やってまいりました7月
7月の期待を記事にしていた↓
5月の自分に伝えたいですね〜
わたしのギャツビー7月の観劇は飛んだよ
そして歌舞伎座は全部閉まっちゃったよ
ギャツビーはですね、SS席3列目っていうプラチナ席が飛びまして…でも早めに初日をずらした宝塚は英断だったかも。
歌舞伎座は後手後手で連休の遠征組には気の毒なことになってしまいました。
運のいいことに、私は閉まる前に見ることができまして。7月、予想通りどの部も面白かったです
1部 当世流小栗判官
安定の、圧巻の、澤瀉屋
スーパー歌舞伎のオグリはコロナ初期の配信で見た記憶がありますが、後半のオグリの汚れ具合にちょっと引いた記憶が…なんとなく演出が2.5っぽいなーと思って見てました
さて今回はスーパー歌舞伎ではなく通しものです。見せ場が沢山ありますが、まず1幕では暴れ馬「鬼鹿毛の碁盤乗り」があります
これすごいんですよ、前足の方が完全に吊られます。視界が悪いので絶対怖いよ。しかも馬、けっこう舞台上の滞在時間が長い〜、中の人大変だと思う。なのでめちゃくちゃ拍手しました。決まり事をよく知らなくて碁盤が用意されたときなぜ?って思ってたけど、碁盤乗りっていうのが有名なんですね
この幕が終わると全く空気の異なる浪七の場に変わります。浪七は照手姫のお家の家臣という設定。ここに矢橋の橋蔵という三枚目役が出てきます。浪七を捕らえて照手姫の居場所を吐かせるための偽代官なんですが、これが巳之助さん。巳っくんがぶっ壊れていておもしろい。猿翁さんの復活狂言だそうだし、こういうメタ的…というか好きなこと喋る役回りなんだろうけど、他家であり先輩である澤瀉屋やよだいめを貶しすぎず、かつブラックジョークを交えて客席をドッカンドッカン沸かせるのって才能ですよ。「猿之助さんにいい役あるよって言われたのに〜騙されたわ〜これでも俺先月は南郷やってたんですよ〜」みたいなことを言っています
この幕の最後は浪七の血の滝です。これも見せ場。猿之助さんは岩場に逆さまになります。腹わたで舟をとめるっていうのがすごい。何となく「里見八犬伝」と同じような匂いを感じるんですよね、展開のファンタジーに無茶苦茶な感じが…「椿説弓張月」ももし復活したら似たように感じるのかなあ…
話を戻します。次の場もなかなか濃くて。これは右近くんお駒の熱演ゆえなんですよね。笑三郎さんと、親の忠義か自分の恋心かの葛藤の末、自分の心を偽れず母親に斬られるも小栗判官が忘れられずに祟って出るという。
右近くんはこういう情念深い女方が一番はまっている気がする。本人もやりがいがありそうなので、お岩様を見てみたい。花嫁衣装で斬られる姿が美しかったです。再会を果たした小栗判官と照手姫がいちゃついてる影が障子に映るので、なんだかこちらもイラッときました笑
そしてそして、呪いを受けた小栗判官の行き着く遊行上人の弟子に真秀くん。センターで堂々と踊ります。7月は真秀くんもうっしーもセンターで踊りますね。どちらも腰が落ちていて、日本舞踊はわからないけどしっかり踊っているように見えました〜
前回の猪八戒でも言ったけど
澤瀉屋の充実感はすごい。猿弥さんがラスボス、そして青虎さんがその右腕、お弟子さんで賄ってそれであまりあるくらいの見ごたえという。
宙乗りは色彩が美しくて。白馬の白に赤い手綱、小栗判官の青い袴。照手姫の赤い着物。照明が当って発光してるようだった。できればもう一回見たかったです。
2部 夏祭浪花鑑、仲国
夏祭って面白いよねぇ、前回コクーンの感想です
私のような新参オタクには正直、台詞の言い回しの良し悪しはわかりませんので、海老蔵さんの団七は悪くないと思いました
ただやっぱり正式な歌舞伎版でも儀平次殺しの立ち回りは長い
あと、祭に紛れて去っていくところで幕なので、お梶の扱いがお辰よりも下なんですね。団地妻の場(違)までやればいいのにねえ
この演目の個人的な一番の見所は琴浦と磯之丞のバカップルです。まるる琴浦、佐賀右衛門にめちゃくちゃ嫌そうな顔するし磯之丞といちゃいちゃしてヤキモチやいて可愛かったです。
殺しからの祭で終わると団七と徳兵衛のひりひりするようなバディ感が伝わりきらなくてもったいない感じがします。団七が決して舅殺しをするような人物でないことを示すためにも徳兵衛とのバディ感は必要
浅草でやるなら〜とか襲名でやるなら〜とかひたすら推しバディを考えてました
3部 風の谷のナウシカ〜白き魔女の戦記〜
私は映画館で見たナウシカで歌舞伎に興味を持ったので、私にとっては歌舞伎の「親演目」に等しいナウシカ。現場で見ると、紗幕を使ったりライトを駆使していたんだということがわかります
たーだ、わたしはアニメのナウシカもとても好きなので、時間の都合でカットせざるを得ないあのシーンやこのシーンが見られなかったのは残念です。あと、クシャナ周辺のトルメキアの戦争に重きをおいた展開でも良かった。兄と父との呪われた血の争いを交えたりして。歌舞伎の演目って、戦の中のエピソードに注目したものがけっこうあるし。盛綱陣屋とか本当によく錬られたストーリーですよね
うっしーの踊りはものすごい説得力だし、何と言っても米吉くんの熱演に観客は盛り上がってるし、菊之助さんの足を組んで座る姿に私はやられました。ケチャのまるるは鋭いまるるだし、3階からは花道はすっぽんくらいまでしか見えないけど、何とか錦之助さんチャルカが謎の踊りを踊ってるのが見えたり。
そしてやっぱり思うのは、美術さん小道具さん衣装さんが、普段と全く違うナウシカの世界を見事に表現しているすごさ。
和楽器でのナウシカの曲はなぜあんなに涙を誘うのでしょう。タイトルバックが鳥肌ものです。
テトやカイや蟲をあやつる後見さんの細やかさも愛情深いなと思いました
そうそう、今回は黒衣でも雪衣でもなく金衣!ちょっと着てみたいです