さんが代役を勤めることに
お弟子さんが、しかもお家の関係者も出演していない舞台で主演代役されるというのはなかなかないことだろう、ということで買い足し
話がそれるが、私が新作で最も好きな歌舞伎は「贋作 桜の森の満開の下」。
猿弥さんは主要キャストのマナコ役で出演しているが(NODAMAP版で演じるのは古田新太)、エンドロールの並びが下すぎてがっかりだった
歌舞伎は配役も並び順も家柄が重視されていて、割と実力ではどうにもならない事が多い
昨年の歌舞伎座「骨寄せの岩藤」では2番めの役だった巳之助さんが主演の代役をしており、本来ならば舞台の流れがわかっている出演者がスライドし、端役にお弟子さんが入られる方が事故が少ない
例えば今回なら、舞踊パートのない歌昇さんか巳っくんが松也さんの代役、空いた方にどなたかが入るのが代役のセオリーな気がする
(鬘が合う人が猿弥さんしかいなかったとか?)
猿弥さんが配信のキャスティングを含め松竹から重宝されているのはわかっていたので、ここで代役主演が回ってくるのは澤瀉屋ファンとしてとても嬉しい事だ
猿弥さんは丸まった軍兵に足をかける時に思ったよりも高くてよろよろしてる(笑)以外は、迫力があって、瞳がキラキラしていて、いつもの余裕のある感じじゃなくて必死で
めちゃくちゃかっこよかったよ
立ち回りでは手首の先を使っていて、所作というよりはリアルないなし方だったし、並びの口上を聞きながら表情が変化するのが演劇的で新鮮だった
急に会社に言われて大変だった〜って話をいつかしてくれるんだと思う
好きな役もこだわりも熱意を持って語らず、ただ与えられる役に満点の出来で応えるっていうのは「アーティスト」というよりは「職人」としての最高の結果の出し方だと思う
というわけで
ひとしきり泣いたあとの四の切。
今月は3階と花外で見たので、2回の宙乗り四の切は全く違う視点から楽しめた
3階は最後まで見られるので宙乗りが堪能できる
が、花外の席では宙乗りの最後は見えない
仕方がないので私は本舞台上の狐を見送る皆さんを見ている
そうすると、私の席には上から桜吹雪が降り注いでくる
歌舞伎でなくても、上から何か降ってくる演出は多い
それでもほとんどは舞台上だけでの話で、私(客席)に降ることはまずない
なので、桜吹雪を浴び舞台の中に入り込んだような気分だった。桜吹雪越しに見た本舞台はキレイだった
そもそも外側の席は花道を挟んで舞台全体が見える、見晴らしのいい席なんだと初めて気がついた