すきなもの雑記

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新たなるコンビ誕生の予感 令和五年3月国立劇場「一條大蔵譚」

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せっかくの桜の時期なのに、不意の雨で外の写真が取れずでした。でも場内はアツかったです!

冒頭に片岡亀蔵さんによる作品紹介があるんですが、私は歴史音痴なのでこのコーナーはすごくありがたい。頼朝義経の母である常盤御前ってこんな経緯なのね…!と説明を聞いて驚愕。そこからお芝居が始まるので没入感が深まります。

さて、能にふける一見バカ殿様の大蔵卿(又五郎)。家臣の八剣勘解由(亀蔵)は平家方で曲舞(くせまい)の最中に大蔵卿の命を狙うが阿呆のフリしてかわす大蔵卿。脇では女狂言師のお京(種之助)が見守っているが、実はお京は源氏方鬼次郎(歌昇)の妻。大蔵卿に嫁いだ常盤御前(魁春)の様子を窺うためスパイとして潜入中。

今回は曲舞と奥殿の2場でしたが、普段は奥殿しか出ないことが多いとか。それは話の内容分からなすぎないか…?弓が出るし見取りの華やかさがあるんでしょうか?奥殿冒頭はお京が鬼次郎を屋敷に引き入れるところから始まります。そろりそろりと播磨屋ご兄弟の息のあった動き。3月4月はFFX歌舞伎もあり、若手の女方さんがいない分種ちゃんが大活躍でした。本人のご意向はわからないけど歌昇さんとのコンビがすごく良い。むしろかしょさんも引き立って良く見える気がする。若手のご兄弟ですが歌舞伎ファンはお二人に実力があることはよくわかっているので芝居に多面性を持たせていると思いました。ただ若いだけじゃ締まらないし、うまくても年長者ばかりじゃ門戸が広がらない。

その証拠とばかりに後半の舞踊「五條橋」は二人きりの舞台で踊りと立ち回り、終演後は拍手喝采でした

牛若丸の種ちゃんがとにかくカッコイイ。これを見た子役さんは絶対自分もやりたいって憧れると思う。ひらりひらりと拵えの大きな弁慶を躱していきます。舞踊の途中で片足で立つようなところがあったり結構高い欄干から飛び降りるところがあったり、フィジカルの強さが求められるなと思いました

元々仲が良いというか、かしょさんからの大きすぎる愛を持て余している種ちゃんというご兄弟の構図。ただ、1月の吃又で「二人で演じるときは同じ方向性を向いている」というコメントがあった通り、丁寧にコンビとしての役のあり方を練っている感じがします。そういうものが何となくこちらまで感じられるのが舞台の面白さなのかなと思います

国立劇場公式の写真をお借りしました
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