すきなもの雑記

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充実の舞台「研の會」@浅草公会堂

尾上右近自主公演  研の會に行ってきました

普段だったらそこまで頑張って自主公演のチケットを取ろうとは思わないんですが、今回の演目とキャストときたら、夏祭浪花鑑で一寸徳兵衛・儀平次を巳っくん、お梶を米吉くん、磯之丞琴浦を種ちゃんまるる、そして道成寺の所化に米吉くんと種ちゃん…と。まあ配役が豪華。特に巳っくんの義平次に興味があり(本興行ならまず回ってこなさそう)絶対に行かねばなるまい!と思っていました

さて、昼の回なので浅草のモーニングを調査。花やしきの横にあるFEBRUARY KITCHENで食べてから参ります

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たっぷりはちみつしみしみのフレンチトーストにしょっぱいベーコンが乗ってるのたまらないですね

酷暑の朝だったので空いていました。

それから会場の浅草公会堂近くにあるミレメーレというアップルパイのテイクアウトショップで休憩時間用のおやつを買いました。食べる時間がなく持って帰りましたが美味しかった。次に行くときも買う気がします。こうやって、通う街に知ってるお店が増えていくのが楽しいです

さて腹ごしらえはさておき。夏祭の感想から。

右近くんの団七九郎兵衛、浮世絵から抜け出てきたようでした。30歳頃って体も動くし勉強してきてやりたいことも増えるし正に充実期ですよね。こういう役がやりたいんだっていうのが伝わってきました。あと台詞回しに無理がないというか。右近くんは比較的高い音域で台詞を言うんだけど、滑ったりひっくり返ったりせず、自分の間で、緩急をつけて分かりやすく聞かせてくれます。

しかし…申し訳なくも一番私が湧いたのは巳っくんの義平次でした。徳兵衛でカマしてくれるのはわかってたし、実際声デカでめっちゃくちゃかっこよく髭を抜いていたわけですが、義平次はどう頑張っても巳っくんに見えない。すれっからしで小汚いじじいなんです。目だけがギョロギョロと動いて声も巳っくんの特徴ある声と思えない。裾から覗く足が汚れつつもシワシワではないことでようやく巳っくんだと信じることができました。

昨年の夏祭の感想では「義平次殺しが長い」と言ってます。しかし今回は全く長く感じなかった。巳っくんの動きの緩急に目を奪われていました。芸達者なのは知っていたけど、ここまでとは思わなかった。義平次の嫌がらせから打擲による団七の額の怪我、団七が心の変化を見せて残忍な殺しの場になるというスピードの変化がわかりやすかったです。

ところで今回不思議な役替りをしていて、本来なら徳兵衛と徳兵衛妻お辰で役替りをしますが、団七とお辰、徳兵衛と義平次での早替りです。右近くんの紀尾井町家話出演時の説明によると、以前この変え方でやっているのを見て、展開も変じゃないし行けると思った。巳っくんにはシンプルに急いでもらったとのこと。あと、これまで気づかなかったんですか、この2人は歌舞伎座でよく共演してるんですね。抜擢となった弁天小僧も相方の南郷は巳っくんでした。

右近くんが壱太郎さんと仲が良いのは知ってましたが、別のベクトルで巳っくんと切磋琢磨しており、やはりそういう関係って想像以上の成長を促すんだなあと思いました

共演者の思いはいかばかりか、刺激されたと言っていた種ちゃんの次回の自主公演を楽しみに待ちたいと思います