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令和七年7月大歌舞伎…幸四郎さん新作メソッドを考える

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先にサラッと高時幕見と蝶の道行の話を

高時

こう見えて黙阿弥。悪坊主の巳っくん良かったし天狗集団も良かったし代役の笑三郎さんも良かった!(舞のシーンがあるからなんだなと思った)屋敷に移ってからのやりとりが長く、結構周りは寝てた

宙の浮き方が高さはないもののなかなかアクロバティック。3月に続いてのとんぼはこのための布石?だとしたら高時をやれる役者さん少なくない?幕見席はいっとき海外の方がほとんどだったけど、この日はほぼ日本人でした。2階席にもあるようなので棲み分けてるのかな

蝶の道行

これ良かった…!映像で見たことがあるものとは趣向を変え、シンプルに踊りでストーリーを表現する。染五郎團子は息ぴったりだし、汗だくの團子チャンが死に絶えていくさまを見ると、なんだか背徳的な気持ちを抱いてしまったり…今月のブロマイドは爆発的に売れるんでしょうな、などと思っています

 

さて問題は鬼平歌舞伎

1年前の狐花の方がまだ見どころがあったなあなどと思ったので、忙しい幸四郎さんのために歌舞伎オタクはこういうの欲してるよ!っていうのをメモしていきたいと思います。

 

1,「メインテーマは生演奏」が満足感のカギ

四季のBTTFでも宝塚の悪魔城でも、観客は聴き慣れた劇中音楽を生で聴けることでものすごい満足感を得るし、SNSでも言及されることが多い。八代目さんはナウシカでテーマを和楽器アレンジしたり、マハーバーラタで生演奏したり音楽的なアプローチを行い作品の水準を上げた。今回であれば大薩摩みたいにフラメンコギターでインスピレイションを演奏したら客の余韻も最高でしょう。客は銀座でしっぽりと一杯飲んで帰りたくなる

2,立ち回りはお弟子さん達に客席降りしてもらう

お弟子さん達が立ち回りの冒頭で最後列から舞台に走るだけでも良い。今回で言えば、火盗改の提灯持って走ってくれたら没入感があって客は嬉しい

3,幕切れで花を降らす

→今回は降ってました。できれば客席に清掃が入るくらいの降り方が良い。自分の上から降ってくる花は客にとって忘れがたい体験になる

4,無理矢理で良いから舞踊ブロックを作る

今回で言うと、おまさが内偵するシーンで市井の物売りが何人も出てきていた。風情があってとても良かったので、あそこに舞踊ブロック(盆踊りとか?)があると盛り上がりになったのでは。高麗屋の方か分からないんだけど、年配でとっても踊りのうまい方がいますよね。伊勢音頭や大富豪同心で真ん中で踊ってた方。入れごとじゃなく役者さんの芸で観客が手拍子できるシーンがあると客は楽しめるし伝統芸能を見た感じになる

5,本水か宙乗りを取り入れる

大変は承知で、どちらがを必ず入れる前提で演出プランを考えればクライマックスに厚みが出る。今回は冒頭の團十郎さんが大きすぎて、クライマックスの立ち回りにボリュームを感じなかった。鬼平宙乗りは合わないので、本水で幸四郎さんと巳っくんが切り合うなどあれば客は盛り上がる

今後も幸四郎さんで新作をやるのであれば、黙阿弥のように展開や時間を定型化し、作品をそこに当てはめていった方が良いように感じる。現状では原作に振り回され完成度が予測できず1階を買うのがリスキーである。

よだいめは演出方法をある程度定型化し、どんな演目も一定水準にしてくれていたので(意識的だったかどうかはわからないが)、やはり天才的手腕だったと言わざるを得ない

とは言え、日蓮のような不思議な新作もある(けど、あれはあれで良かった)