すきなもの雑記

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令和六年錦秋10月大歌舞伎「俊寛」

いまさらながら10月歌舞伎座、幕見で見た俊寛です

菊之助さん初役の俊寛ですが、年齢の設定は菊之助さんの実年齢より若い30代中盤、俊寛って何故かよれよれのおじいさんというイメージでしたが本来は壮年男性のようです…

物語の展開としての俊寛の気持ちの移り変わりは、辛く苦しい流刑地の暮らしだけど成経と千鳥の結婚で心が和らぎ、御赦免船の到着で喜び、その後妻の死を聞かされ絶望、瀬尾を斬り波の中で慟哭…という感情の流れがわかりやすくなっています

中でも菊之助さんは最後に絶叫せず、船を見送る幕引きだったのですが、それが「言葉にならない思い」

みたいな感じで良いと思いました。

感情の流れが分かりやすいとは言え、見取りなので発端はなく、初見の人には難解な演目だと思います。衣装もぼろなので見た目もイマイチだし。セットに関しては横から船が現れるので派手で良いと思います

 

史実では、俊寛は鬼界ヶ島に流されてそのまま亡くなるようですね。現代のお芝居なら絶望で嘆いた後で概念のあずま(京で死んだ妻)が現れて一緒になって幕…とかになりそうです

 

今回成経を萬太郎さん、千鳥に吉太朗さんだったんですが、この2人のカップルバランスが非常に良くて。時蔵さんとだと、どうしても時蔵さんの方が役が大きい感じがしていたのですが、吉太朗さんとだと萬ちゃんの包容力が見えて良かったです