すきなもの雑記

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宝塚雪組「BONNIE&CLYDE」@御園座

新トップコンビのプレお披露目公演に行ってきました。

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まずはじめにちょっとおかしなことを言うんですが、ボニクラの世界観って歌舞伎の演目に似ていると思うんですね。歌舞伎には悪役を主人公とした話がたくさんあります。幕末に書かれた「三人吉三」の解説で、泥棒が主人公の作品が多いのは不安な世情が現されているためというのを読んで腑に落ちたことがありました。

クライドとボニーの生きた1930年代も同じような不安定さがあり、そうせざるを得なかった人たちのたくましさと悲しさがストーリーの魅力なのだと思います

この「ボニー&クライド」というテーマを描いたいちばん有名な作品は映画「俺たちに明日はない」だと思いますが、私が見たのはあまりに前すぎて今回の主要人物だったバックとブランチの記憶がありません。今回の「ボニー&クライド」ではクライドの兄とその妻であるバックとブランチの葛藤を描いた部分が大きく、そこに作品としての深みを感じました。そして何より和希そらぴと野々花ひまりちゃんのアダルトなカップルの見せ方が良かったです。思えばふたりとも、夢介では全く印象の異なる役なので役の振れ幅が大きく芸達者だなと思いました

ただ…非常に難しいのがこの演目、思ったよりバックの歌唱が少なかった気がするんです。ボニーの幼なじみのテッドが同じくらいの歌唱量。宝塚の路線でトップランクに歌も踊りも秀でた和希そらなので、もっと色々聞きたかったのだけは残念。元が海外ミュージカルでその時の条件に合わせた作品だろうし、しょうがないですね。

トップコンビは他組の追随を許さないスタイルの良さなので、安っぽい服装から仕立てのいい服に変わっていくのにワクワクしました。アンコールはクラシックカーで登場するんですが、それがめちゃくちゃかっこよくて。もう少し時を進めて、現代の海外が舞台の作品が似合いそうなシルエットの2人だなって思いました。絶対ないけどI AM FROM AUSTRIAとか。ちょうど次々回のショーはホテルが舞台みたいで楽しみですね。

今回は名古屋御園座での公演。去年は「王家に捧ぐ歌」が中止で行けませんでした。1階はいろいろと見にくいような声が聞こえてきますが、2階のブロック最前は視界最高、通路も広く大満足でした