すきなもの雑記

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文楽「妹背山婦女庭訓」二部@文京シビックホールと複雑な思い…

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基本設定として、このお話の宿敵である蘇我入鹿を倒すためには①爪黒の牡鹿②疑着の相ある女、以上ふたつの血を笛に注いで吹く、というものがあります。金殿は②にまつわるお話でした。今回は、①をゲットするためのお話です。ストーリーの中に「鹿殺しの石子詰め」という民話を取り入れており、こういうのが古典芸能の面白いところです。民話は子が亡くなる話ですが、文楽では鹿を殺したのは親で子は親をかばってあわや石子詰めの危機…という展開になっています。芝六は弟を自分の潔白の証明のために殺しており、それはそれでどうなんだとはなります。鎌足の窮地を救い、晴れやかな感じで終わっていきます。

 

内容はおもしろく見ましたが、考えさせられたのは入りの少なさ。少し考察してみます。歌舞伎座でたまに見かけるお着物の方たちは着付け教室だったり、踊りだったり、カテゴリーは特定しなくても、日本の文化を手習いしている方がハレの場として訪れているのを見かけます。歌舞伎座両国国技館は周辺施設も含めて観光色が強く、インバウンド需要にマッチし、今や外国人の観客が一定の割合に達しています。国立能楽堂も歌舞伎とキャパは違うものの、人が入っている印象です。能楽堂は都内に沢山あり、薪能のイベントも豊富です。共通するのは新作があるということです。実際私の歌舞伎初観劇は風の谷のナウシカだし能初観劇は鬼滅の刃です。文楽はなぜ新作が作られないのでしょうか。また、相撲のグッズは伝統芸能の中で群を抜いており、ショップは長蛇の列です。キャラクター展開に統一感があり見ていても欲しくなります。幸四郎さんや萬斎さんのような牽引する役者がいるのも大きいのかなと思いました

 

文京シビックホール中村屋の巡業で見たときは長唄の広がりがすごくて感動したんですが、今回は音が反響しすぎてイマイチでした。字幕が出ないためアプリをダウンロードして表示させましたがけっこう良かったです