すきなもの雑記

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令和四年1月 国立劇場 南総里見八犬伝

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コロナの影響でばったばただった歌舞伎座

一方、国立は何事もなく千秋楽を迎えられました

演目は今まで2.5系やドラマで何度見ても展開が頭に入ってこなかった里見八犬伝。今回は原作現代訳をある程度頭に入れたので内容も登場人物も理解できました

 

あらすじ

里見のお家再興のため、里子に出されていた犬塚信乃(菊之助)は下男の犬川荘助(亀蔵)、許嫁浜路(梅枝)を残して家を出る

里見の仇、扇谷定正の家臣である左母二郎(松緑)は急な祝言に戸惑う浜路を騙して連れ出し、信乃の刀村雨丸をすり替える

浜路は円塚山で左母二郎に襲われ、兄の犬山道節(菊五郎)に看取られる

一方、足利成氏の屋敷を訪ねた信乃はスパイの疑いをかけられ抵抗するうちに牢に入れられていた犬飼現八(松緑)と立ち会うことに

戦ううちに利根川に落下した二人、負傷した信乃は犬田小文吾(彦三郎)に助けられ養生していた

そこに現れた犬飼現八と彼を慕って追ってきた犬村大角(萬太郎)、小文吾は信乃との仲をとりもち扇谷定正を討ち取るために結束。小文吾は追手から信乃たちを逃し生け捕りとなる

定正の屋敷では小文吾を殺す余興として剣戟の踊り子が呼ばれるが正体は八犬士のひとり犬坂毛野(時蔵)。小文吾の縄を切り戦うところに道節、犬江親兵衛(左近)の加勢が入る

定正は駆けつけた信乃によって討たれ、八犬士は勝どきを上げるのであった

 

 

とにかく舞台セットが美しかった

一番の見所は信乃と現八が立ち回るお屋敷の屋根。2階からだと少し足場が斜めになっているように見えるのですが、瓦の柄で目の錯覚なのかもしれない…あそこで立ち回りするのは大変でしょうね

やられると利根川(舞台)に落ちるんですが、目隠しの布から察するにけっこうな高さがあります

そこにとんぼ決めながら落ちていくの、ほんとに拍手👏

 

1幕の幕切れも真っ白な雪原と青空と鮮やかな着物のコントラストが美しかった

3幕の夜景は電飾の星空で、歌舞伎の舞台ではあまり見たことがないかも。

 

現代訳が意外と面白くて、特に伏姫〜信乃の生い立ちあたりはスイスイ行ってしまった

大体4分の3くらいまで読むことができて、出てきた場面は読んだイメージ通りのセット(挿絵もあったため)だった。

原作はもっと登場人物が多く複雑に絡み合っていて、しかも名前が長くて…ミドルネームありでこれが覚えられない

好きなシーンは小文吾が自分の痣を見せるために夜の行灯の明かりの中で着物を脱いだとこですね

江戸のオタク〜!!リアタイで沸けてうらやましいぞ〜!

しかしながら、肝心の(この人たちは何の為に行動を…)っていうところを全く理解していなかったので今回お芝居で見て初めて理解しました

 

2021年に引き続き、やっぱり梅枝さんはすんごい。

冒頭、菊之助さんといちゃこら入場してきますがその若いなりのしっぽり感がすごい。

イキナリ祝言する言われての「はぁ?」感も良いし、亀蔵さん萬次郎さんとの腹切るの切らないのからの「…わかりました」っていう感じも、まあ無理もないわな、そんで左母二郎が来たらついてくわな〜っていう説得力がありました

そんな浜路は円塚山の雪山での死に様が本当に美しくて。

左母二郎に斬られて、後ろに振り返りながら倒れる、その動きの一瞬一瞬が浮世絵のようでした

 

松緑さんは今回最も拍手をもらっていましたね

1幕の最後、息子の左近さんと花道で2人での見得があります

犬江親兵衛のお化粧をしているのもありますが左近さん、シャープですごく良かった!二人で舞台に立たれているのは初めて見ました

花道を去る親兵衛を「オイオイ大丈夫かい?」って感じで見守り「飛び六方はこうやるんだよ!」とでも言うように豪快に帰っていきます

信乃との立ち回りはたっぷりあって見どころがたくさんでした

 

そして菊之助さん

大詰の立ち回りで冷たい目をして刺客の喉元を刺していたのが美しくて、改めて好きだなあと思いました

変化球のお役も楽しいけど、やっぱり王道の正義の主役が似合う

 

今回は菊五郎さん達もお出になってはいるけど、全体的に若手の出番が多かった感じ。

改めて、劇団は人材豊富だなと思いました