すきなもの雑記

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同年代の冒険…流白浪燦星@新橋演舞場

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ルパン歌舞伎の配信が終わったので、観劇の思い出とともに振り返っていきます

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の前に買い出し!平日昼だったのでチョウシ屋でメンチカツとコロッケのミックスが観劇メシです。水色の包み紙が眩しい…!周辺にはカフェが結構あるんですが、演舞場の地下に東(あずま)という休憩スペースがあることを初めて知ったので、今度はコーヒーでも飲んでみようと思います

【あらすじ】

不老不死のからくりの体を持つ古の王が封じられた雷の岩。封印を解くには卑弥呼の金印が必要なのだが、金印を取り出すには赤い目の古の民が雄龍丸と雌龍丸という対の刀で斬りつけなければならない…

真柴久吉(彌十郎)が何らかの情報を持つと知りルパン(愛之助)次元(笑三郎)と五エ門(松也)と銭形(中車)は聚楽第に乗り込むが、ルパン次元は逃げおおせ、五エ門は牢に囚われてしまう。ルパン次元は五エ門をつづらに入れて運び出し救出する。久吉の近習頭・長須登美衛門(鷹之資)は古の民の末裔だが、恋人五エ門が刑に処されたと勘違いし悲しむ傾城糸星(右近)が同じく赤い目を持つ古の民だと知る。糸星の元を訪れたルパンと五エ門は自分たちの戦いに決着をつけようと立ち回りを繰り広げるが、からくり屋(猿弥)の追っ手から逃れたはずの糸星と不二子(笑也)は連れ去られ金印の封が切られてしまう。糸星は古の大王に体を乗っ取られる前に五エ門に自らを斬るよう頼む。糸星と両刀から生まれた剣を斬鉄剣と名付け、稲瀬川さながらの名乗りを上げて幕となる…

 

元々ルパン三世のアニメシリーズは沢山の演出家や監督の手によって多様な解釈があります。ルパン歌舞伎はその中でも古典歌舞伎を舞台にこのままアニメ映画にしても楽しめそうに感じました。確かアニメシリーズに今回のラストのような歌舞伎の名乗りがあるんですよね。

成功の一因としては、キャラクターの造形をアニメシリーズに寄せにいった点が挙げられます。もっとわかりやすく言うと、愛之助さんも中車さんもルパンと銭形の台詞回しがキャラクターのモノマネで、見る前はそこまで寄せないんじゃないかと思っていましたが、寄せて正解だったと思います。ストーリーも適度に複雑で、かつ、だんまりや本水など歌舞伎のお決まりの演出方法を取り入れて3時間があっという間に過ぎていきます。さらにビジュアル担当(おそらく)の松也さんと右近くんの恋愛模様があり配役のバランスの良さも助けになりました。そして鷹之資さん…大ちゃんの役回りが良く見ごたえがありました。とうかぶの大ちゃんも良かったけどルパン歌舞伎も良かった。全体的にキャラクターチックなため、古典的な人物が一人いることで物語が浮かず見せ場もたくさんありました。

 

さて、今回のルパン歌舞伎は「笑ってコラえて」のコーナー、歌舞伎座支局の旅の中で舞台裏が紹介されています。支局長の戸部さんは紀尾井町家話はじめ配信トークの仕切りでもあり、様々な歌舞伎のドキュメンタリーに顔や声が出ており、脚本に名前が載っている作品はいくつも見たことがあります。松竹の社員だと思うんですが、メイン業務は何なんだろう。会社員やっててこんな働き方してる人いるのかと。松緑さんが戸部呼ばわりするところは制作進行っぽいけど、猿之助さんが配信の弥次喜多で段取り悪すぎて勝手に監督までやらされたって愚痴ってたり、何かあると幸四郎さんに話を持っていくっていうのは戸部さんが過去のインタビューで言っていてそこはプロデューサーっぽいし、以前の配信で種ちゃんに演出の変更を相談して、その節は…って謝ってたのは演出っぽかった。

なんだかいろいろな役割を担っている戸部さんだが今回初演出らしい。同年代の松也さんは一足先にとうかぶで演出デビュー済。興味深かったのは、外部の出演が多い松也さんはできるだけ幕の閉まっている時間を生まないような演出をしており、現代の演劇的なエッセンスを取り入れて客の集中力を途切れさせないようにしていた。これは以前猿之助さんの演出でも感じたこと。戸部さんの演出は歌舞伎の舞台づくりに忠実で、菊五郎さんの年始の歌舞伎に近い。レトロな入れごとを多用していた。歌舞伎座支局にの中では脚本が仕上がってなかったが、ストーリーは盛り上がりがあってうまく出来ているなあと思いました