すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

殺しの色香に誘われて…令和五年 壽祝桜 4月大歌舞伎@明治座

f:id:em378794:20230418225203j:image

明治座夜の部の初日に行ってきました!

明治座といえば中村屋でやるはずだった桜姫東文章がコロナ禍で中止になったままなんです。なんとか実現してほしいです。

通し狂言  絵本合法衢

多賀家の乗っ取りを狙う分家の大学之介(幸四郎)はお亀(種之助)を妾にしようとするが、許嫁に与兵衛(歌昇)がいると断られる。そこに現れたのが多賀家の家臣瀬左衛門(芝翫)。与兵衛は養子に出たが瀬左衛門の末弟であった。瀬左衛門は多賀家の「霊亀の香炉」が盗まれたので与兵衛に詮議を頼む。

殿様の鷹殺しが元で瀬左衛門は大学之介に殺される。発見した次男の弥十郎(又五郎)は大学之介に疑いを持つものの捕縛には至らなかった

場面は変わって橋の下の見世物小屋、大学之介の手下の太平次(幸四郎二役)は運悪く香炉を与兵衛の店に質入れしてしまい、見世物小屋の女主うんざりお松(孝太郎)を与兵衛の愛人に仕立て上げ与兵衛の店、田代屋に入る。お亀と与兵衛を引き離そうとするがすんでのところでお松の素性がバレ、太平次が助っ人に入る。与兵衛とお亀は兄の仇大学之介を討つ旅に出て、太平次は田代屋のおかみを殺し、事情を知るお松も井戸に投げ入れて殺す

またも場面は変わって峠の立場の太平次宅。太平次は夫とはぐれたお米(千之助)を連れて帰り歓待する。しかしお米と夫の孫七(歌之助)は瀬左衛門家の家臣だとわかり太平次はお米を監禁。太平次の妻お道が与兵衛とお亀を連れて帰り、太平次はお亀を大学之介へ引き渡そうとする。与兵衛は止めるが仇討ちのチャンスでありお亀は大学之介の懐に入り込むと決意する。太平次は病の与兵衛に斬りかかる。孫七がお米を探しに立場にやってくる。鼠のはたらきで太平次に監禁されていたお米を助け出すが、太平次と切り合いの末孫七とお米は殺されてしまう

傷を負った与兵衛は知らずのうちに兄の弥十郎、またの名を合法の元で養生しているが、お亀が霊となって枕元に立ち無念を述べる。すると大学之介がお亀の首を持って現れ、本懐遂げられず与兵衛は無念のあまり腹を切る。最期、合法とその妻の皐月に事の次第を話し香炉を託す

大学之介の列に挑みかかる合法と皐月。大学之介は斬られ、瀬左衛門や与兵衛の恨みを晴らされたのであった…

 

思い返してあらすじを書くだけでも疲れるくらい複雑。要約すると、乗っ取りを企む大学之介とその手下太平次は非道な殺しを繰り返すが、最後は家臣に討たれる…という感じでしょうか。

50両、鼠、香炉など、お決まりのモチーフは出てきますが、こう説明してみると黙阿弥よりも因果の色は薄く感じます。それよりも殺しの場の濃厚さ。太平次はうんざりお松を井戸に落としたあと、その井戸に腰を掛けてあくびをしながら幕引きとなります。孫七とお米を殺したあとは首の周りの蚊をうっとおしそうにはたきながら幕。南北、悪人の知り合いでもいる…?という描写力。幸四郎さんがとても似合ってます。先月に引き続き歌昇さんと種ちゃんはカップル役。出番も多かったですね。種ちゃんの美貌の奥方役とても良かったです。歌之助くんの斬り合って髪が解けるところも迫力がありました…!

 

明治座の視界について。3階1列は手すりで潰れて舞台前方が見えません。花道はすべて潰れるのでサイドにモニターがついています。前回「巌流島」は3階2列だったのでこちらの方がむしろ見やすいです(最後列だし)。

正直、家からは行きやすいけど立地は微妙だし安い席は見づらいし、歌舞伎もやれる箱だと思っていましたがそういうわけではないのかも。入りやすいラウンジがあるのはとてもいいと思いました