すきなもの雑記

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三人一座の物語 令和五年7月大歌舞伎「菊宴月白波」

ほんとごめんなさい

今さらながら7月昼の部の感想です

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昼の部 菊宴月白浪

七月大歌舞伎|歌舞伎座|歌舞伎美人

 

舞台で見て何だかしっくり来なくて、ミレールの配信を見て感じたことを書いていきます。今回の演出しか見ていないので受け取り違いもあるかもしれません。

記事のタイトル通り、配信を見返すことでこの話は二者の対決構造ではなく三者の相関構造なんだなと思いました。三人吉三のような。三人吉三との違いは立役2、女方1なのに対し菊宴月白浪は立役3名で構築していきます。しかしながらこの芝居に登場する魅力的な3人の主要人物は三人吉三の大川端のように一同に介する場面がありません。そのため、ワルたちの白浪物というワクワク感を見せる演出は弱めだと思いました

というわけで、元々主演予定だった猿之助さんの他に、猿之助さんと同じくらいの格の役者が2人必要な演目のように思われるのです。

さてここで各々の見せ場を確認すると、

星五郎&権兵衛…実は双子の兄弟。おかる(壱太郎)を取り合う場面あり

星五郎&与五郎…大詰立ち廻りあり。星五郎と与五郎は主従関係

今回の配役は

星五郎   権兵衛   与五郎

中車    猿弥    歌之助 

でした。最後の立ち廻りを歌之助さんが演じていたのでそれは抜擢で良かったんですが、見ていてなんだか配役のバランスが悪く感じました

そういうところを踏まえると

猿之助   中車    幸四郎  

猿之助   愛之助   松緑 

想像する限り、こんな配役だとバランスがいいのではないかと思い、猿之助さんは演目を決めたタイミングで、もう一人どなたかに出てもらうつもりだったのではと考えたりしました。(話がそれるけど、劇団だとうまく配役できそう…菊之助さんと松緑さんと彦三郎さんで年始に遠山桜やってたし)

 

澤瀉屋じゃないけど

松也    巳之助   右近

橋之助   福之助   歌之助 とかね

種ちゃんが出ていましたが、座組の中でバランスがとれないので、やはり縫様が適役だったかと。登場人物は多いのですが全体的にさらーっと流れてしまう感じだったので、もしも猿之助さんが演出だったらこの辺を改良していたのではないかなと思いました。特に九郎兵衛切腹から星五郎の誕生、浮橋と権兵衛のやりとりからおかる見染めは少しストーリーがわかりづらく感じました

過去澤瀉屋で上演した「岩藤」や「義士顔見勢」がわかりやすく面白かったので(特に岩藤の明快さが忘れられない)、配役の妙と演出の力を見た思いでした