遅まきながら9月3部の感想を。
3部 東海道四谷怪談
岩…玉三郎
宅悦…松之助
喜兵衛…片岡亀蔵
梅…千之助
小仏小平…橋之助
直助権兵衛…松緑
伊右衛門邸の場
伊藤喜兵衛宅の場
元の浪宅の場
本所砂村隠亡堀の場
前日に岩波文庫を準備して、コクーン版を見ながら追ってみました
前回、四の切で台本を持ち込んで観劇したらすごくわかりやすかったし、ただ流して終わるより充実感があったのでできる限りはしようかなと
コクーン版は大向うがかかるので、そういうポイントや芝居の始まりを付箋にしておいたり
ま、劇場は終始暗くてほぼ見えなかったけど。
本来(江戸時代)は忠臣蔵の外伝として、6段目のあとに続いていたらしい…と知ってびっくり
そりゃあ朝から夜中まで公演をやるわけよね
さて、「東海道 四谷怪談」自体がとても複雑な物語でさらに背後に「仮名手本忠臣蔵」の設定が潜んでいるため私自身もうまく説明できません
というわけで歌舞伎演目案内の登場人物にわかりやすい人物の図解が載っていたのでお借りします
東海道四谷怪談 | 歌舞伎演目案内 – Kabuki Play Guide –
どうやら四谷怪談には北番と南番なるバージョン違いがあるようです
北番のあらすじを読んで「直助権兵衛とお袖兄妹だったの?じゃあお岩様とも?」と思っていたら
お岩とお袖は義理の姉妹だったみたい。
通すと子と親の因果や十二支(今回は鼠)の見立てがあったりして、歌舞伎の趣があります
しかしながら今回の玉三郎ver.では隠亡堀のだんまりで終わるんですね
恨みを晴らす提灯抜けや宙釣りといった場面はなく、お岩様が辛く苦しいまま死んでいった情念を観客はその身に受けずーーん、とした気持ちのまま終幕します
桜姫東文章もほぼ暗い照明の下の巻でしたが今回はそれ以上かも。何せ明るいシーンがありません
伊藤家くらい?
薄ぼんやりとした寝間の柱に、死に際の乱れた髪のお岩が不自然なくらいの寄りかかり方をしていて、さながら三次元の幽霊画でした
本当に怖かったです
それまでに長々と蚊帳と引き摺られて爪が剥がれたり毒を飲んで苦しんだり抜けた上から血が滴るシーンを見せられているので…
実在のお岩様はこんな目には遭っていないという説もあるそうですね。
過去にこんな女性がいたんだとしたら本当にいたたまれない。成仏して温かいお布団で好きなものたくさん並べて眠ってほしいなと思います
小仏小平とお岩と与茂七は同じ役者のことが多いですが、今回小仏小平ははっしーこと橋之助さんが演じていました
序盤でボコボコにされ結局殺られて戸板で出てきて…っていう謎なお役ですよね、人物紹介を読んでなぜ「薬をくだせえ」を連呼するのかわかりました
最後ちょろっと出てくる直助権兵衛は松緑さん。
めちゃくちゃ合ってたから序幕でも見たいです!