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木ノ下歌舞伎 三人吉三廓初買@東京芸術劇場プレイハウス

木ノ下歌舞伎の三人吉三廓初買を見てきました

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東京芸術劇場 Presents 三人吉三廓初買 – 木ノ下歌舞伎 official website

 

過去の三人吉三観劇記録

 

廓初買という本外題になると木屋の主(十三の主人)、文里と丁子屋という見世の一重、吉野、そして文里の妻おしずが登場します。私がこれまで見てきた歌舞伎の三人吉三巴白浪では伝吉も出てこなかったので、そういう意味では伝吉も登場します。コクーン歌舞伎が笹野さんのために伝吉役を用意したのかどうかはわかりませんが、ちょうどコクーン版は2つの間を取ったような形になっているんだとわかりました。

 

【初見部分のあらすじ】

十三郎の主、木屋の主人文里は丁子屋の一重に入れあげている。一重はお坊の妹で庚申丸紛失で御家断絶のため苦界に身を落としている。お坊が馴染みの吉野を訪ねるごいざこざを文里に助けられ一重は恩を感じる。やがて木屋は身を持ち崩し、産後の肥立ちの悪い一重は命を落とす

 

コクーン三人吉三の感想で「もっと掘り下げがあるのではないか」と過去の私は書いていますが、正に廓初買にはお坊のサイドストーリーが書かれています。美貌の妹が苦界に身を落とし、没落した家の当主としての苦悩が描かれています。残念なのは文里一重の場面にヒネリがない点です。物語としての面白さはなくドキュメンタリーのような展開が続きます。本来は文里/和尚、一重/お嬢は役替りのよう。立役は全く雰囲気の違う2役を演じ、女方は同じような勝ち気な女ではあるけれど、役の性別を入れ替えるという難しい芝居だと思いました

お芝居はさすが本職の役者さん。誰一人として台詞が不明瞭な人がおらず気持ちよく見れました。謎にラップが挟まれますが(勧進帳も謎に歌っていた)、現代劇なりのアプローチということなのでしょう。吉祥院の場以降はホリゾントも丸見えにして、おそらくは実際の足場を使い、空間のがらんとした感じを出していました。

正直、伝吉の死に際やラストの演出などがコクーン版のアプローチと近くて、もう少し独自の演出が見たかったですね。むしろコクーン版が凄まじい完成度なんだなと改めて感じました