種之助さんは私がはじめて見たナウシカ歌舞伎で、初見で「あ、好き」となってその場で名前を覚えて帰った役者さんです。(ナウシカ歌舞伎のディレイビューイングでは配役とあらすじと人物相関図をつけてくれていました)
種之助さんの強みを説明するなら
①立役、女方、三枚目なんでもいける
…同年代に巳之助さんという三枚目の強敵がいますが、巳っくんがどっしり重めの汚れ役を求めている?のに対し、種ちゃんはもう少し軽妙な役どころが合う気がします
②踊りで真ん中に立てる
吉原背景の雰囲気が似合う、小柄で身の軽い江戸っ子っぽい空気感。
あまり報道のインタビュー以外でお話を聞くことがないため、紀尾井町家話に出演した際の話を忘れないようにメモしておこうと思います
吉右衛門さんという大きな柱を失った播磨屋一門ですが、種之助さんがはっきりと「脇の役に面白さを感じる(ニュアンス)」と言っているのを聞いたのは初めてな気がします。これまではいろいろ(真ん中とか派手なお役…)と期待される意見を受け止めてきた印象でした。
しかし、紀尾井町家話で話を聞いているとわかるフシもあって、ここ数年、松竹は種之助さんをどうしたいのだ!?というくらい謎に女方の配役が多い時期がありました。これが…数を追うごとに女方の化粧が急激に上手くなって、本人も手応えを感じているのでは、と思っていました。
特に国立劇場2023年3月の一條大蔵譚と明治座翌月の絵本合法衝はどちらも格好良い&可愛い女方でファンとしては見ていて大満足でした。
立役での種之助さんは歌舞伎座で8月、團十郎さん座長のめ組の喧嘩に出るんですが、このおもちゃの文次って役もまた良くてねえ…
め組の喧嘩自体、いい役が沢山あるんですよね。
歌舞伎の中には出演時間は短いけど場の空気を変える役がたくさん出てきます
例えば今回の浅草で勤めた白須賀六郎(十種香)もそうですし、雅楽之助(吃又)や弁天娘女男白浪の番頭もカッコいい。ちなみにこんな立ち位置の三枚目の役も沢山ありますよね。かっこいい役より入れごとをしたり義太夫に乗せて踊ったりするので見ていてハードルが高く感じます
役の方向性に関わらず、スポットで魅せるためには踊りも芝居も全てを凝縮させる必要があります
しかしそれが究極の仕事人って感じがして、そこに種之助さんが面白さを感じているのでしょう。今後も楽しみです。
ちなみにわたしが脇役で種之助さんに演じてほしいのは
・弁天小僧の番頭
・伊勢音頭の料理人喜助 ですね!
女方なら
・三人吉三のおとせ
・義賢最期の小万 かな!
どちらもペアで歌昇さんと組んだら良いかも