すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

不思議な概念の物語 刀剣乱舞〜月刀剣縁桐〜

f:id:em378794:20230712005648j:image

猿之助さんのショックに救いを求めた結果、とうかぶ一等席を取っていました。観劇にあたり配信されていたアニメシリーズを視聴、ゲーム原作ということでベースの設定があります。

まず普通の芝居と異なるのは、観客が審神者(ゲームのプレイヤー)であることです

本丸という基地のようなもの、刀剣の名前で語られているがそもそもは刀剣の付喪神であり彼らを刀剣男士と総称、刀の組み合わせはフレキシブルで歌舞伎本丸では三日月宗近が主役だが全てがそうではない、時間遡行軍が歴史を改変しようと時を遡るため、それを阻止するためにその時代に飛ぶ…など細かい前提がありますが、それ全て緞帳に書いてあります!

あまり外部舞台を見ないので流行りなのかわからないですが、開演前から拵えをした演者さんが役としてロビーにいます。直前には幕前でトークあり。

【あらすじ】

足利義輝(右近)は歴史修正主義者に操られ暴君と化していた。松永大膳(梅玉)は息子久直(鷹之資)の切腹により義輝討伐を決意する。義輝の妹紅梅姫(莟玉)に好意を向けられた三日月宗近(松也)であったが元々の持主、義輝に刃を向けるのであった…

 

一幕ラストに盆に庭園をのせて回し、それぞれのやり取りを見せるシーンがあるのですが、それが現代的で上手いなと思いました。極力舞台転換で生じる間を排し客席や花道を使ってテンポよく進めていたと思います。2部では大ちゃんのがっちりとした義太夫の場面があり(岩藤で似たような場面を見たことがある)しかも相手が梅玉さんだったので舞台が締まっていました。いやこれ梅玉さん出てくれてよかったですね松也さん。

最後は右近松也の立ち回り。若い二人なのでめちゃくちゃ動くんですが、最後の瞬間に静寂が入りうまくできています。家話で、舞台稽古ではここの場面は二人で泣いちゃったけどそれは違うねってなったと松也さんが話していましたね。全体的な演出は菊之助さんぽいというか、なんだ、むしろ菊之丞さんぽいのか?とにかくスーパー歌舞伎とは違いました

 

ただ、古典と現代の決定的な違いも感じました。

古典では「敵は悪ければ悪いほど良い」んですが、その役回りは今回の舞台に置き換えるとおそらく時間遡行軍を操るボス的なポジションなんですよね。勧善懲悪が現代の捉え方になっているので、歌舞伎の手法はなぞれているけど私の好きな「何その展開?」みたいな破天荒さはなかったです