すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

映画タグを使うのはずいぶん久しぶりですが、私にとっては2023年の年末のラインナップは2021年の秋以来の豊作です。食べ物の好き嫌いはほとんどないくせにコンテンツの好き嫌いは激しく、「話題だから」という理由ではまず触手が動きません。そんな中で今回見たのは「帝一の國」以来にSNSで期待値を上げてきた「鬼太郎誕生  ゲゲゲの謎」です

f:id:em378794:20231206222532j:image

今作で描く時代は金田一耕助の時代に近い終戦後の日本。舞台も犬神家よろしく一代で財を成した大富豪の死が起点になります。主人公の水木は原作者と同じく戦争を生き延びたぎらぎらとした野心を抱いている男。水木は疑惑の薬剤の謎をつきとめるため哭倉村を訪れる。美しい少女、禁忌の島、連続殺人、薬剤製造の秘密…重苦しい雰囲気の中に現れたのが人ならざるもの、ゲゲ郎。水木とゲゲ郎は幽霊族と大富豪龍賀一族の恐ろしい関係に気づいてしまう…

金田一耕助色が強すぎてオリジナリティという点では疑問が残りますが、後半は幽霊族の話らしくファンタジックに展開していきます。ゲゲ郎だけが龍賀家の少年のことを時ちゃんと呼んでいて、現れた亡霊のことを時ちゃんと呼んで涙腺が崩壊しました。

水木しげるが戦地で腕を失ったことは有名ですが、第二次世界大戦終戦から年月が経ち、日本のクリエーターでこの過酷な体験をした世代はほぼいなくなってしまいました。平和はありがたいことではありますが、かの時代が遠くなってしまうことにいささかの不安を感じる今日この頃です