すきなもの雑記

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能「鬼滅の刃」からアニメ「鬼滅の刃」へ

観世能楽堂にて、能「鬼滅の刃」を見てきました

観世能楽堂はGINZA SIXの地下3階にあります。行きは気づかなかったけど、帰りに銀座駅から地下の遊歩道でつながってることがわかりました。ちょっと歩くけど、夏は地上に出るよりありがたい。

「能を見る」という行為には「能楽堂の空気を感じる」も含まれるんだなと思いました。静けさ、出入り、退場、そのかすかな音や空気の動きは映像では伝わらないものだと思います。これが一番見に来て良かったと思った点でした。席は橋懸という廊下(歌舞伎で言う花道?)の前で、正面舞台に対して横向きに座ります。正面を向いて立ち回る場面は真横から見ている形になるんですが、橋懸でもお芝居したり立ち回っていたため、それが非常に近い…!プレイガイドのおまかせ席でしたがラッキーでした。

 

さて、鬼滅の刃に関してはほぼ知識なし。炭治郎と禰豆子くらいしか理解していない状態で行きましたが、わかりやすくて楽しかったです。意外とアニメに寄せてなかった。

ナウシカ歌舞伎の場合は和楽器での映画音楽がとっても素敵なんですが一部録音を使用しています。現場で見ていると実際の演奏とのちょっとした音の違いで引っかかる感じがしました。しかし鬼滅能では無惨様のシーンを除いて能の様式に則り、小鼓、大鼓、太鼓、笛の生演奏だったのが良かったです

歌舞伎では舞台上のセッティングや片付けは後見さんがしますが、能では地謡さんがしていたのが興味深かった(今回だけかな?)

能の表現方法を上手くストーリーに組み込んでいるようにも感じました。クライマックスの累との戦いには「土蜘蛛」で使う白い糸を使用し、禰豆子の木箱を作り物で作成し、間狂言のようなコミカルな場面(カラスとスズメの愚痴と鋼鐵塚さんのトンテンカン)を入れており、特に間狂言は能をよく知らない私にとってはメリハリになっていて良かったです

累の兄の操る蜘蛛の動きは気持ち悪くて、能というより現代演劇っぽく表現できていました

 

その後家に戻って、ようやくアニメ「鬼滅の刃」を後追いで見始めました。まだ途中ですが。そこで初めて天狗やひょっとこの面が原作に忠実だったと知る笑。映像がとてもきれいでなめらかで、CGやエフェクトの調和もとれていてすごい。3Dで組んだであろう無惨様と上弦の面会したお屋敷もすごかったけど、しのぶさんのお屋敷の廊下の板張りの描写の細かさに驚きました。あとは、型を放つ時のエフェクト。いくつくらい重ねてるんだろう…

映像は美しいものの、ストーリー展開や戦闘中にキャラクターの理論的モノローグが多い点、ギャグパートの謎さ、あと舞台である大正時代へのアプローチの仕方など、作品全体としてそこまで私のツボをついてくることはないんですが、能を先に見たことでアニメシリーズの解像度が上がり、楽しんで見ています。大正時代の遊郭って禿もいたのかな〜