すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

歌舞伎の年末年始配信芸談あれこれ

2022年末〜2023年始は歌舞伎関連の配信が毎週のようにあり…

あのね、1つが2000円だとして、5つ見たらそれなりの席座れちゃうのよ…zoomの画面だったりするくせに…

とはいえ、ご贔屓やご贔屓じゃなくても素顔を見てみたい役者さんが出演すると気になって課金してしまうもの。舞台上では見られない仲良し同士で出演でもしたら、それは宝塚でいうところのナウオンステージ(公演中の演目について出演者が語る専門チャンネルの番組)なのです。今回は気になる配信がほんとにめちゃくちゃ多かったので、忘備録として残しておきます

 

◆22/12/16 歌舞伎家話第十八回

出演:尾上菊之助中村米吉吉崎典子

ナウシカのオンデマンド配信記念回

収録形式。ナウシカの7月版のお話やFF歌舞伎の話なんかもしていた。米吉くんはナウシカやる前に既にFF歌舞伎の話が決まっており意気込んでいたところナウシカが横から入ってきたようなことを言っていた。鬘の変更のお話や宙乗りが初めてだから菊之助さんが教えるために乗ってくれたとか。質問コーナーでマハーバーラタ再演はないかと話を振られていた。話しぶりから再演はしばらくなさそうだけど、大好きでよくできたストーリーだった。菊之助さんは記者会見の時から米吉くんかわいいかわいい言っていて、あまり芝居で一緒になることはないけどケチャの時にとても熱心だったからナウシカもユウナもぜひやってほしいと思ったと言っていた。播磨屋関連で藤戸の話をしていたかもしれない。米吉くん曰く、吉右衛門さんの追善だが今回は天国から丑之助くんに釘付けのはずなので自分たちは眼中にないだろうと。

菊之助さんはあまり他の役者さんとの芸談に出られないので、ここで紀尾井町家話に出てほしい。お互い気を使うとは思うけどさ。米吉くんのトークのスピード感はとても良きです

 

◆22/12/23  紀尾井町家話第九十四夜

出演:尾上松緑松本幸四郎市川猿之助

アシスタントなしのクリスマス恒例回。対面アクリル板生配信。

この3人だと、ど天然幸四郎さん✕弟キャラ猿之助さん✕意外とまともに見える松緑さんという組み合わせで話が面白い。この自然体な姿が見られるのは紀尾井町家話だけだと思う。内容は2022年の活動の総括。冒頭は助六の意休代役で松緑さんが参っていた。さらに代役祭りだった8月弥次喜多の話。こちらは本人たちが代役をしながらも演出面を取りなすプロデューサー的な面の話もあり。あの、観客の目にも見えるようだった裏側のドタバタは後世に語り継がれるんだろうなと思う。幸四郎さんは染五郎人気に本気の抵抗。猿之助さんは荒川十太夫がとてもいい新作だったと褒めていた。

この3人だったら何を見たいかなぁ…芝浜革財布とか文七元結とか…?三人吉三だといかにもなので八百屋お七とか。

 

◆22/12/25  歌舞伎家話第十九回

出演:中村梅玉、中村莟玉、進行に松竹の戸部さん。

収録形式。あまり詳細は覚えてないが、まるるの人懐っこさで全体がおさまっていたような気がする。梅玉さんは今年人間国宝になったのでいろんなインタビューがごっちゃになり、果たしてどれがこの回だったやら…新之助くんが可愛いと言っていたような。お祖父様と確か同級生なのだ。とうらぶ歌舞伎の「人間国宝が国宝を演じる」みたいなのもここで言われていたかもしれない。梅玉さんは魁春さんにはめためた厳しいけどまるるにもちゃんと厳しいのか?まるるが人懐っこすぎて厳しい梅玉さんの想像がつかない。まるるはパパさんって呼んでるのかしら。

 

◆22/12/27  部屋子の返信

出演:市川青虎、市川笑也市川笑三郎市川猿弥

図書室のようなスタジオで対面生配信。2022年の総括と博多座への意気込み、質問への回答。これはよく覚えてます。どちらかというと弥次喜多で代役を回していた皆さんの振り返り。青虎さんが、猿弥さんの1月の代役主演で湧いてたら8月こんなことになるとは…って言ってました。笑也さんは宙乗りが重そうで落ちたらどうしようって心配したと。私が2022年で最も情緒ぶっ壊した新・三国志の話もたくさんしてくれた。猿弥さんは笑也さんの諸葛孔明がおいくつになってもきれいだと。博多座の舞台機構の話も。曰く、1日でいくつも演目を出す歌舞伎座よりは博多座のほうがやりようがあるらしい。

青虎さんは他の方よりがっつり年下できちんと先輩を立てている。配信の中では一番視聴者とのやり取りがある。澤瀉屋猿之助さんが四代目という時点で年功序列ではなく、そんな意味でも一番実力主義で厳しく見える(本人たちはゆるゆるだが)。博多周辺の楽しみ方やプライベートが見えておもしろい。中村屋勘三郎さんの話よく持ち出すけど、澤瀉屋も猿翁さんの話大好きだよね。脱線もするが気のいい仲間って感じ。

 

◆23/1/5  紀尾井町家話第九十五夜

出演:尾上松緑中村雀右衛門中村梅枝坂東新悟

ZOOM配信。雀右衛門様のわんちゃんがスターウォーズに出てくる凶暴なくまみたいで可愛かった

雀右衛門様こそ、8月以外ずっと歌舞伎座出てたんじゃないかというくらい出演されていたイメージ。あと、ド古典の大作でお役を張れる役者でキャリア最高峰なのが雀右衛門様だと感じる。可愛らしい役が似合う。七段目のおかるを見てあまりに可愛くて悶えた。あと、雀右衛門様は琴をちゃんと弾いてくれる。

 

◆23/1/16  歌舞伎家話第20回 新春浅草歌舞伎上の巻

出演:尾上松也坂東巳之助中村歌昇坂東新悟中村種之助

ZOOM配信。新しくなった浅草公会堂の感想と新春浅草歌舞伎の演目について。歌昇さんは「僕の又平と弟のおとくは同じ方向を向いている」と。松也さんは巳っくんと「お国と五平」がやりたい、歌昇さんは巳っくんと「泥棒と若殿」がやりたいと。巳っくんは配信用に楽屋で見た新悟さんのお洋服と揃えたらしい。新悟さんも服が違うことに気づいてたみたいだけど、そんなに注目してるものか?個人的には種ちゃんのブレスレットが気になりましたね。

トークの内容としては過去の浅草出演を写真で振り返りなど。

BS松竹東急の「松本幸四郎が沼る!」内で松也さんとのトークがあったが、松也さんは基本的にふてぶてしいので、先輩と話していても全体的に偉そうに見えちゃうのである。実は私も同様の自覚があるので松也さんにちょっとだけ親近感を抱いている。松也さんは浅草回のMC回しも沼るの回しも非常にうまい。幸四郎さんも、相手がふてぶてしいので天然が炸裂しても事故らないしツレない返事でも変な感じにならないので見ていてストレスがなかった。浅草メンバーも松也さんを座長として仲良く接しつつも立てており、特に巳っくんのナチュラルな存在感が間にうまく入って、若者トークらしく聞きやすい。このふてぶてしさも技術があってこそで、お忙しいだろうに歌舞伎の舞台をビシッと決めてくれるのは素晴らしいと思いながら舞台を見ていた

 

 

◆23/1/27 歌舞伎家話第21回 

出演:市川猿之助市川團子野村萬斎、野村裕基、吉崎典子

二人三番叟を記念して萬斎親子との座談会。対面収録。能狂言と歌舞伎のお稽古の話から。能狂言の場合は親戚や一門から習うことがほとんど。一方歌舞伎は習いたい人に自分で教えを請いに行くスタイル。猿之助さん曰く、踊りのお稽古は稽古のうちに入らないと。團子チャンは新作の方が「歌舞伎っぽく」を意識するため自由がないと。裕基さんとお互いのジャンルのセリフを交換する企画、團子チャンはお能を習っているらしく、ちゃんとでんでんむしむしが言えていた。素化粧ででんでんむしむし言ってる萬斎さんが良かったし、やっぱり狂言ってめちゃくちゃ面白いなあと思いました。萬斎さんの力の抜けた感じが良いんだよなぁ〜、どちらも分野の貢献は素晴らしい聴き応えのある対談でした

 

さて、こんな感じで配信を聞いているわけなのだが、わたしが歌舞伎に興味を持ったうちの一つにコロナ禍で中止になった明治座の座談会配信がある。その時の若者も年長者も和気あいあいとしながら歌舞伎役者がトークしているのを、わからないながら聞いていた事を思い出す。

歌舞伎の世界は演目も人間関係もいまだわからないことだらけだが、それを初心者向けに解説するととたんに面白くなくなってしまう。よそゆきではなく、彼らが楽屋で話しているままを少しだけでものぞき見れたらそれで十分だと個人的には思っている