すきなもの雑記

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長い旅の終わりに…宝塚月組「グレート・ギャツビー」

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演目が発表されたのが昨年11月。小説を読み、映画を見てこのやるせなくも美しい世界に魅了されここまでやってきました。組の人事ではありちゃんの組替え、退団者。コロナ関連ではSS席日の中止、全て段取った母の初観劇日の中止などでムラ公演分全消え…

それでも負けずにチケットをとり観劇できました。この「火事場の馬鹿力」感はけーぽっぷで単身ソウルコンに行った時に近い気がします笑。

 

まずは本公演の感想。

小池先生、基本的にはうまくまとめてくださってよかったと思いました。この「うまく」というのは主に組子にまんべんなく見せ場があるよう脚色してくださっている、という点です。

番手専科以外の皆さん、

るみこさんのウィルソン、

あみちゃんと晴音アキちゃんのジーグフェルド・フォリーズの歌い手、

ぱるくんのカリフォルニアからお電話です、

ゆーゆとれんこん2人の場、

おはねちゃん

うーちゃんの初恋のワルツ、

るねぴのソロメモリアス、

ヤスちゃんとれいこさんのアイスキャッスルでの二人芝居、

華蘭さんの3役…

歌える人にはきちんと場があって、芝居で見せられる人には落ち着いたやり取りの場があって、適材適所でした

私の今回のMVPはデイズィーの母を演じた白雪さち花お姉さま。若いギャツビーの執着を生み出したキーパーソンでした。ルイヴィルの夜のシーン、れいこさんと長めの2人芝居で印象に残りました。

 

れいこさんは本当に一点の違和感もないギャツビーで最高だった。歌もセリフも素敵で文句なし。アイスキャッスルの照明と青いスーツがバランス良くて、ストライプもピンクもゴルフコンペも燕尾も死角なしでかっこよかった。

海ちゃんはドレスのシワのより方と髪型が正解なのか気になってしまったが、モラトリアムな人妻っぽくて良かったです

ちなつさんのトムはわがままでやな奴感を出しつつビジュアルがイケてるので女がわさわさ寄ってくる感じがよく出てて、こんな役なのにみんなカッコイイカッコイイ言ってて面白かったです

とはいえ変な役続いてるので、別箱と在原業平が楽しみです

風間さんのニック…!

私はニックのキスシーンを「あわよくばキス」と命名していたんですが、そういうことしそう…!っていうタイミングでキスシーンがあって最高でした。恋のホールインワンも歌唱に遊びがあったり間奏に鼻歌入れたりして全体的に素の風間さんを感じました。ロマンス劇場に続いてみちるちゃんと恋愛関係を感じさせる役で、強気なお姉さんと鷹揚な彼氏っぽくて良かったです。好きです笑。れいこさんはアイドル役だけははまってなかったな〜って思ってるんですが、風間さんにもはまらない役ってあるんだろうか。見てみたいような見たくないような。見てみたいといえば、スカステでゴルフ企画やってほしいです!

 

解釈の点では疑問が2点。

デイズィーが回想でお馬鹿さんになるって歌うんですが、原作だと結婚式の前日に手紙が来るので、デイズィーが悟るにはちょっと早くないか?という。あそこまで情感を込めるのであれば今の場面のほうが理解しやすく感じました

もう一点は神は何を見ているのかという点。

ウィルソンは「マートルを殺した奴は裁きを受ける」という意味で神は見ている、と歌います

ギャツビーは「神に背いてもデイズィーを守るという決意は変わらない」と歌い締め。

しかーし!元凶はトム、お前だろって思っちゃう。

なに善人ズラして「神は見ている」のコーラスしてんのよと。

ここは禁酒法を守らず乱痴気騒ぎを繰り返す正義に無関心な富裕層とその金を搾り取るならず者たちの街なんですよね。

原作の面白さはほぼ全員が多かれ少なかれ悪いことしてる(ニック含め)所なので、ギャツビーだけが裁きを背負うように見えるのはどうなのか。ちなみに善良なウィルソンがギャツビー殺しの罪を償い、自ら死ぬのは皮肉ですね。

 

続いて新人公演の感想です

今回は組替えで来たばかりのあみちゃんが主演ですが…

完全にあみちゃんのことなめてました。

あのほわほわしたかわいい子が…

ギャツビーにしか見えない!なんで!?

伏せた目や仕草がれいこさんに見えるの!シティハンターもブエノスも若い役だったから気づかなかった。めちゃくちゃカメレオンタイプ。セリフ回しも明瞭で歌唱も的確。纏う空気にわざとらしさがありませんでした。こんなにうまい子が月組に加わってくれたなんて本当に嬉しいです。星組の天飛華音ぴと同じく、トップに立つ姿が想像ついたし見てみたいと思いました。

おはねちゃんの可愛らしさ、うまさは認識済み。声がはっきりしていて好きです。マートル白河りりちゃんは適役。あの歌、すごく難しそうです。

 

そういえば装置、神の目のところでせりあがりの小部屋が下がると上にデイズィーとトムがいるんですがいつの間に!?と思ってました。怖そう。

 

昨年11月の演目発表から長い旅が終わって、正直、期待に胸を膨らませつつも、人事で落ち込み、友の会チケで落ち込み、コロナ休演でショックを受け、100%プラスな気持ちだけでここまで来たわけではありません。準備期間が長すぎて少し疲れました…

といいつつも次回の大劇場は「応天の門」!

マンガ読みを卒業したはずの私が未だに面白く読んでいる原作。この源流には獏さんの陰陽師がいます。

その前の全ツはブラックジャックで正塚先生。初めて見るので楽しみです。