すきなもの雑記

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隼町から二元中継 国立劇場9月「妹背山男女庭訓〜吉野川〜」

1回目は花渡しと吉野川の前半で睡魔に勝てなかったので、2回目を急遽買い足しました

会場の温度ってバカにできなくないですか。特に暑い季節は自分の体温が高いから28度設定でも具合がわるくなりそう。来年は少し対策しないとな。冬は冬で外気温との差で眠くなりそう

妹背山婦女庭訓のあらすじ

妹背山婦女庭訓 - Wikipedia

全体を読むと展開がジェットコースターで面白いですね〜10月のトンデモ展開が楽しみです。9月の部分は話としてはきちんとしており悲劇的な展開で終わります。雛鳥(梅枝)と久我之助(萬太郎)の逢瀬が微笑ましいだけに、悲惨な最期が涙を誘います。

役者が兄弟で恋人同士を演じることは歌舞伎でよくあると思うんですが、若手の兄弟の中で一番「萌え」に持っていかないのが梅枝萬太郎兄弟です。感情的な揺さぶりは一切なく、型の完成度で客席を沸かせます。

この月のラスト、吉野川は2時間の大芝居です。それまでの場で若い恋人たちが追い詰められていく過程を描いていきます。まずは入鹿(坂東亀蔵)が行方を探している采女の局(新悟)を久我之助が逃がし、それがほんのりと入鹿にばれている点。時の権力者に参内を命じられ父の大判事清澄(松緑)は苦悩します。大判事家と対立する太宰家の女主人定高(時蔵)も娘の雛鳥の入内を迫られ進退が窮まっています。今回は両花道なのでお互いが花道の途中に立ち台詞の応酬になるという。

さて吉野川はセットが独特で、舞台のど真ん中に川が流れています。芝居は二元中継で、川の左右にある太宰家と大判事家の出来事を同時進行しています。お互いの家のことはわからず、全て見ているのは観客のみです。雛鳥は入鹿に輿入れして何をされるかわからないなら清いまま殺してほしいと定高に頼み、定高も聞き入れます。久我之助は久我之助で腹を切りますが…

これが、切ってから長いよ〜〜

30分くらいは死にそうで死なない萬ちゃん。松緑さん早く介錯してあげてよ、と思いますが首になった雛鳥と対面し安心したところまで忍耐強く待っています。雛流しという、嫁入り道具を川に流す有名な場面があります

ロミオとジュリエットはお互いのコミュニティの争いが悲劇に繋がりますが、妹背山は国崩しを企む権力者の陰謀が直接的な原因であるという違いがあります。普段の歌舞伎だと、ここに再び入鹿が現れ清澄定高と後日の再会になりますが全体の中盤にあたるため2人が泣き崩れて幕となります

あまり上演しない演目らしく、生きている役者で清澄と定高を演じたのは白鸚さんと玉三郎さんのみだったようです。今回時蔵さんが務めたことで今後は梅枝さんも演じるチャンスが…とわくわくしました

【追記】

後日、台本の画像が出てきました。台詞があまりにかっこよくて撮っていたみたい(自分のことよ)。読み返した時に思い返せるよう、ここに載せておきたいと思います

 

忠臣貞女の操を立て 死したるものと高声(こうしょう)に 閻魔の庁を 名乗って通れ

大判事