すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

続きは次回の講釈にて。新・水滸伝

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歌舞伎座南座で「新・水滸伝」を見てきました。演目が発表になった瞬間に今年の夏休みは京都滞在に決定。猿之助さんがいないのは残念でしたが、初めての南座を楽しみました

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建物も素敵でした!

さて、水滸伝の基本設定。

悪い役人がはびこる古代中国。彼らを懲らしめる野郎共が梁山泊に集結するー

読めるところまで小説を読みましたが、いろんな人物にスポットが当たるので長いストーリーという感じはしませんでした。日本語訳が歌舞伎や講談などの古典芸能の文体に似ていて読んでて気持ちよかったです。毎回、続きは次回の講釈にて。で終わります

南座の前に振り返って8月の歌舞伎座版。致命的な、と思わず言ってしまいたいくらいのセットの難点がありました。

新・水滸伝のセットは限りなくシンプルで、大きな岩と階段付きの段差のみです。そしてこの段差がやたら高くて、出だしの姫虎(笑三郎)の登場が3階席からだと…見えない…

3階席から見えない芝居は今までもなくはなったですが、今回に限ってはそこまで高くする理由も見当たらなかった。途中で王英(猿弥)と青華(笑也)が足を投げ出して座るんですが、高さが膝下の何倍もあって、見てて怖かったです。これは南座では劇場の大きさゆえが改善されていて、末席から見ましたが見やすくなっていました。

今回、初めから主演として座組を引っ張った林冲の隼人さん。奇しくも猿之助さんが5月に組んだはーさん主演Bプロの経験がここでも生かされる形となりました。正直私ははーさんの良さをこれまで感じていなかったけど…今回の林冲はものすごく惹きつけられました。出演した巌流島の長い立ち回りが役に立っているというか、とにかく戦闘シーンがカッコイイ。スピード感もあるし見せ方も上手い。これは勘九郎さん(勝手に歌舞伎界一立ち回りが上手いと思っている)とぜひ立ち会ってほしい。松也さんもそうですけど、身体が大きいので重そうな鬘や衣装が邪魔をしないのが良いです。

そして相手が同じく若手の歌之助さん。福之助さんが3枚目っぽいアク強めの役を演じるのと対照的に王道の悪役を演じるのが楽しそう。その正反対に位置するのが彭玘役の團子さん。陽のオーラがキラキラと出ていて、本当に彼は澤瀉屋なんだろうか?と目を擦ってしまうほど。こんなにはっきりと若手のニンが出ているのって個性豊かな証拠ですね。

澤瀉屋のレギュラー陣では、今回は猿弥さん笑也さん笑三郎さんといい役でしたね。新・三国志猿之助さんと笑也さんのLOVEでぎゃんぎゃん泣きましたが、今回は王英の一途な思いが普遍的ながらまっすぐで良かったです。きっと当て書き。お夜叉とのコンビの掛け合いが良くて、猿弥さんとアドリブの応酬をする壱太郎さんも機転が効いてすごかった。ただ一点、新・三国志もそうだったんですが、舞台展開がパターン化しているので変化がほしい。不死鳥よ〜の時は歌でメリハリをつけていましたが、舞台で何かやる→セットチェンジの時間稼ぎに花道で敵と部下が算段、という流れが続くので若干飽きます

古典ではないため作品にメッセージが込めやすいんですね。私が見た回は猿翁さんが亡くなった直後だったんですが、宙乗りに「夢みる力」という言葉が追加されていました

ちなみに、お昼は南座の向かいにある菊水さんでした。急にお願いしたにも関わらず劇場までお弁当を持ってきてくれてありがたかったです

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開場前に散歩していると南座の反対側に北座を発見

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現在は八ツ橋のお店になっていますが昔は通りを挟んで2つ、さらに江戸時代の京都には7つも芝居小屋があったんですって

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