すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

充実の座組で道頓堀も大混雑の巻 立春歌舞伎@大阪松竹座

日帰りで大阪松竹座に行ってきました

なぜなら…

①安くて良い席が残っていた(発売日にもぎ取ったわけではない)

②見たい演目がかかる

③役者が豪華

今回は別名中村壱太郎奮闘公演でしょうね。連獅子以外でほぼトップコンビ役どちらかを努めていました。米吉くん新悟さんと合わせて、どんな役が来ても期待して見れる、自信を感じるし体力もある、そんな旬の役者さんだと思います

f:id:em378794:20240217212153j:image

私は義賢最期が好き。

小万姐さんが歌舞伎の役の中で上位に好きな役。だけどこのあとどうなるのか見たことがなかった。そのため今回、源平布引滝が通しでかかるので行きたいと思っていました。そんな中チケットWEB松竹を見たら3階通路横が空いている…!結果、往復交通費の1/3の値段で観劇しました。目的に対して比率がおかしいけど笑

f:id:em378794:20240217222705j:image

でも、よく見えるんですよ

 

 

今回改めて義賢最期を見て思いましたが、アクロバティックな展開もさることながら義太夫が良いんだと思う。吃又みたいな息を呑む語りがぐいぐい引き込んでくれます

ちなみに義賢は源義朝の異母兄弟、木曽義仲のお父さんにあたるそうです…ということは葵御前のお腹の子は義仲なのか??(違うっぽい)

というわけで、小万(壱太郎)に源氏の白旗をあずけて死んだ義賢(愛之助)。次の場では海に飛び込んだ小万を斎藤実盛(愛之助)が救い、源氏の白旗に気づいて強情な小万の腕を切り落とします(竹生島遊覧)

実盛物語では九郎助と太郎吉と匿われている葵御前のもとに瀬尾(鴈治郎)がやってきて実盛と御子の詮議をしますが、元を正すと小万は瀬尾の子。実の孫であると気づいて太郎吉に刀を引かせるというラスト10分のどんでん返しのすさまじい最後。

葵御前の千壽さんはルパン歌舞伎のマモー軒役でしたよね。あの時も煽る役でうまいなあと思ってましたが今回愛之助さんの言葉通り、お弟子さんの活躍が光ってました

亀鶴さんもたくさん出ていたし、脇のいい味で長い芝居が締まっていたと思う。

 

さて、目当てだった源平布引滝が霞むほどものすごい爆弾を落としていったのが夜の部最後の曽根崎心中でした…

お初徳兵衛って有名ですよね。今回初めて見たんですが、冒頭の壱くんお初がけんけん氏徳兵衛に駆け寄るところからもう恋する二人。男女カップルの芝居だったらリアルでも付き合ってるよね!?って勘ぐるほどの密着度。壱くんが右近くんしか見てない。客を見てない。めちゃくちゃいちゃいちゃしておる。

私が見た日は、壱くんが「二人で死ぬしかない」みたいなことを言った時のあまりの可愛さに右近くんが途中で泣いてました。でも、私もあんなに可愛く面と向かって言われたらほだされて泣くと思った。お初は遊女なので苦界で生きる身の上を冷静に見ていて、役者さんは一般人よりそういうこと勉強しているだろうし、どちらも女方をやる役者さんだし、そういう思いをまっすぐ乗せられる二人だからこその芝居だなと思いました。心中モノだし途中で飽きるかなと思っていたけど最後まで集中して見れました。ここでも亀鶴さんが九平次として好演。その隣に遊女として座る吉太朗くんも美しすぎて、縁の下からお初の生脚に頬ずりする右近くんという構図もやばすぎて、帰り道は文字通り放心しながらの新幹線でした

 

ちょいのせはお染久松モノで松竹梅湯島掛額のような後半人形振りの演目、今回扇雀虎之介親子は連獅子のみの参戦。ラストの毛振りが親子で少しズレもなくてすごかったです

 

大阪松竹座は道頓堀近くなんですが、通りの人がすごかった…今回も道頓堀今井に寄る野望は叶えられずでした