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ヒーローが主役にならない物語 国立劇場「日本振袖始」

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最早さよなら公演が長すぎて、いつ閉館するのか、工事業者の選定は終わったのか等、何もわからなくなってしまった国立劇場ですが、歌舞伎鑑賞教室に行ってきました

画像は文楽で使用する小道具で、今回の「日本振袖始」にも登場する八岐大蛇です。昨年末に見た石見神楽の八岐大蛇と雰囲気が似ています

 

というわけで、とてもシンプルなキャストです

岩長姫/八岐大蛇  中村扇雀

素戔嗚命  中村虎之介

稲田姫  中村鶴松

鶴松くんが歌舞伎で中村屋以外の公演に出るのは珍しい。ドラマや舞台は最近単独仕事がありますよね

始まりは「見方」から。虎之介さんと中村祥馬さんがクイズコーナーなどで盛り上げていました

祥馬さんは浦里の禿や、昨年の新選組に鶴松くんの代役で出ていました。立派に務められていたので今後が楽しみです

本編の「日本振袖始」。ちなみにオタクになりたての頃に日本振袖始を見ました。玉様休演の代役菊之助さんでした。

稲田姫、10分くらい舞台上で倒れっぱなしで大変だろうなと。鶴松くんと虎ちゃんはコンビを組むことが多いのですが若くてかわいいカップル設定がハチャメチャにあっているので真ん中で見てみたいですね。それこそ四の切とか良さそう

虎ちゃんの素戔嗚命の立ち回りはキレがあって良かったです。私は世話者の女方やってほしいんだけど(人間万事ですごく良かったので)、本人は立役がやりたいんだろうな。役の本質を落とし込むのがうまく、勘の良い役者さんだなと思ってます。あとおでこの形が良い。それこそ扇雀さんは世話者の女房役がニンだと思っているので今回の八岐大蛇みたいな役を演じているのは初めて見ました。そして歌舞伎ならではの点として、役替りする大蛇が主役で退治する素戔嗚命は主役ではないというのがありますね。日本書紀の作者が聞いたら解釈違いだって怒りそうですね。そんなわけはないですか。

この演目は立ち回りの皆さんが大活躍の演目なので大蛇が分裂したり塊になったり迫力がありとても良かったです