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新春歌舞伎公演 国立劇場「遠山桜天保日記」

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松の内に観劇はできませんでしたが、年の始めを寿ぐ空気で満ちていました

1月の国立劇場、一番好きかもしれません。がしっと長くて内容はそこまで固くない。劇団にも抜群の信頼があります。

今回のお芝居は遠山桜天保日記です

 

あらすじ

遠山の金さんは芝居好き。座元のトラブルも解決し街の人に慕われていた。ところ変わって義太夫の師匠お若(梅枝)は尾花屋の若旦那小三郎(菊之助)と良い仲だったが育ての親、政五郎(権十郎)に反対され二人は三囲から大川に身投げする

そこに現れたのは短筒強盗の角太夫松緑)。生臭坊主の天学(彦三郎)を強盗に仕立て、天学は捕縛される。死にきれなかった小三郎は羅漢小僧と名を変え安房国でごろつきをしていた。そこで角太夫、牢脱けをした天学と徒党を組む

政五郎の屋敷に現れた羅漢小僧は金をたかる。お若の父は角太夫。幼い頃に出ていったため妻のおもと(時蔵)は行方を探していた。按摩になりすました角太夫と政五郎の屋敷で居合わせたおもと。後を追うが諍いになり角太夫はおもとの首を締め上げる

天学は強盗に仕立てられた腹いせに、羅漢に角太夫を裏切ろうと誘うが断られ始末しようとする。そこに現れた桜吹雪の入れ墨をした男に羅漢は助けられる。佐渡金山の御用金を盗むため、新潟の料亭で落ち合った角太夫と天学。追手が迫り浜での立ち回りとなる。捕らえられた天学はお白洲へ。金四郎の取り調べに小三郎、死にきれず花街に売り飛ばされていたお若、海へ落ちたが生きていた角太夫、首を絞められていたが仮死状態のおもと、尾花屋の小姓辰吉(丑之助)が登場しての大団円となる

大詰は河原崎座の舞台。華やかなお祭りとなる。

 

1月の国立劇場が好きな理由は菊之助さんと梅枝さんが若手トップコンビとして組んでくれるからです。今回も縁切の細やかな演技や心中の所作が美しくて見惚れました。横顔の梅枝さんは文楽のお人形みたい。また河原崎座で着ていたモスグリーンのお着物がすごく似合っていました。菊之助さんはここでは女方。一つの演目の中で男女どちらも演じるのは歌舞伎ならではですね。

お芝居中の右近くんの義太夫のお師匠はとても可愛いし一節唄ってくれます。隣で三味線を弾いていたのはやゑ六さんでしょうか。すっごく上手でびっくりしました。そして左近さんと萬太郎さんが八州廻りという役職。八州廻り八州廻り(はっしゅうまわり) | 時代劇用語指南 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダスという仕事は初めて知りました。なんだかいろいろと物語の有りそうなお仕事…!左近さん台詞が多かったです。

お小姓の丑之助くんは今回もしっかりと演じていました。1回目に観劇した時は丑之助くんが休演だったためストーリーに「???」となり、予想以上に辰吉が重要なことを話していたのがわかりました。

歌舞伎座と違うのは美術。今回の大川端の背景がすごく素敵でした。ベタッと塗られてる感じがなくて。新潟の行形亭の向こうに広がるのは日本海の荒波。海際にあったんですね。立ち回りの岩場も高さがあり立ち回りも凝っていてとても迫力がありました。

菊五郎劇団の役者は世代が若返りつつあり、今とても勢いを感じます。平日公演でもガラガラということはなかったので、歌舞伎のファンがきちんと良さを受け取っているように感じられました