すきなもの雑記

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風間柚乃とその執着。宝塚月組「応天の門」

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コロナ禍、一人でもんもんと歌舞伎の深みにはまっていたときにこんなことを書いていました

信じられますか?ここに並べていた「応天の門」と「陰陽師」が東京の地でお芝居になり、同時期に見ることができるんです

というわけで、今回は月組応天の門」について。

原作の主要人物を何人か省いてのストーリーでしたが力技でまとめていたと思います。今回は一番力技を決めていたと思われる藤原基経役の風間さんにフューチャーします

普段は全力でちょけている風間さんですが、芝居に関する話では真面目に「基経が歌を歌う、というところまで自分の気持ちを持っていくのが大変」「吉祥丸という存在に対する執着」について語っています。逆に言うならば、基経のキャラクターの肉付けとして吉祥丸という存在を足がかりにしているということです。ソロも吉祥丸との回想中、もっとも感情を見せるところにあります。風間さんが自身も執着してそこにポイントをおいたのはとても良かったし、そうでなければ観客はこのストーリーから業平と高子の叶わぬ恋を物語のキーと見たかもしれない。前回のギャツビーと違い主役の道真が受動的なため、演じ方次第では全く違うお芝居になるのではないでしょうか。そう思うとオタクの感情を揺さぶりSNSで長文を語らせた風間さんの演技プランは成功だったと言えます。「明日もここへ来るか?」と吉祥丸に問う銀橋では、基経の瞳がきらきらと少年のように輝いていました。基経(風間)と常行(礼華はる)

の交錯があると中の人の姿も重なりなお良かったですが。あと、何度も見ているうちにいい意味で國道(蓮つかさ)が気になってしまって。こういうのも演技の旨さなんだろうなって思います!業平に一物隠しているような台詞回しが良かったです。てゆか絶対かっこいいやん。

あとはやすちゃんが道真の父として、前回に続きれいこさんと2人で舞台に立っているのが良かったです。るみこさんからんさんというベテラン役者が今回で卒業しますが、芝居の魂はしっかり引き継がれています。今後の役付きが楽しみです

私が最後に見た時はれいこさんはだいぶ間を取るようになっていて終演は5分位押していました。確かに道真のキャラクターだと「…」みたいなのほしいですよね。

あと私の中で百鬼夜行というと「贋作 桜の森の満開の下」のこれなので、恐ろしさの中にも美しさを見せ、何なら花吹雪とか降らせてほしかったです

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舞台全体にもうちょっと華やかさが欲しかったかな。舞台に色味が少ないのが気になりました。でも意外とセットはきちんとしていたんだよな、小道具とか照明のバリエーションなんですかね