すきなもの雑記

話したいことを話したいだけ

高速御免!吉例大歌舞伎3部 花競忠臣顔見勢

今月は3部です

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演目が発表されたとき、詳細不明で出演者だけが50音順で並んでいた花競忠臣顔見勢

いーっぱい言いたいことはあるんですが、まずはあらすじから

 

若狭之助(幸四郎)は高師直(猿之助)を斬った夢で目が覚めるが、実際に斬ったのは塩冶判官。

若狭之助の元へ小浪(米吉)が暇乞いに訪れるが、本来ならば父の家老加古川本蔵が来るのが道理。加古川本蔵が小浪の許嫁、大星力弥に斬られる覚悟と知る若狭之助。

一方、赤垣源蔵(福之助)は雪の夜に義理の姉(笑也)に徳利を預ける(徳利の別れ)。討ち入りが決まり、二度と会うことはないだろうという覚悟の上だった

大星由良之助(歌昇)は葉泉院(尾上右近)に暇乞いに訪れるが、間者の存在に気付き本心を打ち明けられない。そうとは知らず煮えきらない態度に激怒する葉泉院は、塩冶判官の位牌で由良之助を打擲する。由良之助が戸田の局(猿之助)に四十七士の連判状を預け外を出ると高師直の部下、清水大学(幸四郎)と鉢合わせ。連判状を見た葉泉院の怒りは解け、由良之助は討ち入りのため屋敷を去る(南部坂雪の別れ)。

高師直邸の隣には槌谷主税(隼人)の屋敷。侍女お園(新悟)が琴を奏で、俳句の師匠の其角(猿弥)を待っている。やって来た其角は龍田新左衛門(廣太郎)が他の藩主に召し抱えられると勘違いし、妹のお園を暇乞させろと主税に進言する。なにか思案する主税だがそのまま寝入る

隣家で討ち入りが始まり笛の音が響き渡る

やって来た大鷲文吾(右近)が主税に龍田新左衛門の働きを伝え、お園は歓喜する

引き上げる四十七士の元へ若狭之助が小浪を連れてやってくる

小浪と力弥(鷹之資)は夫婦の契りを交わし、つかの間の逢瀬で別れを惜しむのだった…

 

 

突然上からですみません。

なんか、こんなに若手って上手かったっけ?

冒頭の足利直義(新悟さん)の「天上人」っぽさからしてびっくり。元から持ってる雰囲気も天皇家っぽいけど。台詞回しが良かった。

槌谷主税の時のはーさんも台詞の緩急がすごく自然。

相手役の新悟さんに対して、気心がしれてるからか、お園が席を外す前に主税に上着をかけてあげるところの「俺の女、メチャ気が利くんで」みたいな横向きのドヤりが良すぎて。

あの笑顔だけでお園と主税の関係がわかるので、そういう細やかなところに今後も注目していきたいと思いました

歌昇さんは若手筆頭でこういう(由良之助のような)お役が合うことは現場のオタクたちにも周知の事実なので、花道の入りもハケもとても温かい拍手だった。立役だけどはーさんとは全然違う色を持ってるし、それこそ弟の種ちゃんとも全然違う。渋い真ん中が似合う空気を持っている。

けんけん氏は立役も女方も声が聞きやすい。

勢いもあって、いい意味で要領がいい、本質を掴むのがうまい役者なんだなと感じる。

大鷲文吾が主税の屋敷に来てからのスピーディな展開は役者のテンションだけで上げていかないといけないので、幸四郎さん猿之助さんのいない場でのギアチェンジはとても見ごたえがありました

福之助さん、鷹之資さんはよだいめと組むことが多く目をかけられているのがわかります

徳利の別れで後ろを向き、掌で涙を止めようとする赤垣源蔵は切なくて、大星力弥は立ち回りにスピード感があってかっこよかったです

幸四郎猿之助両氏のいないところでは猿弥さん笑也さんの澤瀉屋ベテラン勢がぴしっと締めていてくれて、役者のバランスもよかったです

 

取材会では「ニューノーマルの高速バージョン」と言っていましたが、大元を知らないので高速なのかどうかもよくわからない。

とにかくこんなことでも言わないと、この座組は幸四郎さん猿之助さんで由良之助と葉泉院をやることになるでしょう(年功序列で)

それじゃあ面白くないってことで、クセ強役を猿之助さんが、それならってことでメチャクチャに立ち回りができる清水大学を幸四郎さんが務めることにしたんでしょうか…?

だから並びもあえて50音順にしておいたのかなあと。

もちろん若手にチャンスは回したかったと思うけど、お兄さんたちはお兄さんたちでこの配役に美味しさを感じているはずなので

若手も若手で尊敬や感謝はありつつも「しゃーねえ兄さんたちだな」みたいな感じだったら面白いなって思います

とは言え、大序で口上人形が2体出てきてその声が幸四郎さんと猿之助さんだったところで、何だかうるっと来ましたけどね

本当にムチャクチャで歌舞伎バカな兄さん✕2がノリに乗っていて、見ていて飽きないです

 

 

 

赤坂の皆さまへの感謝の気持ち@赤坂大歌舞伎

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赤坂大歌舞伎初日行ってきました

大きなトラブルもなく、良かったです

千秋楽まで何事もありませんよう…。

 

1部 山名屋浦里

休憩

2部 越後獅子〜宵赤坂俄廓景色

 

ネタバレするほどでもない感想ですが…

亀蔵さんの敵役(一応)秋山氏がね、意外とイイ男なんですよ

酔って誰袖(鶴松くん)に何かするでもなく、いじめ方もスマートで、非常に品があり可愛げのある敵役です

何だか酒井氏(勘九郎さん)の方が「それ、道理が通ってなくない?」と思ってしまったり😅

リアルなストーリーというよりはおとぎ話や説話に近いので、いじめのキツさはこれくらいで良いなと思いました

七之助さんの村娘の喋りがうますぎて、あの身の上話だけで泣けてきますね〜

今回はチケット販売が変則的で松竹歌舞伎会チケットはS席のみ。プレイガイドはA,B席の取り扱いがあったようですが、そこまで気が回らずさすがにとても見やすい席で、正面から浦里花魁(七之助さん)の襖登場を見てしまいました。ありがたや。

映像で見たときは歌舞伎座で花道に船が出ていて、禿と花火見物に出ていた浦里でしたが、さすがに赤坂で船は動かせないので上手に丸窓を作って側の池にかんざしを落とす流れに変わっていました

このお話は江戸にやって来た地方出身者の悲哀や苦労が裏テーマですね

魁道中の前に扇雀虎之介親子でしみじみ話をするのが味わい深いです

 

いつものことながら美術さんのセットがとても美しくて。

そういえば吉原と言いつつも、よく見る通りの桜のセットではなくお座敷と山名屋の正面のみ。

魁道中の夜の山名屋は雰囲気があって綺麗でした。セットだけでなく少し水色がかった照明が良かったです。

 

背景といえば2部  越後獅子日本橋も綺麗でした

並ぶ蔵と富士。

唄とお囃子はそのまま残して背景だけ赤坂にチェンジ、こちらはいつも見る吉原のような通りで、四方(って交差点にあるあの酒屋さんのゆかり??)や砂場、見番など赤坂ゆかりのお店の名前が書いてありました

 

鶴松くんは芸者で登場、鳶の虎之介さんと組でちょっと踊ります

顔を合わせるところが楽しそうで良かったです

お祭り系に出ているの、よく考えたら初めて見たかも…(配信では獅子舞でしたし)

ほんとめっちゃ綺麗になった

若さもあり元々綺麗だったけど、舞踊由来のちょっとした所作に余裕やいい女感が見えてとても良かったです

勘太郎さん長三郎さんも印象に残る出番があって、観客は湧いてました。みんなで育ててる感がすごかった笑

 

中村屋のモットーは「色んな人に歌舞伎を見てもらいたい」だと思うんですね

今回は赤坂大歌舞伎なので赤坂で暮らす人や働く人に向けての興行だと。

赤坂通りはのぼりがかかっており、街全体で盛り上げるような、温かい空気を感じました

 

今回でACTシアターは一旦クローズとなりますが、いつかコロナで公演中止になった牡丹燈籠をやってほしいな…

 

宝塚月組 川霧の橋/DreamChaser @博多座

桜嵐記以降、着々と月担として育っている我。

 

友の会とぴあで2回観劇チャンスを得たものの(Dream Chaserあと2回しか見れなくて後悔しないか…?)という自らの問に応えるがごとく観劇回数を増やして臨みました。

その後ピーチの減便で振替を余儀なくされ、それで色々とヘマをし当初の予算を大幅に越えた博多遠征となりましたが…楽しかったので良かったことにしましょう(でもピーチの減便は気が済むまで言い続けるから)

 

というわけで、博多座にて新トッププレお披露目公演「川霧の橋/Dream Chaser新たな夢へ」を見てきました

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あらすじ

杉田屋の棟梁に選ばれた幸次郎(月城かなと)と選ばれなかった半次(鳳月杏)、清吉(暁千星)。清吉は腹いせに幸次郎が思いを寄せるお光(海乃美月)に告白。その約束を守るために幸次郎はお光に振られてしまうが最中に江戸の火事で大川(隅田川)に火の手が迫る。逃げ遅れた幸次郎とお光は離れ離れに。

一方半次は夜鷹に身を落としたお組お嬢さん(天紫珠李)の行方を追い、清吉はお光を嫁にもらうも闇の世界に迷い込んでいく。

幸次郎は結婚し幸せに暮らしていたが幸せな日々は長くは続かなかった。

彼らの行く末とは…

 

前回のダルレークでも思ったんですが、再演ものの芝居は、何でもかんでも説明しない。

半次と清吉の決着がどうなるかをあえて描かない。およしちゃんは亡くなっている。だけどそれを芝居で想像させるんですよね。これがすごくいいと思いました。

災害パニックモノでもあるので見ていて辛いんですが、江戸の町に地震や大火は本当に多かったんだろうと。

あと同じ頃(?)三人吉三のおとせちゃんもお嬢に大川に落とされてるんですが翌日助かってるんですよね、大川意外に水深浅かったり…?

いやいやそんなわけないだろう、今の隅田川を見てるととても入る気にはなれないです

 

れいこさんは仕事はできるが恋には不器用な幸次郎。ニンですよね。

礼さんの徳三郎(ANOTHER WORLD)も江戸っ子でものすごい滑舌の良さでしたが、れいこさんもちゃきちゃきしていて良かったです

ビジュアルがかっこよすぎる

具合の悪いおよしちゃんを介抱する大人の幸さんはいい夫でした

あと、おみっちゃんに対する視線が真っ直ぐすぎて………めちゃくちゃ想像させてきます(察して)

れいこさん、ほんとそういうところなのよ

楠木正儀もシャルルもれいこさんが演じるからオタクを狂わせるんでしょうね〜〜〜

かんざしふいっと渡すところ、ワンスの望海さんのヌードルスの子供時代を思い出しました

 

対する清吉役のありちゃん、歌舞伎で言うところの色悪(どうしようもない悪い奴。だけどそこに色気がある)ですね。

ありちゃんの出色の場面は上方で女とやり取りしてるところ。

勝手でわがままな男。だけど女が放っておかないいい男だっていうのが歩き方からにじみ出ていて良かったです

ちなつさんの半次は前作の楠木正時と少し重なるところを感じました。控えめで、周りを支えるけど意志の強い男。1度上手側で見ていた回があって、半次の最後のハケでおみ足はもちろん、着物の内側の白いのまで見えてて、目が飛び出ました。何だろう、ふんどし?

辰吉の小頭(英かおと)、もう大好きですよね。れいこさんの次に台詞が聞き取りやすいと思いました。うーちゃんの持ち前のつっこみ気味の姿勢が芝居に表れていたからでしょうか。何にせよ大好きです。

夜鷹のお甲さん(麗泉里)が江戸の皮膚の薄い女の感じが出てて良かった。逆におよしちゃん(結愛かれん)の幸せでふくふくとした感じも良かったです

うみちゃんは前半の子供っぽさと火事以降の大人にならざるを得なかった変化に胸が痛くなりました

さくらちゃんの華やかさの影で大人の女性の役回りが多かったうみちゃんですが、少女の声が自然で、私の知らない一面でした

「こんちわー!」可愛かった

 

 

芝居やセットはすごく良かったので音楽が唐突にラテンっぽくなったり明るくなるのにびっくりしました

和楽器のアレンジがあっても良かった

特に大劇場が新作の柳生忍法帖なので、なおさら比べてしまったかも

でも、ラストの川霧の橋はめっちゃくちゃ良くて。れいこさんの声が今でも脳裏に蘇る…

 

 

ショーDream Chaserは結構全場面で繰り上がりやメンバーチェンジがあり、楽しめました!

オープニング、大劇場でのちなつさんパートがありちゃんに変更になり、あの高音部分を歌ってくれます

そのあとれいこさんのソロが入りますが、安定感がすごい

スパニッシュはメインの娘役がさくらちゃんからあましに変わり、ちなつさんとありちゃんというスタイル抜群の二人がスパニッシュの衣装で戦います

ありちゃんて割と娘役にガシッといきますよね〜そういう不器用っぽいとこ好きだわー

で、次のミロンガはありちゃんの冒頭ソロのみ。

ちなつさんとうーちゃんはそのまま、れいこさんとれんつとるみこさんが補強されました

元々はありちゃんのミロンガを見たくて買い足した博多座だったはずだけど、れいこさんがセンターに来たので視線持ってかれる〜

スーツの色もずるいし、大人の雰囲気で見せる場面が合わないわけないだろ!!(だけど本人はナウオンでソフト帽に息吹きかけて爆笑してましたからね、変なお人だわほんと)

珠城さんと組んでいたときからうみちゃんの足さばきがめちゃくちゃかっこよくて、ミロンガの雰囲気がれこうみにとって一番しっくりくる空気感だなと思いました

大人の駆け引き的な。

ソフト帽で顔を隠しておふたりで何してたんです?一度見たときめちゃくちゃ顔近いときあったけど??

あとうーちゃんのバッグハグがガチ男性でかっこよかった〜

にこにこしたずるい男なんよ〜

そしてうーちゃんも娘役にガシッといってた好き。

まあとにかく、早くれこちなで治安悪めなスーツの芝居かショーを作ろう。ワンスみたいなのやろう。

ちなみにちなつさんは娘役への扱いがそっとしていてそれはそれで良。どっちも色は似てるのに性格が全然違うの推せすぎるしもはやリアル楠木兄弟。

ここまでスパニッシュ、ミロンガソロと続いたありちゃん、次のI'll be backでセンター新加入します。忙しい。

オーラも衣装もキラキラしすぎていて圧倒。

月組の風間班が見に来ていた回はほんとにばっちばちウインク飛ばしていた

歌うありちゃんと踊るありちゃんとファンサするありちゃんを1度に受け止めるのは無理でしたね。記憶がないです。

大劇場ではれいこさん風間氏ぱるくんのアイドルからは程遠いメンバーだったの、めちゃ面白いなってあらためて思いますね

中詰の和楽器リミックスもかっこよくてめちゃくちゃ好き!入れ替わりながら人数が増えていって歌が始まるので、手拍子のしがいがあります

冒頭3人のソロが珠城さんちなつさんありちゃん→れいこさんちなつさんうみちゃんに変わっていました

この後のヒムオブライフのラストが人数半分なのにすごく迫力があって胸に迫るものがありました

みんな声デカだし博多座の反響も素晴らしい〜

うみちゃんが新しくコーラス入れてて映えてた!

 

大劇場では風間氏の担当だったフィナーレソロ、今回はるねぴ(夢奈瑠音)が担当。歌うまなの知らなかったよ!完璧でした。

娘役に引き継ぎ、ロケットから燕尾を経てデュエットダンスに続きます

ちなつさんとうみちゃんのカップルは正統派で直球なのに対し、れいこさんとうみちゃんは変化球っぽいのがいいです

出島のデュエダンも今回のリフトもちなつさんの娘役の扱いは本当に丁寧だなと感じました

れいこさんは男役像にちょっと幅を持たせて、うみちゃんの変化球の可愛らしさ(拗ねるとか)を引き出していると思います。私が見た回は頬をふくらませて確実に「もー!イジワル!!」って言ってましたね…

何か、三角関係の芝居とか見たいな。

実際れこうみちなつそういうとこありますもんね…?

美弥るりさんとの三角関係(アンナ・カレーニナ)も良かったし、はいからさんの青江役のちなつさんも大好きなので。

デュエダンの後れいこさんが男役を送り出し一人舞台に残ります

ここで大階段を振り返るんですが、おそらく珠城さんのための余白なんだと思うと泣ける

 

オープニングとフィナーレの白とゴールドのお衣装の色合いが良くて好きでした

テーマの旋律も好きだったし、ひとつひとつの場に夢中になった

いつまでも言おう、私が宝塚のファンになって一番最初に好きになったショーはDream Chaserです!

宝塚星組 柳生忍法帖/モアー・ダンディズムと神戸珍道中その2

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2次抽選で後方A席ブロックになり、S席の空き具合にS席にしておけばよかったかな…と少し後悔したんです

しかし当日、1列前のS席がまるっと空いていたので視界が良好…!

前回ロミジュリの際はセンターがほぼ見えなかったのであまり期待しないようにしていたのですが、嬉しい予想外でした

 

柳生忍法帖 あらすじ

会津藩 加藤明成の暴虐ぶりに反旗を翻した堀主水だったが堀一族の女たちは明成の家臣、芦名銅伯の手下会津七本槍に狙われ鎌倉の東慶寺に逃げ延びてきた。仇を討ちたい女たちは千姫の紹介で剣豪柳生十兵衛に仇討ちの手引を頼む

江戸では花嫁の拐かしが相次ぎ、七本槍の仕業と考えた十兵衛は囮として懐に飛び込み、そこで明成の側室、芦名銅伯の娘ゆらに出会う

ゆらは香の力で十兵衛を殺そうとするが、窮地を乗り越え堀一族の女たちに仇討ちを果たさせる

 

っていう感じで合ってますか(汗)…

堀一族の女たちが7人

会津七本槍が7人

沢庵和尚の率いる僧侶が7人

例えると、舞台上はBTS(7人グループ)の3倍の人数が芝居をしていることになるわけで…

話の展開はまあまあ大丈夫(ついていけなくてもあまり気にしない)だったんですが、誰が誰やらわからん…!ので、わかった人から。

ゆら以外の娘役では天秀尼(有沙瞳さん)と千姫(白妙なつさん)、赤い着物の水乃ゆりちゃん、堀一族の中では十兵衛と仮初めの夫婦になるお圭(音波みのりさん)が認識できました

堀一族の女たちには退団する方も含まれており、着物も色違いなんですが、何せ舞台上に人が多く目が散るのでもったいない〜

立ち回りする娘役さんたちは東京で目に収めてきます

七本槍は劇中、一人目が倒されてから虹七郎が果てるまで時間があり、最後まで残ってる人がどうしても目立ちますね

孫兵衛(天華えまさん)は早すぎて、あのキャラもっと見たいのだが…!?となりましたし、割と最後まで残り、ゆらを誤って討ってしまう銀四郎(極美慎くん)は印象強くて良かったです

綺城ひか理(あか)さんは、前回マノンの時に悪い役をやってほしいと書きましたが、髭の悪い役でした、いいぞいいぞ

上級生の演じる沢庵(天寿光希さん)、明成(輝咲玲央さん)、柳生父(朝水りょうさん)などの単独のお役の方は印象に残りました

下級生ではなんと言っても多聞坊(天飛華音くん)が抜群にオイシイ役回りだったと思います

舞台全体の雰囲気が思ったよりも軽い感じで、その中でも後輩てへキャラを演じていて可愛かったです

 

そして、セットがすごくきれい!

東慶寺鶴ヶ城の石垣は大きさと高さで迫力があります

牢の柵も大きいし、据え置きの花道のバックの屏風はちょっと物々しい感じ

全体的に色調が暗めなんですが、電飾付きの背景が控えめにきらきらしていて祭の場面は幻想的でとっても良かったです

私の大好きな(笑)せり上がりの下にある例のセット、今回は銅伯の部屋として使われていました

 

私が礼さんを認識したのは阿弖流為の映像だったので、礼さんの低い姿勢での立ち回りやどこから見ても絵になる構え、戦い以外の場面では可愛らしさも覗くところが舞台で見られて嬉しかったです

そしてめちゃくちゃかっこいい〜

ぜひ花組のマイティーと立ち回りやってほしい

 

 

モアー・ダンディズム!

映像で見たネオ・ダンディズムⅡのオープニング(安蘭けいさんのハードボイルド)がかっこよすぎて文字通り悶絶しました

振りも踊りも余分なところが一切なく、ソフト帽の扱いや目線で魅せるのが最高に良い

そして衣装はドラゴン刺繍のチャイナ服…!

なーんか、世界観よくわかんないけどめちゃくちゃかっこいいの

衣装、これにならないかな〜と(けっこう切に)願っていたんですが今回はストライプスーツでしたね

あと、歌い継ぎが異常に少なくて、ハードボイルドのPARADISOもネオ・ダンディズムⅡでは2人で歌いますが、今回は礼さんがひとりで歌いきります

そう思えば、シルクハットのダンディズムとは…みたいな場面や髭軍団の銀橋渡りもカットになっており意図して(?)ソロや少人数の場面を抑えていたような。

昨今のショーを見慣れてしまったせいか、フィナーレ男役燕尾がないとすごい消化不良な感じがしますが、中詰にキャリオカがあるので仕方ないんですよね…なこちゃんはずっと礼さんの方向いてるのに転ばないのすごい

エトワールのくらっちが鳥肌モノでした

音程だけじゃない感情のうねりがあってとっても良かったです

歌のうまい娘役さんもいっぱいいる星組なので、ホント発揮できる場があるといいなあ…

少ない場の中で愛さんメインのステージが2つあるので、やはり愛さんの退団のために用意されたショーなんだろうなと感じます

礼さんと愛さんは下級生と上級生の関係ですが、普段のトークからお互いの良さを認め尊重し合う間柄だというのがよくわかるので(れいこさんとちなつさんとの空気とはまたちょっと違うんだよね)、いい雰囲気のショーになって良かったです

東京でまだ見るチャンスがあるので何かあれば追記しようと思います

 

 

 

ちなみに(神戸珍道中をすっかり忘れていた)

空港の近くにいい湯あり!ということで、今回も帰りの便の前に寄ってきました

[公式] 神戸みなと温泉 蓮 (ホテル・旅館・日帰り温泉)|ベストレート
三ノ宮駅からシャトルバスが出ており、10分程度で着きます

露天風呂は棚田みたいな段差のあるお風呂。宿泊のお客さんも少なそうで快適に過ごせました。

宿泊にすれば、お部屋の窓から神戸の夜景が見渡せるエリアだと思います

帰りはポートアイランド駅まで歩けそうだったので歩いてみました

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レンガ造りのレトロビルがちらほら残っています

20分くらいでポートアイランド駅着です。

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人気のない港湾の建造物大好きなんですよね、ついモノクロで撮ってしまう

上野の地で思わぬ収穫 最澄と天台宗のすべて@東京国立博物館

猿之助さんがオーディオガイド(だろうな、展覧会のCM出てたし)ということで天台宗展を見てきました

延暦寺がフューチャーされるのかなと思いきや、各地のいろんなお寺にまつわる収蔵品が紹介されていました

一応メインっぽかったのは延暦寺根本中堂の再現ですね

根本中堂は2026年に改修が完了予定、私が行ったコロナ直前の昨年1月は足場が組まれていました

それでも、あの雰囲気は他のどの寺院でも味わうことはできない一種独特なものです

文明社会で現代を生きているけど、そんな私でも説明できない何かが暗闇の中に「いる」感じがします

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根本中堂の向かいの階段上にある楼門

くぐると琵琶湖が見えてきます(2020年1月撮影)

 

今回は単に仏像の展示ではなく宗派をたどる内容なので、値段の割にはちょっと流れが平坦だと感じました

オーディオガイドは600円で借りられるんですが、なんと!天台声明が収録されており、聞きながら展示を見て回れます

聖なる言葉っていかなる宗教でも心が平定する響きで癒やされますね

平日午前でしたが、まあまあ混雑していました

(コロナ禍比較なので、平常時の特別展と比べると少ないと思います)

 

さて、展示を見ていて気づいたこと

今回の展示では時代ごとに天台宗を広めた僧たちも紹介されています

中でも…家康の側近として、日光に東照宮をおいた慈眼大師またの名を天海大僧正

ハイ、宝塚星組が公演中の「柳生忍法帖」に出てくる天海大僧正の事なんですね

108歳ってフィクションだと思っていたら史実でした。

陰陽道に従い、将門の邪気を払うために各方角に神社や塚を設置したと。

将門…鬼門…陰陽道…かつて見聞きしたいろんな小説や漫画やお芝居の設定が頭の中を通り過ぎていきました

 

トーハクのすぐ隣にある寛永寺慈眼大師と角大師の護符のモデルの慈恵大師をお祀りしています

帰りに少し寄り道。

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小さなお寺ですが草木が植わっていてお庭みたいな居心地の良さでした

ちょっと鎌倉の東慶寺(こちらも「柳生忍法帖」に出てくる)に似た雰囲気かな。

 

 

中村屋錦秋公演@神戸こくさいホールと神戸珍道中

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お天気にも恵まれ、今回は神戸で中村屋〜翌日宝塚で星組という行程を組みました!

 

中村屋錦秋特別公演2021

浦島…鶴松

甦大宝春日龍神勘九郎七之助

〜休憩〜

芸談

 

まずは鶴松くんの浦島から

普段、唄の内容がわからないと「ふわぁ〜〜」ってなりがちなのが舞踊の演目なんですが、今回は内容も知っている浦島太郎だし後半にあっと驚く仕掛けがあって面白かったです

前半は竿から扇に持ち替え、扇を回したりします

その様子を見て何となく、鶴松くん学生時代ペン回ししてそうだナ〜って。

扇は回す他にも投げてキャッチ、みたいな曲芸要素があり緊張しそうです

玉手箱♪あけよかな♪やめよかな♪的なくだりで玉手箱を開けると暗転、一瞬で老けに変わります

ぶっ返りじゃなく、後見さんひとりで上着を持ってはけてたので、どうやって衣装替えたのか知りたい

眉毛も鬘も老けに変わってました!

 

ご兄弟の演目「甦大宝春日龍神」は過去に春日大社に奉納したものだと

狂言(的なもの)を挟んで衣装替えをするという、連獅子っぽい感じの舞踊でした

勘九郎さんの化粧がかっこよかった

 

休憩を挟んで芸談

一番驚いたのは七之助さんとまるる(莟玉さん)がめちゃくちゃ仲良くなっているということ

「お江戸みやげ」で初めて一緒に出演している舞台を見たので、仲良くなったきっかけ(仲介)が何なのか知りたい

鶴松くんなのかしら…?

でも紹介して自分より仲良くなられていたらたしかに鶴松くんは複雑かもしれない😂

プライベートでの親交が、歌舞伎で新しいコンビを誕生させたりしたらいいですよね、にざたまみたいに愛称つけられたりして。

女方二人がフューチャーされる演目っていっぱいあるし中村屋高砂屋コクーン平成中村座の可能性がもてたり夢が広がりますね、ありがたやありがたや

 

ところで、私が観劇した会場は神戸こくさいホールでした

木で作られていてサイド席には丸みがあって見た目にインパクトが

三宮からも近く、素敵な会場でした

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この日は早めに着いたので、気になっていた布引ハーブ園でちょっと時間つぶし

新幹線新神戸駅の近くにあります(が、標高が高いのでロープウェーでのアクセスです)

 

私が気に入ったのは「ハーブの家」と「ザ・ヴェランダ神戸」のカフェ

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ハーブの家は、おそらくコロナ禍でなければイベントスペースになってたっぽい施設

現在はたくさんのドライフラワーやブーケがヨーロッパ風の家具に飾られています

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無駄にモノクロで撮ったりして遊んでいた

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その先にあるのが「ザ・ヴェランダ」というカフェスペースで、内観の写真は撮らなかったんですが、ブルーを基調にした円形ソファやシャンデリアが素敵なカフェ

ザ・ヴェランダ神戸(The Veranda at Kobe) – 神戸布引ハーブ園/ロープウェイ

この果物のタルトがおいしくって、上のクリームがそんなに甘くないけど乳脂肪分が高そうで、甘さは果物(洋梨、柿、シャインマスカット)が補ってくれるの

ケーキは8種くらい、ハーブティもたくさん選べて

窓の向こうには神戸空港と海が広がっていて一望できるんです

しかもピアノとチェロの生演奏が始まったりして…

最高の休日…としみじみ思いました

ハーブ園と言いつつも温室やコスモス畑などいろんなエリアがあり綺麗に手入れされています

 

さらに、この日は別動で誕生日の友人がいて、合流後彼女の希望で宿泊は朝食で有名なホテルピエナ神戸に泊まりました

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このフロアはピンクが基調になっていて、お部屋も広い

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広い通り沿いでしたが騒音などは特に感じませんでした

私も友人もビュッフェは朝イチ派なので、仕事の日よりも早起きをして会場へ

大きなホテルとは違い、そこまで規模は大きくありませんが、ひとつひとつがとても丁寧で美味しかったです

ローストビーフとサラダのミニレタスでローストビーフサラダを作ったりしました

友人曰くコロナ前はロビーで販売しているミルクジャムが置いてあったそうなんですが、今回はなかったです

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さらにデザートもたくさん用意されていて、一口サイズのクッキー、マドレーヌ、カヌレなどを朝からいただけます

真ん中のグミのような固めのゼリーが味が濃くておいしかったです

 

 

 

外から見るか中から見るか「最後の決闘裁判」

ノーマークでしたが映画館の予告と口コミで絶対好きなやつだと思い鑑賞

コロナ禍でペンディングしていた大作が一気に放出され見る方も大変ですね

上映直前に会社から電話があり最初は全然集中してなかったんですが、中盤以降はほんとに何もかも忘れて没入しました

 

全編英語ですが作品の舞台は1300年代のフランス、

ノルマンディ地方の領主カルージュ

今では袂を分かった親友ル・グリ

カルージュの妻で聡明なマルグリット

3人の視点で決闘が決着するまでの流れを描きます

 

第一章ではカルージュが周りから嫌がらせを受ける不憫な領主として描かれますが、第二章のル・グリ視点だと彼のわがままな側面も描かれる、その視点で見るマルグリットは哀れな妻で自分のものにしたい、マルグリットもそう願っている(はず)、しかし第三章マルグリットはそんなことを露とも思っていない

 

この作品で注意しなければならないのは、決してストーリーに関しての高評価なのではないということです

レイプシーンがリフレインされますが、視点の違いによる効果があるのかなと思いきや別になかったし…

中世の女性がモノとして扱われる時代、その時代感が称賛されているわけではないということだけは頭に入れておく必要があります

 

それを踏まえて、この作品はとにかく中世のディテール、決闘の描き方、人間の心理に対する皮肉、過去作品へのオマージュ…などなど怒濤のごとく畳み掛けてくる…!

まず中世感。音楽がもう…無印良品にいるみたい(褒めてます)。暗い城の中と暖炉のほのかな灯り、ラテン語の本を開いての講釈、肌着の質感、留守を守るためにマルグリットが領地を取り仕切る様子など、見ていてこんなにリアルな中世があるか?と問いたい

あと中世のパリの描写、ノートルダム大聖堂の建設途中のパリってあんな感じだったのかな、と思えて見ごたえがありました 

 

そして決闘のシーンはほんとに手に汗握って叫びそうになった

さ、刺せ…刺せる…?ぎゃっ!どっち勝つん?

という、臨場感で本能のみになります

そして決闘の敗者には無残な死しか残らない

それは神がお決めになったこと、という宗教観も当時のもの

この映像が本当にすごいんだけど、どうやって撮影したんだろう…?役者はどこまで…?

 

今作は「羅生門」のオマージュだと言われています

内容は史実であり、だからこそストーリーに劇的な盛り上がりがあるわけではありません

前回見た「燃えよ剣」は日本人のある程度が知っている有名な史実を軸に映画化されていますが、今作も同様。私には馴染みがないだけで、現地の人には那須与一や紫の上のように、あー知ってる!という有名な物語なのかもしれません。

逆に海外の方が「燃えよ剣」を見たらどう思うのかな、最後撃たれて終わりか〜ってなるんでしょうか