すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

令和二年11月 国立劇場 歌舞伎公演

・彦山権現誓助剣

〜休憩〜

・文売り

三社祭

休演になる前の11月の国立劇場2部を見てきました

この日は日曜日。

席はもう端しか空いていない。

熱気があり、仁左衛門さんが出てきたときの劇場の拍手がものすごかった!

毛谷村は放送で見たことがあり、その時はピンとこなかったんです

衣装もストーリーもけっこう地味だし…

あらすじ読んでも頭にあんまり入ってこなくて…

実際に見てわかったのは、これはストーリーを理解する演目ではなく、主人公の人柄で見る演目なんだなということ。

 

六郎は剣の腕が立ち、負かした者は仕官できる。微塵弾正の話にほだされ、あえて負けるが実は奴は悪者。その後のいろんな人との出会いでその事実を知るというお話。

 

普通、主人公が外に出ていろんな人と出会いストーリーが進むものなのに、このお話はみんなお家に来てくれる。

剣術に長けるお人好しで、子どもが泣いたらあやし、見知らぬお婆さんを家に泊め、村の人の相談事にのり、いろんな人が拠り所にしている…

というキャラクターの造形がスーパー主人公タイプ

しかしこの1790年に作られたというお芝居…

ストーリーは気にするなと言われても

結末どうなるの??

調べても出てこないよ〜

おそらく六助とお園で京極内匠と決着をつけ、めでたしになるんでしょう。

 

後半は舞踊2種

Eテレ「にっぽんの芸能」で放送していた、鷹之資さんの三社祭が生で見られるということでめっちゃくちゃ楽しみにしてました

こんなにわかの短期間でもいろんな三社祭を見た気がする

踊りもわかりやすくて遊び心があって、だけど立ったり座ったり大変なのは伝わってくる

 

鷹之資さんは年齢(99年生まれだって!)からは想像のつかない安定感と型の美しさ、若さあふれる力強さが魅力。

放送で見て、秒で好きになりました。

今回も千之助さんと息ぴったりで最高だった!

 

残念ながら2部は新型コロナの影響で日程の途中で中止。

12月も少しその影響を受けます。

1時間半の演目をマスク無しで連日続け、座組を変えて次の月を迎えたら感染が広がるんじゃないかな…

当初の発表通りの演目、日程で観劇できない可能性をひしひしと感じました

 

 

 

 

令和二年11月 吉例顔見世大歌舞伎

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今月は2回に分けて

一部 蜘蛛の糸宿直噺

四部 川連法眼館

に行ってきました

 

先に見たのは四部。

配役を見ると引率の先生(獅童さん)と副担任(まるる)と生徒2名(團子染五郎)みたいな感じで微笑ましい。

メディア取材は生徒二人が請け負っていたけど、まるるも呼んであげればファンほいほいつれたのに、と思うともったいない。獅童さんは時期的にあまり出る感じじゃなかったしね。

雰囲気も文化祭っぽくて、観客サイドも何があってもご愛嬌だな、という感じで見ていたように感じました

 

一部は千秋楽。

いわゆる頼光の土蜘蛛もので、通常(?)は美女に化けて現れる土蜘蛛が、今回は子どもや芸達者や頼光の恋人に化けて頼光の命を狙う

なんかいろいろパターンがあるみたいですね

猿之助さんの早変わり、正面でまじまじとみてもなんであんなにさっと変われるのか謎。

衣装もそうなんだけど、かつらも変えられるのはなぜ??

猿之助さん女方の色気がすごい、傾城よりシンプルな番新の衣装が似合う

蜘蛛と傾城の演じ分けもちゃんとしてて蜘蛛みたいに横歩きするの怖かったわ

最後は演者全員横並びで華やかだった

糸はあんまり立ち回りでは吐かなかったけど

ラストでは上からの糸と後見さんが最後これでもかと後ろから投げ入れていた

やっぱり土蜘蛛は糸の景気が良くないとね

終幕の迫力がすごくて、平日なのに拍手が鳴り止まず。

アンコールがあるのかと思うくらいだった。

 

 

4K・8Kスーパーハイビジョンパーク

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NHKの8K番組表を眺めては良いコンテンツばかりで悔し涙を流していた所に、抽選で8K番組が見られるイベントがあるということで(ちょっと仕事も兼ねて)行ってきました

【概要】

超絶体験!4K・8Kスーパーハイビジョンパーク

350インチスクリーンと22.2chのサラウンド音響で8K番組を体感できる「8Kスーパーハイビジョンシアター」

【場所】

WITH  HARAJUKU  HALL

(原宿IKEAの上です)

 

NHKの恒例イベントのようで、去年は日比谷、一昨年は渋谷で行われていたみたいです

今回、昨年末に放送した8Kスペシャルドラマドラマ「ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」を上映するということで抽選に応募し参加することに。(NHKの作品紹介は以下)

松田龍平さん主演「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」A Stranger in Shanghai おもな出演者紹介! | お知らせ | NHKドラマ

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NHKだから4KのP2を4セットで納品、それをプロジェクター用に変換したんでしょうか

350インチとはいえプロジェクターなので暗部の濃さが甘い、HDRは再現できていましたが上海の妖しい感じには明るすぎるかもしれない…

しかしながら映像は超高精細でした

肌の質感はすごい

特に過去の時代が舞台なので質感が出ていたほうがリアルに感じられる

100年前の上海がどんな感じなのかは知らないけど、とても上手く表現されていました

 

音響がイマイチで、サラウンドなのはいいけどバランスが悪くてナレーションが聞きづらいところが何箇所か

あと音圧が出そうなところが音量も上がっててちょっとうるさかった

1時間過ぎたあたりからリップズレが目立つようになって、最後まで直りませんでしたね

画音で別々に納品したのかな…フレームレートがずれてるんですかね、そんな感じがしました

 

クオリティの面でしか見てなかったので、ストーリーはあまり気にしていませんでしたが、面白かったです

処刑された愛人の血をビスケットに浸してそれを食べるっていうすごいことしてましたけど…

原案通りなのかしら。

円卓を囲んで…ていうシーンを見て、なぜかインファナル・アフェアを思い出しました、あちらは香港だけど。

死者を弔うために皆で酒を煽るシーンがあったんだよね。

言葉のわからない美少年との邂逅とか、感傷的な近代文学の作家にはありがちなエピソード(で、そういうのがわたしも大好物)ですけど。

異国情緒に思いを寄せるという気持ちは非常によくわかります。

 

私が上海に行ったのはもう15年前。

その時はウルムチトルファンなどの新疆ウイグル自治区まで足を伸ばしました

今は色々と言われていて胸が痛いし、この作中の上海も散々なことになっているけどどこかにまだ古き良き中国が残ってたらいいなあ

ぐるっとパスまとめ

ぐるっとパスで2か月めぐった感想をまとめたいと思います。題して…

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注※管理人が回った35施設からの独断と偏見によるものです

 

まずは…

内容がマニアック!部門

展示内容に対する愛情がばしばし伝わってきたよ、という美術館博物館ベスト3

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古代オリエント博物館(池袋)は、上の画像にある最初の研究員のみなさんの紹介の説明書きがとっても良かったです

 

刀剣博物館(両国)は博物館自体の建物の美しさもありながら、見学に来ている老若男女の熱気が印象に残っています

焼物に比べると都内での展示が少ないのが意外

 

郷さくら美術館(中目黒)は桜モチーフの日本画がメインの変わった美術館でした

桜の時期に行ったら目黒川と合わせて最高の気分になると思う

 

 

アガる!建築部門

一歩入った瞬間に空気が変わるような美術館博物館

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国立新美術館(六本木)の広い敷地に複雑な曲線、宙に浮かんだようなカフェ、きらきらと輝くガラス…

晴れでも雨でも、行けば気持ちがリセットされます
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庭園美術館(目黒)は朝香宮様のセンスが素晴らしいし、何よりお庭。

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なんでもない日もスペシャルにしてくれるような美術館。

 

大倉集古館(虎ノ門)は個人的に設計者の伊東忠太が好きなので。

坂で隔絶された、駅からは決して近くない都会のど真ん中。

あそこだけ時が止まっている感じがする。
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勉強になったな〜部門

ニッチな分野だからこそ資料館がいちばん正確な情報源だったりする

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芭蕉記念館(両国)は、芭蕉がどんなルートで日本を行脚したか、何を着ていたか、とにかく資料にがわかりやすかった

 

新宿歴史博物館(曙橋)で初めて知ったこと3つ

①新宿界隈での富士講の広がり

②落合が当時の新興住宅地であったこと

③新宿副都心は70年代の造成で京王プラザホテルの60年代の建設写真が残っていること

 

横浜みなと博物館(写真は馬車道駅)における、現在の横浜港付近の造船所の分布や歴代の客船の変遷が知ることができました

 

コスパ部門

割引額の高かった美術館博物館

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三井記念美術館は入館料1300円(今回の企画展時)

静嘉堂文庫美術館は入館料1000円

五島美術館も入館料1000円なので

この3つに行くだけでも元が取れますね

パナ汐留美術館、刀剣博物館も1000円でしたが、規模では上記同額の2館の方が良かったかなと。

 

 

 

まとめ

・上野、六本木の散策には不向き(対応していなかったり割引額が安い)

・だんだんスタンプラリーが楽しくなってくる

・日本の焼物に特化した美術館が意外と都内に多い

・浮世絵や江戸文化についての展示も多い

・1日に複数回る場合は早起き必須。期限内の休日の予定はぐるっとパスめぐりに支配され、休みなのに疲労感が増す。とにかく歩き回るため最小限の装備になる。

・他館のチラシが全部見たことある感じになる

ぐるっとパスに含まれていない施設も多く、都内の美術館の多さを改めて知る次第

(サントリー美術館根津美術館、太田美術館など)

 

コロナ禍で目標も見失いがちな中、

ひたすらに美術館博物館に通い、

自分と向き合い、

知らない知識を学べた事がすごく有意義でした。

またいつかやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

桃山 天下人の100年@東京国立博物館

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今回料金設定を上げたことにより功罪がはっきり出てると思いました

私にとってはトーハク特別展において異例の満足感だったので功の部分から述べていきます

 

値段が高いことにより、入場者へのハードルは上がりました。そのため前回のキモノ展(夏休み期間中の開催)とは比べものにならないほど人口密度が低かったです

キモノ展は…というかトーハクの特別展はいつも激混みだけど今回はほんとに独り占め!という感じで。

 

入場してすぐ洛中洛外図がバンバンバン、と3パターン来て、それだけで30分は足が止まりそうになるんですよ

そのあと、なんか見たことある焼き物だなーと思っていたら三井美術館で見た国宝の志野茶碗《卯花墻》がある。

さらに大きな作品が続いて圧倒されている間に

狩野永徳とか聞いたことのある画家の名前が並んでいて、日本史の資料で見たことのある肖像画があったりして、千利休で心を落ち着けてからの…

第5章「桃山の成熟」に入り、ものすごい勢いで桃山文化に殴りかかられる。

中盤での豊国祭礼図屏風は脳がかき回される感じがする…

狩野山楽の襖絵もすごく大きい。

激動の時代が迫ってくるような、これでもかというくらいの圧倒のエリア。

ここを、ほとんど人がいない状態で見れたという充足感がすごい。

迫力と熱気のあとの第6章「武士の装い」は静かなる鎧と刀剣のエリア。

深い闇の底で眠るような、かの時代を弔うような静けさ。

そして最終章で天下泰平の世に移り、襖絵の鷹は翼を閉じるのです。

日本各地から集められた素晴らしい作品たちを時代の元に配置して一度に見ることができるなんて

…なんてすごいことだ…!

2400円とか超安い…!

と、その場にいた少数のオタクたちは思ったことでしょう

閉館30分前の洛中洛外図の周りに集まる人たちには妙な連帯感を感じた…

 

罪の部分はやはり金額が上がったことによるハードルの高さ。

好きな人はいい環境で見れるかもしれない。

だけど、値段によってこれから好きになるかもしれない人のきっかけを奪っているかもしれない。

国立の施設なわけだから…

でも安かったらこの空き具合はないわけだし…

といろんなことを考えさせられました。f:id:em378794:20201028195234j:image

ワッペンで洛中洛外図トートバッグつくるんだ…!


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1階には高精細レプリカがあるんだけど、やっぱり違うんですよね

画質だけじゃない、経てきた時間の長さも関係してるんだろうな

 

令和二年十月国立劇場歌舞伎公演

初めての国立劇場に行ってきました

外観がそっけないし駅からちょっと遠いしとっつきにくいなーと思っていたんですが、中の重厚なホールや食堂、売店もあって結果めちゃくちゃ気に入りました。通う。

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今回は1部。

 

ひらかな盛衰記 源太勘当

〜昼休憩30分〜

幸希芝居遊(さちねがうしばいごっこ)

 

2時間半で3階席2000円ってめちゃくちゃ安い。

あらすじは、

佐々木高綱との戦いに敗れた長男源太が実家に戻ってくる

次男平次は源太の恋人千鳥を我が物にしようとするけど千鳥はつれない

母延寿は夫からの書状で源太の負けを知らされる

平次は源太の敗戦を責め襲いかかるが、源太には歯が立たない

源太は敗戦の弁を述べて切腹しようとするが、母は源太を勘当。千鳥もクビにし、ひっそりと鎧を持たせ二人は落ち延びていく。

 

梅玉さんってパステルカラーのお衣装が似合うよねえ。優雅で柔らかい雰囲気の源太。

 

休憩時間はいろんな過ごし方ができて、無料の休憩所あり食堂あり。

お弁当を買ったり作ったりして休憩所で食べることができるとはありがたい。

 

午後は今回オリジナルの演目。

流行病(だっけ?)の蔓延で芝居小屋が閉鎖された世界。

幸四郎さん演じる座頭が人気のない芝居小屋に忍び込むとそこには仲間の姿が。

芝居小屋に置かれたままの衣装や小道具を使っていろんなお役を振り返るー

というコロナ禍を意識した内容。

有名な演目をダイジェストで踊るのでオタクには楽しいのでは…

わたしはまだ歌舞伎を知って日が浅く、紅葉狩りの山神とお嬢吉三の大川端の台詞くらいしかわかる演目がなかったかも。首実検もやっていたっけ?

まるるが扇子で踊っていて、いつもは最年少だけど今回は松本幸一郎くんというさらに若い役者さんが出ていてお兄さんなまるるだった。

この幸一郎くんがとっても声が通ってよかった。

最後の方がちょっと切なくて、楽しく楽屋でお芝居を振り返るんだけど、帰り道(花道)は真っ暗なんですよ。芝居がしたいなあって言って帰っていくのが情緒的で好きだった(その後幸四郎さんが華やかに踊るんだけど)。

令和二年十月大歌舞伎

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今回は

1部「京人形」

2部「角力場」

 

1部はめちゃくちゃ短いです

新悟さんの出演時間3分ぐらいじゃないか…?←

 

前半の左甚五郎が太夫に見立てた人形を彫って愛でているうちに魂が宿って…というあらすじはけっこうな変化球で、狂言を元にした松羽目物ではないけどすごくコメディっぽい

本外題は「時翫雛浅草八景(しきのひなあさくさはっけい)」(1847)で通称「銘作左小刀 京人形」ということらしい

急に後半姫と奴が出てくるけど、なんかこの急な展開…慣れたな…

日光の眠り猫の解説では、作者はあの左甚五郎で〜、みたいな書かれ方をしていて

あー知ってる知ってる、左甚五郎ね、みたいな感じでいるけど何故有名なのかは知らなかった。

現代においてまでも「あの、左甚五郎」みたいな言い方をされているのは歌舞伎のモチーフになるような、当時バズってる彫師だったからなんでしょう。

 

元々お化粧で似せているからだけど、七之助さんはまじでお人形みたい。

とはいえ棚から出てくる時は自分で歩かなきゃいけないわけで、綺麗な分けっこう怖かったな😂