本日の和菓子の世界は鶴屋吉信の上生菓子「山吹風(やまぶきかぜ)」です
包み紙と紙袋はオレンジ色で鶴の描かれています
山吹と言いつつ、少し黄色に近い皮(でいいのか?)と黄緑がグラデーションしており平行につけられた筋が緩やかな風を感じさせます
風に揺れながらも凛と咲く花が表現されているようで(知らんけど)、そういえば道端に咲く花って白や黄色が多いよなあなんて思ったりしました
中はこしあんで、口当たりはしっかりとしているのに後味は甘ったるくなく最後まで美味しくいただきました
割と主観です。ご容赦を
5組まんべんなくみていると、宙組公演で驚くのがコーラスの調和。家に帰って他組の録画を見たんですが、やっぱり気のせいじゃないと思う。
5組あって同じ人数、同じような環境、私が見る環境もほぼ同じ中で宙組は明らかにコーラスの調和が良い
— じょなめのかも (@em378794) 2022年4月17日
大体言いたいことはこのツリーに書いたのですが、もっと細かく言うと歌詞の発音や音の頭が揃っていてコーラスまでもONE HEARTなのを感じます。
面白いのが、じゃあ路線のみなさんが歌唱を引っ張っているのかというとそこは他組と変わらない点。比べるわけじゃないけど、路線の歌唱で言うと月組の方がまとまっている感じはする。ゆりかさんがプルミエールでコーラスも頑張ってくれているのでこっちも頑張る、的なことを言っていたので完全に分業なんだと思います
このコーラスの迫力で説得力も増すと思うので、宙組の魅力を引き出した1本物で良かったんじゃないのかなと思いました
ラストがゆりかさん1人で終わったんですが、せっかくなので全員で歌い上げて終わったら良かったのにと思いました
コーラスは完全に群を抜いている宙組。芝居については良い悪いじゃなく、気づいたことがあったので少し。
宙組の芝居は立ち位置から動かないのが顕著に見て取れる。組長すっしぃさんですら台詞のない間、全く立ち位置を変えなかった。前回まで見ていた月組の場合、群衆芝居でめちゃくちゃウロウロするし、回を重ねるとそっちの芝居がひとり歩きし始めるし、組子もそこが見せ場だと思っているフシすらある。帰ってダルレークを見返したら、芝居中にリタの頭をなでるペペルの手をポトラジ役のヤスちゃんがぺいって剥がしていた。ここは完全に大筋の芝居の脇なのだが、それを「芝居の邪魔」ととるか「脇役の見せ場」ととるかは各組で違うということなんだろう
宙組⇔月組の生徒さんがいるかは私にはわからないけど、組替えしたら面食らいそう
さらに、動かないので動線の停滞が気になってしまった
潤花ちゃんはゆりかさんと2人で芝居をするときに完全に横を向くので顔に照明が当たらなくなる
この、舞台の真ん中で二人で向かい合って動かない場面が、動かないせいかやたら多く感じた。で、気になって他組の二人芝居を見返してみたけど、やっぱり体はちょっと正面を向いていたり歩いて立ち位置を変えたり、真横を向いている時間は短く工夫しているような感じを受けた
2幕の別れの場面はジョルジュ(ゆりかさん)が後方のゆるい段を登りながら歌うので背中を向けているんだけど、キャサリン(潤花ちゃん)もジョルジュをじーっと目で追ってるので後向きなんですね、絵面の美しさがあまりなくて、さすがに前向きでもよいのでは?と思いました
そして、しどりゅーもえこちゃんきよちゃんこってぃキョロナニーロがずっと舞台にいます
なんならキキずんよりいるかも。キキさんも良かったけど、私にはずんちゃんか刺さりました。細身で革のジャケットをあんなにダークに着られるなんてカッコいい!
しかしながら最も舞台映えするのは、やっぱり潤花ちゃんなんですよねえ。あくまで主観ですが。
声の艶やかさと存在の華やかさがすごくて、アギラールと並ぶと勝てそうかも。
さて、ストーリーは第二次世界大戦前夜のスペイン内戦の話。マルクス主義が世界を揺るがし、スペインはソビエトをバックに持つ人民戦線(共和国軍)とやがてドイツのファシストに傾倒する反乱軍が衝突しています。
共和国軍には各国から義勇兵が参戦し写真家のジョルジュもやがてここに加わりますが、広報のアギラールは社会主義色が強く、何かとジョルジュの邪魔をします
そのうちに内部の粛清が激しくなり、ジョルジュとオリンピアーダたちはバルセロナをあとにします。戦火が激しくなり、ジョルジュは同行していたキャサリンにフィルムを預けアメリカに帰国させ、自らは戦死します
昨今の世情と似かよりすぎてて、見てて苦しかったです
社会主義の締め付けがやがて粛清と移るのも、日本の1960年代が思い出されるようでした
靖国神社のさくらまつり、出店がたくさん出ていて楽しかったですよね。しかしながら最近は周辺が整備され以前のような雰囲気とは異なる様子。
同じく境内の能舞台に、さくらまつりの時期になると設置されるパイプ椅子。桜舞い散る中、ここで能を見たらさぞ素敵だろうなと思っていました
たまたま今年、夜桜能のチケット情報が流れてきたので勢いでGET、ありがたいことに一緒に行ってくれるお友達がいたので同行してもらいました
私が参加した日は
火入れ式
舞囃子「難波」
狂言「樋の酒」
能「土蜘蛛」という公演内容で、今回は土蜘蛛がお目当てです。歌舞伎の土蜘よりも糸がとびまくる、もはや頼光は糸まみれというシュールなお姿。それを生で見てみたくって。
しかしながら、初めての能観劇で勝手がわからず自由席からはほぼ見えず終い笑
能の舞台は正面と下手が主で、席の向きも通常の観劇とは違うんですね、勉強になりました
狂言はわかりやすいし可愛らしい場面も多く(友人は擬音でむりむりむり、と言っていたのに笑ってました)、能はお囃子がかっこよく、終幕後の退場など現代の演劇と比べるとシュールに映るのも興味深く、今回を足がかりに次は能楽堂できちんと見てみたいなと思いました
桜が舞い散るほどの風はありませんでしたが、ライトアップされた靖国神社の境内は普段と違う姿で、火入れ式も幻想的で、良い経験になりました
今更ですが3月2部3部の記憶を掘り起こし
2部
・河内山
・芝浜革財布
芝浜、このキャストなら絶対やってくれるだろうと思ったスーパー真秀くんタイム、ありました。かわいい孫を目に入れても痛くないとはこのことかと。おやじさまだからこその取り計らい、それに応える真秀くんもさすが。
私は今回初めて見た演目ですが、おそらくみなさん何度もやっているはず。歌舞伎家話で松也さんが言っていた「稽古を全然しないまま本番を迎えるのに、幕が開くと全員完璧にできるやつ」なんだろうなと思いました。空気がそんな感じなの。
落語とは最後の展開が違うようなので落語も聞いてみたいですね。
3部
・輝虎配膳
輝虎配膳には十種香と同じような面白さを感じました。セットも似ているしね。ストーリーの中に「謎」があり、キャラクターがはっきりしており、盛り上がりがあります
雀右衛門さんは今回も琴を実際に弾いていて、スゴイ!かっこいい!芸達者が大好きなので、こういう場面でやるかやらないかは満足度が変わってきます
そして輝虎の太刀を琴で受け止めるという。何だそれは!?って感じですが、かっこよかったです
越路は三大婆の一人らしく、同じく三大婆の微妙よりもっと「食えない」婆だなと思いました
石川五右衛門は楼門を吉右衛門さんで見て以来。通し(なのか?)で見るのは初めてでした。
宙乗りのつづらの仕組み、どうなってるんだろう…3階で見ていたんですか、宙乗りの高さが、万が一落ちてもひどくならないように階のすれすれを飛んでいるように思えて、見ていて逆にハラハラしました
コミック版バットマンの連載開始は1939年だそう、テクノロジーはすっかり進化してしまったけど漂う閉塞感はあまり変わりがないみたい。感染症が広まって戦争が始まって、「歴史は繰り返す」という言葉が頭をよぎります
TENETで主人公の相棒ニールをユーモアを交えて演じたロバート・パティンソン、素敵でしたよね
しかしながら今回はあの雰囲気を封印、終始ネクラで孤独なブルース・ウェインを演じます。残念ながらキャラクターにはあまり惹かれず。私のイメージだとさわやかハキハキ、THEアメリカ人!夜になると闇に紛れるバットマン、っていうイメージだったのですが…
現代もしくは近未来の事件の現場検証に耳のついたマスクを被ったアヤシイ人物がひとり混ざっているのがなんだか異様で。全体的に暗く音楽も重厚で良かったんですが、ストーリーが割とありきたりというか。
「要人たちがマフィアの仕切るクラブに集まり裏では悪行三昧、それを知った天誅気取りのサイコパスが犯人、逮捕された後でさらなる計画が動き出していることを知り街が壊滅仕掛ける」って、踊る大捜査線や相棒にありそうな展開だなと。
狂気のカーチェイスは見ててわくわくしました。
キャットウーマンのスーツは素敵。ウェイン家が古風なインテリアだったのも良かったです。
良すぎて良すぎて翌週1等を買い足しました
元々スーパー歌舞伎や弥次喜多といった澤瀉屋関係の新作歌舞伎は正直に言うと派手派手しくて映像ではあまりハマりませんでした
三国志初演は見たことがありませんが、出演者インタビューで口を揃えて言われているのが「スペクタクルは減った、芝居の比重が増えた」。
この、芝居の比重が増えたのが私には良く思えたのかもしれません
演出で言うと、1部ラストの長椅子での劉備(笑也)と関羽(猿之助)。
桃の花の香りがすると言って目を閉じる劉備、隣に座る関羽、おもむろに関羽の膝に手を乗せる劉備とゆっくりとその手を取る関羽、目を閉じた劉備を見つめる関羽は微笑んで同じく目を閉じ、二人には桃の花がちらちらと散る…(幕)
もう1つ、関羽が荊州の人質と命を引換にしようという場面。男同士の宴で最後に好きな女の話をしようということになります
笑いも混じりながら最後に関羽は玉蘭の名を挙げます
劉備の本名だから兵士は誰も知らないわけで、「蘭のように美しいのでしょうなあ」という言葉に対し「いや、桃の花のようなたおやかさだ(意訳)」と返します
私は澤瀉屋が好きだけど、それは古典に対する型の丁寧さとか座組の雰囲気とか立ち回りの気合とか、歌舞伎に対する姿勢においてのことでした
新・三国志の、今まで澤瀉屋では見たことがない芝居の純度の高い舞台で情緒の描き方があまりにも真っ直ぐで真摯で、すっかり今回の演出にやられてしまいました。泣いた。
役者の話をし始めるときりがないんですが、澤瀉屋ファミリーの笑三郎さん猿弥さんは軍師で存在感たっぷり、弘太郎さんは青虎を襲名され(しかも青き虎っていう台詞が入ってた)諸葛孔明を演じます。あんまり見ない(失礼笑)爽やか系のお役です。
猿四郎さんの立ち回りお見事、寿猿さんも活躍されています
團子さんは関羽の養子、関平として存在感あり。声デカの系譜を継いでいてとても良いですね
張飛役の中車さんはとにかく顔がデカい笑
猿弥さんと並んでも1.5倍くらいあるんだけど。
冒頭、中国史をおさらいするコーナーにも出てきます
客演で浅野和之さん、浅野さんはマイクをつけているのが見えます。それ以外全員つけてないの?マイク立ってないし、どうなってんでしょう
若手では孫権役に福之助くん、普段から四代目の舞台によく出てますよね
そして香溪役の右近くん、本当に今乗りに乗っている。ハズレがない。香溪のまあ美しいこと。劉備はお化粧に紅をさしていないので、香溪の京劇っぽいメイクがより際だって美しく見えます。単純にお化粧が上手い。
香溪といえば、衣装と頭の飾りがとても豪華。
衣装は歌舞伎のものとも違えば普段舞台で見るようなものとも違い、切りっぱなしを重ね合わせたり模様を縫い付けていたり絞り染めのような部分もあり。
今回、中国の歴史に疎くても入り込みやすかった理由として三国の衣装が色分けされていたことがあります
曹操軍は紫、孫権軍は水色で統一されており、劇中の勢力図も同じ色分けのためとてもわかりやすかったです
劉備軍は最初はモノクロで一部刀の房やインナーが赤かったくらいなのに、土地を得ることで全身が赤くなっていきます
婚礼の場は柱も長椅子も赤で後ろには本火が。
炎や水が本物になるだけでなんか没入できますよね
音楽が生じゃないのが………唯一残念な点です…
テーマ曲がめちゃくちゃ良いので、オケ組んでできたらもう他に望むものはない
あとは黒御簾音楽をもうちょっと使ってもいい気がしました。音が生演奏か録音かは客席で聞いていると臨場感が違う。今回3階Bと1階花外で見て、気のせいならいいのにと思いましたが、やはりどこに座っても生音がいいですね
最後は完全に雑談。
筋書を読んだ時点で(宝塚っぽいなー)と思い、開演の雰囲気で(アレ?宝塚来ちゃった?)となり、さらば、という台詞を聞いて(退団公演であるやつ!)となりました
劉備が実は女性で…という設定はベルサイユのばらのオスカルを彷彿とさせますよね。
トップコンビで関羽と劉備、2番手から孫権、孔明、張飛、関平となって娘役2番手が香溪、曹操は専科から…と恐ろしいほど配役も進みます笑
けっこう見ながら(ここでソロ歌唱でしょ!ここで群舞でしょ!)と突っ込んでました。
歌舞伎座でやってすごく良かったなと思ったのが宙乗り前の演出。カーテンコールではないけど、出演者が順に本舞台から花道を通り揚幕へ退場していきます。これは歌舞伎の劇場でしかできないめちゃくちゃいい演出…!
そして最後、宙乗りの花吹雪は客席へ。
桃の花を浴びながら、天に昇っていく猿之助さんを見ながら、本舞台の大きな桃の木が咲き誇っているのを見ながら幕になるわけです
猿之助さんの関羽はものすごい説得力で乱世を生きていて、この吸い寄せられるような魅力をうまく言葉にできたらいいのにって思います
でも言葉にできちゃったら面白くないのかな
これが初めて現場で見た新作歌舞伎でした。最高だった!
ぶらぶら美術博物館で紹介されていた際には土蜘と頼光四天王あたりがフューチャーされている展示のかなと思っていたんですが、どっこい歌舞伎のオタクにはそこはかとなく刺さる展示ばかりでした
THE HEROES展は正確にはボストン美術館の日本関連の収蔵品の展示で中でも今回は武者絵と刀剣にスポットを当てています
蒐集した人物の審美眼の見事さよ…!細かく書き込まれ、漢字が使われ、鮮やかな発色の錦絵がお好きだったんでしょうね、そういう意味では似たサイズの作品が多く展示が単調なので(浮世絵の展覧会の時などにもありがち)興味のない人は途中で飽きちゃうかもしれない…
大河ドラマの登場人物に関する展示もあるので、一般の人が興味を持って見てくれているといいですね。日本刀のカテゴリもあり賑わっていました
※場内は一部を除き撮影可能
もっと質素な船で落ち延びてると思ったらこんなに豪華絢爛とは…
平家終焉とのミスマッチさが衝撃で、安徳帝の表情もなんとも言えないのよ、美術館で泣いたの初めてかも
平家物語はたくさんの場面が展示されており、みんな大好き四の切の佐藤忠信や大物浦の知盛や義仲巴御前もありました
寿曽我対面の舞台「巻狩」って一体…?と思っていたのも、わかりやすく描かれていたのでより鮮明になりました。対面では描かれていない場面もあったりして、兄弟の解像度が上がった気がします
さて、頼光四天王(+平井保昌)は大江山酒呑童子や土蜘といった妖怪退治が主流なのでどちらかというと奇をてらったような怪異の描写が秀逸です
袴垂保輔が平井保昌を物陰から追うものの隙がなさすぎて気がついたら屋敷まで来ちゃってたり
平井保昌はキャラクター的にはスッ…とした感じにとらえられてたんでしょうかね
この2人といえば昨年1月国立劇場の
「四天王御江戸鏑」
頼光四天王も出てきます
展示の後半に書き物(フィクション)の錦絵コーナーがあるんですが、ここには平良門と滝夜叉姫の作品があります
この一番左の良門がいい男でまた。それこそ、いい景色だねえ…です
あまりに良すぎて、普段は買わない図録の購入がここで決定
椿説弓張月の為朝もめちゃかっこよかった
画面の左下に刀を下ろす構図が武者絵として一般的なんでしょうか、よく見かけました
そしてそして太平記…!
しかも楠木正行の幼少期というマニアックなチョイス
楠木正行といえば月組の「桜嵐記」ですね、幼少期も劇中に出てくるのでちょうどこれくらいの歳の頃だろうか
というわけで、全てのカテゴリが刺さるという状況となり単純に頼光四天王の女を名乗る場合ではなくなってしまいました
図録の他にグッズも、自分にしては珍しくイロイロ買い込んだし、5月には土蜘もあるので四天王オタク的にはグッズ披露の場があるんじゃないかなと思ってます
六本木系の展示は趣向に走りすぎていてピンとこないことが多いんですが、今回は楽しめました