すきなもの雑記

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爽やかな夏の夢…狂言三代「鮎」

会社帰りに国立劇場で行われた、「古典芸能を未来へ」というイベントに行ってきました。野村万作・萬斎・裕基三世代の出演です。

中でも新作狂言の「鮎」という作品がとても印象に残ったので忘備録としてメモしておきます。私は能・狂言は何度か見た事があるだけで全くの素人です。

「鮎」

まず夏の川辺の情景です。国立劇場の大劇場なので舞台上に橋懸が作られ、照明もすこしたかれていたと思います。ゆらゆらと水辺の反射を感じ、実に爽やかでした。その後中央から鮎が何匹も登場します。もちろん人間が演じていますが着物が青光りしているように見え、鮎っぽく見えました。感心したのは、鮎は人間に釣られ塩焼きにされることを「輪廻」ととらえていたことでした。悲しむでも恨むでもなく、食べられて再び川に戻ると言っていたと思います。焼かれる鮎の描写が面白いです。川で鮎を恵まれ、都での成功を夢見、実際に出世した小吉ですが夢や野望に踊らされたのは自分だったのか疑問を投げかけるラストとなります

調べてみると台本は池澤夏樹氏で原作の短編があるんですね。50分ほどの上演時間でしたが見入ってしまい体感5分でした。また上演される機会があれば見たいです

ほか、萬斎さんによるボレロの上演もありました。今回は音源でしたがこれから東大寺でオケ付の奉納がある模様。生音だともっと素敵だと思います。BS松竹東急で歌舞伎の解説をしている葛西聖司さんのステージトークもありました。「鮎」の振りトークが面白かったです