2024年は立飛歌舞伎で木ノ下裕一氏補綴「新版 御所五郎蔵」、南座の顔見世で黙阿弥の「御所五郎蔵」が立て続けにかかりました
通し狂言をまとめた新版と、見取りのまま上演した古典版を比較すると、視点が変わり全く別の物語に感じられました
新版 御所五郎蔵ではふたりの女性が中心に描かれます。黙阿弥版にも登場するのが傾城逢州(壱太郎)、そしてその姉妹を時鳥(壱太郎二役)と言い、彼女が仕えるお屋敷での殺しの場面が前半のハイライトです。実はこの場面が良すぎて、全体としては両花道を使った五郎蔵の登場以降が霞んでしまったように思いました。通しものでよくある主人公が場ごとに変わっていく物語全体を客観的に見たパターンです
新版、古典版ともにそれ以降の場の展開は同じです。ここからはふたりの男性を中心に描いていきます
御所五郎蔵(立飛:愛之助、南座:隼人)と星影土右衛門(立飛:中車、南座:巳之助)は因縁のライバル。土右衛門は五郎蔵の妻、皐月(立飛:笑也、南座:壱太郎)が好きなので、腰元の皐月と家臣の五郎蔵が付き合っていることを告げ口し、ふたりは家を出されてしまいます。
手下同士が並んでの丁々発止のやりとり、男2人が愛する女を取り合うっていう展開、すごく少女マンガ的なんですよね。ただ五郎蔵は尺八背負ってるし(この設定はよくわからないままだった)、金欠ピーピー(浅間の殿様の金策をしている)で、現代的にはあまり魅力的ではないかなあ。ただ、隼人巳之助で壱くんを取り合う…という展開は非常にわかりやすいですよね。少女マンガ的展開はここまでで、このあとは五郎蔵を思うあまり皐月は愛想尽かし。傾城逢州(浅間の殿様のお相手)が取りなすが五郎蔵は逆上。皐月と刺し違える決意をするが、なんと逢州(立飛:壱太郎、南座:吉太朗)を間違えて殺してしまう…そこに土右衛門が現れ、一騎打ちとなり幕引きとなります。後半の場は南座の見取りの方がシンプルで主観的で分かりやすかったです。
はーさんの名乗りの所はちょっと台詞が早いかなと思いましたが、愛想尽かしのあと退場するところは迫力があって良かったです。巳っくんは悪役風に演じてたけど、素直に当て馬として演じていたら私は萌えていたと思います。毎度のことながら吉太朗くんは綺麗だし、立て続けに逢州と皐月を演じた壱くんは切り替えすごいなと思いました
さて今回の顔見世は、当る巳年っていうからには巳っくん出演するんだろうな!?!?と思っていたらめでたくご出演が決まったので師走にも関わらず遠征一択でした
しかし、興行が始まる前に愛之助さんにセットの雲が落下する事故が発生。新型コロナの休演でも感じたんですが、「千穐楽おめでとうございます」って言えることは当たり前じゃない。安全に、無事に、興行を勤め上げることは大変なんだなと思いました。
では、南座のその他の演目を。
仙石屋敷
総出演で由良之助に仁左衛門さん、仙石伯耆守に梅玉さん。なんだかんだ忠臣蔵ええなあ、という芝居にまとめてくれてますね
大ちゃんの大石主税が若い役作りで良かったです
かさね
忘れもしない、コロナ明けの2020年8月に幸四郎さんと猿之助さんで演じられました。怪談?因果?舞踊?画になる美しさを見せてくれるゴシックホラーというか。愛之助さんの代役萬ちゃんで頑張ってたと思います
申し訳ないですが大ちゃんロックオンなので全然周り見えてません。晒しの扱いも素晴らしかったです
今回も菊水さんでお弁当お願いしたんですが、あまりの豪華さにホテルに持ち帰りました
結構歩いたところにあるホテルでしたが、ロビーで舞台終わりのとある役者さんを目撃…!お疲れ様です
この竹馬っていうのも何なのかよくわからなかったけど、たくさん並んでいました